#415【一塔両断】日本エレベーター製造埼玉工場 テストタワー | 関東土木保安協会

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今回はエレベーター試験塔のお話です。
 
エレベーター試験塔というと、以前ご紹介したこんなのをイメージされるかもしれませんが、このような例は少数派で、大抵はタワーパーキングのような箱形です。
ここ、埼玉県の越谷市にも、エレベーター試験塔が存在します。
あまり知られていないタワーですが、他の同様の試験塔と比較しても、結構派手めな外観で印象に残ります。
早速見に行ってみましょうか。
 
▲タワー外観
 
ここは、日本エレベーター製造株式会社の埼玉工場です。
タワーは、公式サイトによると「テストタワー」と言う名称とのことです。
私がこのタワーを知ったのは、まだ10歳にも満たない頃でしょうか。
夕暮れ、東武伊勢崎線の越谷付近から西の車窓を眺めていると、遥か遠くに煌々と輝く「日本エレベーター製造」の文字と紅白のタワーが確認できました。
何だあれは、と思いつつ当時はそこまでで興味は終わってしまいました。
ふとある時、別のメーカーのエレベーター試験塔を目にした際に、この記憶が蘇ってきて、見事にリンクしたのです。これはエレベーター試験塔というタワーだったのかと。
 
▲周囲からも目立つ存在だ
 
ここは関東平野のど真ん中。
駅前に点在する高いマンション以外は何も遮るものがありません。
そんな中にこのタワーは建っています。
 
 
▲実は綺麗なAラインである
 
高さは68mと耳にします。
竣工は1968年3月です。これにかけたのか、どうなのか。
もうこの執筆時点でほぼ半世紀前のタワーなんですね。
超ベテランじゃないですか。
 
▲正門から見るタワー。格好良い
 
巨大な直方体に紅白色を纏います。
通常、鉄塔のトラス組や煙突などに施される昼間障害標識ですが、直方体というのはなかなか見ないかもしれませんね。
 
タワー上部は箱に覆われていますが、足元には立派な鉄塔感あふれる鋼材が姿を見せています。紛れもなく、鉄塔です。
 
▲明り取りか、窓も付いている
 
側面には大きく社名とマークの電飾が設置されています。
これが夜になると不気味に光ってなかなかです。(文末リンク参考)
リンク先でも書かれていますが、イメージでいえばまさに通天閣の日立のネオンようなものです。
 
▲夜にはネオンが煌々と輝く
 
ここ、日本エレベーター製造の埼玉工場は、1963年4月に移転・新築され、その後68年3月にこのタワーが竣工しています。
テストタワー以外にも、テクニカルセンターや研修棟など、技術員養成のための研修施設の一群を構成しています。
施設全体では12基もの試験用エレベーターがあるそうです。
 
▲入口。同社を支える多数の技術員らが研修していることだろう
 
日本エレベーター製造株式会社を支えてきたのは、このタワーで育った製品群とそれを維持する技術者達でしょう。
これからも末長くランドマークとして、そして日本エレベーター界の一翼として、この地に立っていることを願います。 
 
 
〈参考〉
日本エレベーター製造 : 沿革
 
居酒屋 夢 : 試験塔