黒部の鉄構じゃないですが、開閉機能というのは送電線において重要です。
こちらの開閉機能も、かわいい華奢な線路ではありますが重要な役割を示しているのであります。
五十里の帰り、栃木の山中をプラプラと散策していると
(まあ、明らかに仕事できた人間か不審者しか通らないような場所ですが)
可愛らしい鉄塔を発見しました。
ダムがあり、水力発電をしているようで、塩谷発電所というそうです。
この発電所から可愛い1回線の鉄塔が立ちあがっており、
追ってきてみると上記写真です。
写真奥が塩谷線で、中央が2回線の大田原線、
右から中央まで来ているのが道谷原線です。
塩谷線の接続前の最終鉄塔が何やら特殊な形状です。
行ってみるしかないですねぇ。
▲塩谷線接続部。手前の鉄塔は道谷原線
フムフム、どうやら大田原線は2回線ですが、
道谷原線も塩谷線も1回線で、
双方の線路が大田原線の両回線に接続できる機構みたいです。
それで、塩谷線の最終鉄塔には開閉機能(入り切りの機能です)を設け
どちらの回線にでも切り替えて接続できるような仕組みにしているのですね。
こういう開閉機能を地面に設けた場合、開閉所、と言いますが、
鉄塔で済んでしまっている場合、開閉塔と言います。
よく見るようであんまり見ない設備です。
▲開閉塔。奥の塩谷線と道谷原線を入り切りする
なんだか簡単に書いても難しいのですが、
塩谷・道谷原線は3本1組(これを1回線と言います)に対して、
大田原線は6本2組の2回線です。
そのため、両線は大田原線のどちらかの回線にしか送電できないわけですが、
この開閉機能を設けることで、どちらの回線にでも送電を切り替えることができる訳です。
送電線は6本1組に見えがちですが、実は3本1組で1回線としていて
工事で送電停止した際や突発事故の際に予備回線としての
冗長性を持たせています。
片側の回線が使えなくなってしまった時に発電所から送電できなくなる、
では意味がないですからね。
とはいっても、重要性などを鑑みた時にオーバースペックな電線路もあるわけで、
地方などの山中には塩谷線の様な1回線の送電線はよくあります。
▲本日は上の回線が送電停止中・・・
田舎にいきなり現れる希少な鉄塔、
これだから送電線は面白いのですよ・・・