書名:オオカミのお札(一) カヨが聞いた声 江戸時代
著者:おおぎやなぎ ちか
出版:くもんの児童文学
内容:黒船が来航した江戸時代も終わりの頃。江戸の町から十里ほど西にある村に住む十三歳の少女カヨ。村で疱瘡(ほうそう)の病が流行し、妹のナツが罹患してしまう。カヨは裏山の祠にお参りして、妹の病が治るようにと願う。祠に祀られている「大神(おおがみ)」はオオカミのことだが、その夜カヨは病を退治するオオカミの姿を見て……。
かつて日本の山々にはオオカミがいた。茶色い毛並みは山にいて目立たず、遠吠えは民家の障子が震えるほどだったという。
オオカミは、武州御岳山(ぶしゅうみたけやま)には神としてまつられている。その山から流れる玉川(たまがわ)流域の村では、山の社からいただいたお札を、祠や蔵、あるいは家の出入口にはっている。
お札の下半分には、横向きのオオカミが、そして上半分には、「武蔵国 大口真神(おおぐちまがみ) 御嶽山(みたけさん)」という文字が黒く刷られ、四角い御朱印がおされている
疱瘡は高い熱がつづいて、からだじゅうに瘡(かさ:発疹)ができ、治っても瘡のあばた(発疹のあと)となって残ってしまう。
このおそろしい病は、疱瘡神がもたらすものとされていた。疱瘡神の絵はみにくい老婆だったが、子どもの姿として伝わっている場合もあるという。
むかしからいわれているのは、疱瘡神がきらう赤いものを寝床のまわりにおくのがよいということだ。
書名:名探偵オルコット1 ルイザと女相続人の謎
原題:Louisa and the Missing Heiress
著者:アンナ・マクリーン(アメリカ作家)
出版:創元推理文庫
内容:1854年、ボストン。21歳のルイザ・メイ・オルコットは、作家を目指して執筆に励んでいた。冬の終わりのある日、ルイザは新婚旅行先のヨーロッパから帰国した友人ドロシーの新居に招かれ、親友シルヴィアと一緒に訪問する。ところが、女主人たるドロシーは不在でお茶会には夫のプレストン・ウォーサムだけが姿を現した。待ちくたびれた招待客たちがそろそろ帰宅しようとした時、ようやくドロシーが戻ってくる。なぜかお茶会は次の日だと勘違いしていたドロシーに、翌日もぜひ来てほしい、それも他の客より早くとルイザは頼まれる。何か相談したいことがあるらしいと察したルイザは、言われたとおりに翌日ふたたびウォーサム邸を訪問するが、またもドロシーは外出していた。そこへボストン警察のコバン巡査が現われ、ドロシーが港で亡くなったことを告げる。当初は事故と判断されたが、検死解剖の結果、ドロシーは殺されたことが判る。やがて夫のプレストンが逮捕されるが、ルイザには納得できない。さらに、ドロシーは莫大な遺産を、兄姉をさしおいて相続することになっていた女相続人であることを知る。そして、ドロシーが死んだ日の兄エドガー・ブラウンリーに不審な点があることをルイザは気付いており……。
※初版2004年
※本書は『若草物語』の著者が主人公の探偵小説
ルイザの愛称:ルーイ
シルヴィアの愛称:シルヴィ
ドロシーの愛称:ドッティ
ジョセフィーン、愛称、ジョー
「ジョーって素朴な名前よね。おてんばで、がんばり屋で、浮かれ騒ぎやメロドラマにうつつを抜かしたりはしない」
愛称のアッバ――アビゲイルの短縮形
「吉草根(きっそうこん:神経鎮静剤)を飲んで、忘れてしまいなさい」
喪服を着ており、真珠のイヤリングも黒玉(ジェット)に変えていた
服喪中の女性は、通常、娯楽小説は手に取らず、説教集や励みとなる詩を読んで時を過ごすものだった。
書名:凍る草原に鐘は鳴る
著者:天城光琴(あまぎみこと)
出版:文藝春秋
内容:遊牧民アゴールに属するダーソカ部族の若い娘マーラ。マーラは『生き絵』の演出を手掛ける『生き絵師』だ。『生き絵』とは草原に額縁を立て、その中で演手(えんじて)と呼ばれる俳優たちが鮮やかな物語を繰り広げる伝統芸能である。マーラは師匠の跡を継いで『生き絵司』に任じられ、部族長たちの前で生き絵を披露する 。初めての大舞台を成功させたマーラは未来に胸をふくらませる。ところが、 “動くものが見えなくなる” という天災と呼ぶべき奇怪な現象が起こり、遊牧が困難になったアゴールの民。演手の動きが見えなくなったことで、マーラは「生き絵は死んだ」と嘆く。一方、アゴールの放牧地を自国の領地と認定している稲城国(いなきのくに)の国民も同じ状況になっているが、国主である禾王(かおう)はこの機会に遊牧民たちを定住させ自国民にしようと目論む。禾王に仕える芸道衆の一人である奇術師の苟曙(こうしょ)は、極めた芸が目に映らなくなったことで解雇されてしまう。城を追われた苟曙は市場で芸を見せるようになり、山羊を売りに来たマーラは彼の奇術に驚いたせいで馬ごと荷物を奪われてしまう。そのことを知った苟曙はマーラに手を差し伸べるが……。
※旧題『凍る大地に、絵は溶ける』。第二十九回松本清張賞を受賞。
書名:逢魔が時三郎 誇りの十手
著者:井川香四郎(い かわこうしろう)
出版:コスミック・時代文庫
内容:江戸時代、天保年間。北町奉行・遠山左衛門尉景元(とおやまさえもんのじょうかげもと)の配下で定町廻り方・大間(おおま)徳三郎は「逢魔(おうま)が時三郎」とあだ名されている。幼少より気が弱く頼りない同心なのだが、手柄を次々と挙げていた。というのも、父親の代からの岡っ引き文治(ぶんじ)が幽霊になってからも彼の手助けをしているからだ。ある日、時三郎が朝風呂を楽しんでいると、芝居小屋が火事だという知らせが飛びこんだ。そのうえ火事跡から勘定奉行の死体が発見された。折しも江戸城の幕閣の間では問屋(といや)組合の全廃が話し合われており……。連作短編捕物帳。
その昔は、躙(にじ)り口こそ別だったが、中に入ると湯船は男女同じであった。松平定信の〝寛政の改革″で混浴は禁止となったものの、あまり守られていなかった。湯船を分けるのが非効率だったからである。天保の治世にあっては、湯女などを置く店は摘発されたが、混浴は庶民にとって、さほど抵抗はなかった。
薩摩沖や肥前五島、隠岐の島、佐渡や松前などに出向いて、異国船から御禁制の品々を買っていたのだ。天保の世の日本近海には、清国や朝鮮は元より、欧米からの商船も出没していた。
書名:お人形屋さんに来たネコ
原題:The Cats in the Doll Shop
著者:ヨナ・ゼルディス・マクドノー(アメリカ作家)
出版:徳間書店
内容:1915年、米国ニューヨークの移民街。十一歳の女の子アナは三人姉妹のまん中。家族で暮らしているアパートの一階で両親はお人形屋さんを営んでいる。以前は人形の修理屋さんだったけれど、第一次世界大戦をきっかけに人形を作って売るお店になった。ある日、両親のふるさとロシアから、アナと同い年のいとこタニアがやって来て、一緒に住むことになった。ところがタニアはアメリカの生活になじめず、アナたちともうちとけない。アナは何とか仲良くなりたいけど、タニアは英語が解らないこともあって全く喋らない。同じころ、裏のアパートの非常階段で野良ネコが子ネコを生んだ。でも、そのアパートに住む意地悪な口ひげの男が、ネコたちをほうきで階段からはらい落とした。ケガをした子ネコを助けたいアナたちは……。ロシアから移民してきたユダヤ教徒の一家の物語。
※2011年初版
※著者はイスラエルのハデラで生まれ、米国ニューヨークのブルックリンで育つ。
※1860年代、ヨーロッパとアメリカで、フランス製ビスク人形が大人気となる。
1880年代、ドイツ製のビスク人形が大流行する。
1914年、ヨーロッパで第一次世界大戦がはじまる。
1917年、アメリカが第一次世界大戦に参戦。ドイツにたいして、『出入港禁止命令』を出した。アメリカとドイツが敵同士になると、二つの国のあいだで、ものを売ったり買ったりすることができなくなった。当時、人形やおもちゃを世界で一番たくさん作っていたのはドイツで、本書のアナの父親もドイツから部品を取り寄せて修理していたが、それが出来なくなってしまった。
※アナの一家が住んでいた、ニューヨーク州のマンハッタン島にある、ローワーイーストサイドは、ユダヤ教徒の人たちが集まる地区でした。地図を広げてマンハッタン島を見ると、ローワーイーストサイドは、ずっと下の右端にあります。「ローワー」は「下の方」、「イーストサイド」は「東側」という意味です。
※アナのモデルは『マダム・アレクサンダー・ドールズ』という大きな人形メーカーを築きあげたバーサ・アレクサンダー。
雪の上にねころんで、うでを上げたり下げたりして天使のようなあとをつけた
書名:うちはお人形の修理屋さん
原題:The Doll Shop Downstairs
著者:ヨナ・ゼルディス・マクドノー(アメリカ作家)
出版:徳間書店
内容:1914年、米国ニューヨーク。九歳の女の子アナの父親は人形の修理屋さんで、ローワーイーストサイド地区のエセックス通りで『ブライトルマン人形修理店』を営んでいる。お店の二階のアパートに家族で住んでおり、絵の上手な母親や、優等生の姉ソフィーと甘えん坊の妹トルーディと幸せに暮らしている。三人姉妹はお人形で遊ぶのが大好きだけど、高価なため自分たちの物は持っていない。だから父親が預っている人形の中でお気に入りに名前をつけて、ときどき遊ばせてもらい大事にしていた。ところが、ヨーロッパで第一次世界大戦が始まり、そのせいで人形の修理に必要な部品を輸入できなくなってしまう。そこで父親の力になりたいと、アナが考えついたことは……。ロシアから移民してきたユダヤ教徒の一家の物語。
※2009年初版
※著者はイスラエルのハデラで生まれ、米国ニューヨークのブルックリンで育つ。
※1860年代、ヨーロッパとアメリカで、フランス製ビスク人形が大人気となる。
1880年代、ドイツ製のビスク人形が大流行する。
1914年、ヨーロッパで第一次世界大戦がはじまる。
1917年、アメリカが第一次世界大戦に参戦。ドイツにたいして、『出入港禁止命令』を出した。アメリカとドイツが敵同士になると、二つの国のあいだで、ものを売ったり買ったりすることができなくなった。当時、人形やおもちゃを世界で一番たくさん作っていたのはドイツで、本書のアナの父親もドイツから部品を取り寄せて修理していたが、それが出来なくなってしまった。
※アナの一家が住んでいた、ニューヨーク州のマンハッタン島にある、ローワーイーストサイドは、ユダヤ教徒の人たちが集まる地区でした。地図を広げてマンハッタン島を見ると、ローワーイーストサイドは、ずっと下の右端にあります。「ローワー」は「下の方」、「イーストサイド」は「東側」という意味です。
※アナのモデルは『マダム・アレクサンダー・ドール・カンパニー』の創業者バーサ・アレクサンダー。
カナリアは、羽の色が金色(ゴールド)だから、名前はゴールディ。
土曜日は『安息日』だから、なにもかもお休みになる。
きのうの紅茶だから、もうつめたい。火をつけることも仕事になるから、安息日にはお湯もわかせないのだ。金曜日の夜から土曜日の夜まで、ユダヤ教徒は、どんな仕事もしてはいけなかった。

