逢魔が時三郎2 | kanoneimaのブログ

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私的備忘録

書名:逢魔が時三郎 誇りの十手
著者:井川香四郎(いかわこうしろう)
出版:コスミック・時代文庫
内容:江戸時代、天保年間。北町奉行・遠山左衛門尉景元(とおやまさえもんのじょうかげもと)の配下で定町廻り方・大間(おおま)徳三郎は「逢魔(おうま)が時三郎」とあだ名されている。幼少より気が弱く頼りない同心なのだが、手柄を次々と挙げていた。というのも、父親の代からの岡っ引き文治(ぶんじ)が幽霊になってからも彼の手助けをしているからだ。ある日、時三郎が朝風呂を楽しんでいると、芝居小屋が火事だという知らせが飛びこんだ。そのうえ火事跡から勘定奉行の死体が発見された。折しも江戸城の幕閣の間では問屋(といや)組合の全廃が話し合われており……。連作短編捕物帳。

その昔は、躙(にじ)り口こそ別だったが、中に入ると湯船は男女同じであった。松平定信の〝寛政の改革″で混浴は禁止となったものの、あまり守られていなかった。湯船を分けるのが非効率だったからである。天保の治世にあっては、湯女などを置く店は摘発されたが、混浴は庶民にとって、さほど抵抗はなかった。

薩摩沖や肥前五島、隠岐の島、佐渡や松前などに出向いて、異国船から御禁制の品々を買っていたのだ。天保の世の日本近海には、清国や朝鮮は元より、欧米からの商船も出没していた。