11月23日(月) 「NHKスペシャル~立花隆がんの謎に挑む」の備忘録
http://www.nhk.or.jp/special/onair/091123.html
立花さん自身は、多発性膀胱がんに罹り、
まだ再発はしていないが、再発率が70~90%
なおかつ遠隔転移をした場合の5年生存率は25%とのこと
●抗がん剤治療について
物理学者 戸塚洋二氏(2008年7月10日にご逝去)の
大腸がんの再発、転移に伴う科学療法の記録
17回目の抗がん剤治療で、再発転移した腫瘍が治療が効かず大きくなる
副作用で手の皮膚がひどいあかぎれになっているのが映し出された
※戸塚氏の闘病ブログ → The Forth Three-Months
1971年に米国で宣言された「がん戦争」
38年過ぎた今、がんの原因はほぼ解明されたが
(初めてがん遺伝子(RAS)を発見したのは、マサチューセッツ大学のロバート・ワインバーグ教授)
治療方法は進歩していない
抗がん剤が効く(治せる)がんは
1.急性白血病
2.悪性リンパ腫
3.睾丸がん
4.絨もうがん
の4種類のみに留まる
(国立がんセンターより
)
※同様の情報が国立がんセンターのHPに記載されていた
現在の抗がん剤のひとつソラフェニブ(分子標的薬)は
・がん細胞がパスウェーを通って体内に巡るのを防止するのが目的だが
・しかし、がん細胞は違うパスウェーを見つけてしまう
イギリスでこのパスウェーの全体像をつかむ研究がおこなわれたが
がん患者のがん遺伝子はひとりひとり異なり、ひとつとして同じものがなく
したがって、治療に効果をもたらす成果は得られていないのが現実
患者が死亡した後も、がんは増え続ける
●がんをどう治すのか
人間は生きていること自体そのものが「がんを生む」
細胞分裂時に細胞のコピーミス(がんの原因)が起きることは当たり前
進化したがん遺伝子→ HIF-1
・HIF-1とはがんを浸潤、転移させる遺伝子のこと
・血管を自ら作り、そこから栄養をとりこみ成長し、
・がん細胞を、低酸素に強く、移動能力が高い細胞に育てる
このHIF-1を攻撃できればがん治療に有効だが
HIF-1は、酸素を必要とする生物にとって不可欠な遺伝子であり
実際100以上の遺伝子にも影響を及ぼす
つまりある特定のがん遺伝子をたたけばいいというものではないことがわかった
●免疫は何故がんに作用しきれないのか
正常細胞は裏切る→免疫システムの要であるマクロファージ(免疫細胞)は、がん細胞の手助けをする動きをすることが分かってきている
●がん幹細胞説
がん幹細胞とは、がんを生みだす根源となる細胞だが
抗がん剤が効かない細胞であり、効いたとしても耐性ができるがん細胞でもある
さらにこのがん幹細胞は、正常の幹細胞とも極めて似ており
人工的につくられたiPSなどの幹細胞が、がん化することも珍しくない by 山中教授
つまり、再生細胞はがんのリスクを増やす
だから人間は進化の過程で再生能力を捨てたのではないか、というのが山中教授の説
●立花隆氏によるまとめ
1.がんの医学的克服はしばらくはない
2.がんはしぶとすぎるほどしぶとく、生命そのものと密接につながっているものである
3.したがって、がんといたずらに闘うより、QOLを大事にしたいものである