ぢゅです。どもども。
今回は、ソシャゲにおいて全てのキャラやアイテムをコンプリートしたくなる理由について考えていきたいと思います。
-----
世の中を見渡してみると、特定の分野のモノを集めることを楽しんでいる、いわゆる蒐集家、コレクターと呼ばれる人たちがいます。一方で、特に集めているモノが無い人もいます。それはソシャゲでも同じで、蒐集を楽しんでいる人と、そうでない人がいます。
今現在の私は、ソシャゲの世界においても、現実の世界においても、集めているモノはありません。しかし、子供のころは、切手や、お菓子についてくるカードを集めて楽しんでいました。持っていない切手やカードに出くわしたとき、嬉しい気持ちになったことを覚えています。その嬉しさが依存するほど癖になれば、もっと集めていたと思いますが、そこまでには至りませんでした、当時の私は、ピアノや算数や自転車やゲーム作りなど、他に夢中になっていることが多かったからかもしれません。
さて、モノを集めるという行為は、(集めるモノにもよりますが)できる範囲で自然体で行っていれば、お金はそれほどかからないでしょう。ところが、100%全てのモノを集める、つまりコンプリートをしようとすると、莫大なお金がかかる傾向にあります。多くのソシャゲでも同じことがいえます。全てのキャラやアイテムをコンプリートするには多くの課金が必要になります。…にもかかわらず、コンプリートを目指す人が出てきてしまうのは、どうしてでしょうか。
世の中にソシャゲが出てくる前から、コンプリートを目指して何かを集めようとするコレクターの人たちは多くいました。蒐集の動機は様々で、コミュニティの中で賞讃されたい・自慢したい(承認欲求)、応援されたい(社会的欲求)、達成感を得たい(自己実現欲求)、モノへ愛情を注ぎ孤独を忘れたい(これも社会的欲求かな)といった欲求を満たすことが目的である場合もあるでしょう。
また、集めること自体が目的になるケースもあります。新しいアイテムが手に入れば嬉しいものです。はじめのうちはどんどん集まるのですが、そうすると次第に持っていないアイテムのほうが少なくなり、新しいアイテムに出会う機会が少なくなります。この希少性が、新しいアイテムに出会ったときの快楽を増大させます。コンプリートに近づいてくればくるほど、集めにくく、手に入れたときの快楽が大きくなる…そして、どんどんエスカレートする快楽にはまり、集めるという行為に依存するようになってくるのです。
以上のような一般的なコレクターの動機はさておき、ここからは少し特殊な動機を、事例を交えて紹介したいと思います。
【事例①】
あなたは、とあるソシャゲを上位層のプレイヤーとして楽しんでいます。あるとき、ガチャイベントで新キャラが実装されましたが、性能が高くないことから入手は見送り、ガチャをまわしませんでした。半年後、運営から新機能の発表がありました。従来は5段階だった進化機能に、新たに6段階目を実装するとのことです。あなたは、更なる進化で一層強くなれることにワクワクしはじめます。しかしながら、その6段階目の実装は全てのキャラが対象ではなく、一部のキャラから徐々に開放されるとのことで、まずは半年前にリリースされたあなたの持っていないキャラが対象に選ばれました。半年前にそのキャラを入手していたプレイヤーたちは、早速新たな進化を行い、その強さを楽しみ盛り上がっています。あなたは落胆すると同時に、現在開催されているガチャイベントのことが気になり始めます。このガチャの新キャラも性能は高くはなく、あなたは入手を見送っていました。「でも、このキャラも将来強くなるかもしれない。そのときに持っていないと残念だ。」そう考えたあなたは、課金をし、ガチャをまわしはじめるのでした。
…このように、運営が性能を調整してくるゲームの場合、上位層のプレイヤーは基本的に全てのキャラやアイテムを持っておきたい気持ちにさせられます。性能の調整方法には様々なパターンがあります。この事例のような「バフ(ステータス上方修正)」を行う方法や、組み合わるとシナジーを発揮するキャラをリリースする方法、それから、有利に戦える敵キャラやクエストをリリースする方法がポピュラーなところかと思います。
運営側も、課金させるためだけに行っているわけではなく、プレイヤーに楽しんでもらうことを目的に、それぞれのキャラやアイテムに活躍の場を提供しようとした結果、このような状況を作り出してしまいます。
ただ、この事例での運営のやり方には問題があります。現在入手できないキャラのバフはいただけません。該当のキャラを持っていないプレイヤーにとっては対処方法無し=手詰まり状態になります。これは、アプリを盛り上げてくれているプレミアムなプレイヤーを引退させてしまうことにつながるでしょう。そもそも、バフを行うと、他のアイテムの価値を相対的に下げてしまいます。商品を販売した後に、その商品の価値を販売者自らが下げるというのは、厳しい見方をすると、詐欺に近いビジネスのやり方です。ですので、安直に実施するのではなく、できるだけ多くのプレイヤーに歓迎されるやり方で実施する必要があります。
【事例②】
今日は、あなたがはまっているソシャゲのラジオ放送の日。20時からの放送開始に間に合うよう、夕飯とお風呂を済ませ、珈琲を入れながら放送開始を待ちます。放送開始5分前、公式のツイッターアカウントが、「今日のラジオで大型アップデートの発表をします」とアナウンスし、プレイヤー界隈がざわつきはじめます。そのラジオでは、新しい勢力とその勢力に所属する5人の新キャラが発表され、放送は大盛り上がり。その次の日のアップデートで、新勢力が活躍するエピソードも実装され、5人の新キャラはプレイヤーの心をつかみます。エピソードの中で強調されたのは、この5人のチームワークでした。それは、誰1人欠けても成り立たない最高のチームの話だったのです。すっかりこの新キャラたちの虜になったあなたは、それらのキャラが入手できるガチャイベントに課金をします。あなたの狙いは、5人の中でも最強との評判の男性キャラと、一番気に入っている女性キャラです。その他の3キャラについては入手できなくてもいいと考えつつ、あなたは気合を入れてガチャをまわします。運のいいあなたは、ガチャを30回分まわしたところで、目当ての2キャラを引き当てることができました。当初の目的を達したあなたでしたが、急に他の3キャラも入手したいと思い始めます。チームワークの良い5人組。全員が集まっていないと気持ちが悪いのです。そして、さらに課金をしてしまうのでした。
…これは、マーケティングでいうところのディドロ効果と呼ばれている心理が働いた例です。ディドロ効果とは、もたらされた新たな価値に対して統一感を求めたがる心理のことで、わかりやすく言うと、「全部揃えたくなる心理」です。
みなさんも、アパレルや家具屋さんで、複数の商品を組み合わせたコーディネイトを提示しているところを見たことがあるかと思います。別々の商品を組み合わせて1つのセットのように見せることで、全てを揃えたいという心理を働かせることができます。Amazonで「この商品を買った人はこの商品もセットで買っています」と提示してくる機能も同じです。
ソシャゲの場合、全ての商品を一覧表示し、その中でもプレイヤーが入手した商品だけをライトアップする「図鑑機能」を実装することで、揃っているか否かを目視確認しやすくしています。この図鑑機能により、今までの全てのアイテムをコンプリートしているプレイヤーは、次に実装される新アイテムも全て集めないと気持ち悪いと感じさせる効果を持ちます。特に完璧主義的な一面があるプレイヤーは、この辺りの心理が働きやすいかもしれません。
↓グラブルの図鑑機能



