ぢゅ@メラゾーマPのブログ(ソシャゲ)

ぢゅ@メラゾーマPのブログ(ソシャゲ)

ソシャゲプロデューサー歴4年のぐだぐだ人間によるブログ。ボカロPもしてました。最近の興味は地方創生。

Amebaでブログを始めよう!

ぢゅです。どもども。

今回は、ソシャゲにおいて全てのキャラやアイテムをコンプリートしたくなる理由について考えていきたいと思います。

-----

世の中を見渡してみると、特定の分野のモノを集めることを楽しんでいる、いわゆる蒐集家、コレクターと呼ばれる人たちがいます。一方で、特に集めているモノが無い人もいます。それはソシャゲでも同じで、蒐集を楽しんでいる人と、そうでない人がいます。

今現在の私は、ソシャゲの世界においても、現実の世界においても、集めているモノはありません。しかし、子供のころは、切手や、お菓子についてくるカードを集めて楽しんでいました。持っていない切手やカードに出くわしたとき、嬉しい気持ちになったことを覚えています。その嬉しさが依存するほど癖になれば、もっと集めていたと思いますが、そこまでには至りませんでした、当時の私は、ピアノや算数や自転車やゲーム作りなど、他に夢中になっていることが多かったからかもしれません。

さて、モノを集めるという行為は、(集めるモノにもよりますが)できる範囲で自然体で行っていれば、お金はそれほどかからないでしょう。ところが、100%全てのモノを集める、つまりコンプリートをしようとすると、莫大なお金がかかる傾向にあります。多くのソシャゲでも同じことがいえます。全てのキャラやアイテムをコンプリートするには多くの課金が必要になります。…にもかかわらず、コンプリートを目指す人が出てきてしまうのは、どうしてでしょうか。

世の中にソシャゲが出てくる前から、コンプリートを目指して何かを集めようとするコレクターの人たちは多くいました。蒐集の動機は様々で、コミュニティの中で賞讃されたい・自慢したい(承認欲求)、応援されたい(社会的欲求)、達成感を得たい(自己実現欲求)、モノへ愛情を注ぎ孤独を忘れたい(これも社会的欲求かな)といった欲求を満たすことが目的である場合もあるでしょう。

また、集めること自体が目的になるケースもあります。新しいアイテムが手に入れば嬉しいものです。はじめのうちはどんどん集まるのですが、そうすると次第に持っていないアイテムのほうが少なくなり、新しいアイテムに出会う機会が少なくなります。この希少性が、新しいアイテムに出会ったときの快楽を増大させます。コンプリートに近づいてくればくるほど、集めにくく、手に入れたときの快楽が大きくなる…そして、どんどんエスカレートする快楽にはまり、集めるという行為に依存するようになってくるのです。

以上のような一般的なコレクターの動機はさておき、ここからは少し特殊な動機を、事例を交えて紹介したいと思います。

【事例①】
あなたは、とあるソシャゲを上位層のプレイヤーとして楽しんでいます。あるとき、ガチャイベントで新キャラが実装されましたが、性能が高くないことから入手は見送り、ガチャをまわしませんでした。半年後、運営から新機能の発表がありました。従来は5段階だった進化機能に、新たに6段階目を実装するとのことです。あなたは、更なる進化で一層強くなれることにワクワクしはじめます。しかしながら、その6段階目の実装は全てのキャラが対象ではなく、一部のキャラから徐々に開放されるとのことで、まずは半年前にリリースされたあなたの持っていないキャラが対象に選ばれました。半年前にそのキャラを入手していたプレイヤーたちは、早速新たな進化を行い、その強さを楽しみ盛り上がっています。あなたは落胆すると同時に、現在開催されているガチャイベントのことが気になり始めます。このガチャの新キャラも性能は高くはなく、あなたは入手を見送っていました。「でも、このキャラも将来強くなるかもしれない。そのときに持っていないと残念だ。」そう考えたあなたは、課金をし、ガチャをまわしはじめるのでした。

…このように、運営が性能を調整してくるゲームの場合、上位層のプレイヤーは基本的に全てのキャラやアイテムを持っておきたい気持ちにさせられます。性能の調整方法には様々なパターンがあります。この事例のような「バフ(ステータス上方修正)」を行う方法や、組み合わるとシナジーを発揮するキャラをリリースする方法、それから、有利に戦える敵キャラやクエストをリリースする方法がポピュラーなところかと思います。

運営側も、課金させるためだけに行っているわけではなく、プレイヤーに楽しんでもらうことを目的に、それぞれのキャラやアイテムに活躍の場を提供しようとした結果、このような状況を作り出してしまいます。

ただ、この事例での運営のやり方には問題があります。現在入手できないキャラのバフはいただけません。該当のキャラを持っていないプレイヤーにとっては対処方法無し=手詰まり状態になります。これは、アプリを盛り上げてくれているプレミアムなプレイヤーを引退させてしまうことにつながるでしょう。そもそも、バフを行うと、他のアイテムの価値を相対的に下げてしまいます。商品を販売した後に、その商品の価値を販売者自らが下げるというのは、厳しい見方をすると、詐欺に近いビジネスのやり方です。ですので、安直に実施するのではなく、できるだけ多くのプレイヤーに歓迎されるやり方で実施する必要があります。

【事例②】
今日は、あなたがはまっているソシャゲのラジオ放送の日。20時からの放送開始に間に合うよう、夕飯とお風呂を済ませ、珈琲を入れながら放送開始を待ちます。放送開始5分前、公式のツイッターアカウントが、「今日のラジオで大型アップデートの発表をします」とアナウンスし、プレイヤー界隈がざわつきはじめます。そのラジオでは、新しい勢力とその勢力に所属する5人の新キャラが発表され、放送は大盛り上がり。その次の日のアップデートで、新勢力が活躍するエピソードも実装され、5人の新キャラはプレイヤーの心をつかみます。エピソードの中で強調されたのは、この5人のチームワークでした。それは、誰1人欠けても成り立たない最高のチームの話だったのです。すっかりこの新キャラたちの虜になったあなたは、それらのキャラが入手できるガチャイベントに課金をします。あなたの狙いは、5人の中でも最強との評判の男性キャラと、一番気に入っている女性キャラです。その他の3キャラについては入手できなくてもいいと考えつつ、あなたは気合を入れてガチャをまわします。運のいいあなたは、ガチャを30回分まわしたところで、目当ての2キャラを引き当てることができました。当初の目的を達したあなたでしたが、急に他の3キャラも入手したいと思い始めます。チームワークの良い5人組。全員が集まっていないと気持ちが悪いのです。そして、さらに課金をしてしまうのでした。

…これは、マーケティングでいうところのディドロ効果と呼ばれている心理が働いた例です。ディドロ効果とは、もたらされた新たな価値に対して統一感を求めたがる心理のことで、わかりやすく言うと、「全部揃えたくなる心理」です。

みなさんも、アパレルや家具屋さんで、複数の商品を組み合わせたコーディネイトを提示しているところを見たことがあるかと思います。別々の商品を組み合わせて1つのセットのように見せることで、全てを揃えたいという心理を働かせることができます。Amazonで「この商品を買った人はこの商品もセットで買っています」と提示してくる機能も同じです。

ソシャゲの場合、全ての商品を一覧表示し、その中でもプレイヤーが入手した商品だけをライトアップする「図鑑機能」を実装することで、揃っているか否かを目視確認しやすくしています。この図鑑機能により、今までの全てのアイテムをコンプリートしているプレイヤーは、次に実装される新アイテムも全て集めないと気持ち悪いと感じさせる効果を持ちます。特に完璧主義的な一面があるプレイヤーは、この辺りの心理が働きやすいかもしれません。

 

↓グラブルの図鑑機能



-----

今回はここまでです。
 
ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー

ぢゅです。どもども。

今回は「自制心」について考えていきたいと思います。

-----

これまで、このブログでは、人間が生まれ持つ考え方の傾向や癖がソシャゲ課金を促進している事例について紹介してきました。ソシャゲを真剣にプレイすればするほど、新商品(新キャラ等)がリリースされたとき、「今すぐ手に入れたい衝動」にかられます。運営側が用意する様々な仕掛けが財布を狙ってくるわけですが、そこに守護神として立ちはだかるのが「自制心」です。

課金手段や予算を持たないプレイヤーや、無課金で楽しむことを目的にしているプレイヤーには、課金に対する自制心は不要でしょう。しかしながら、多くの課金可能なプレイヤーは、運営が魅力的な商品をリリースする度に、課金するかどうかといった判断を行うべく、自身の中で、誘惑(感情)と意思(理性)とを対立させることになります。

この意思(理性)による感情の抑制が「自制心」というもので、人それぞれ強さが異なります。自制心が弱い人のほうが、判断の際に感情を優先させてしまいがちですので、必要以上に課金してしまいます。では、自制心が強い人は、必要以上の課金はしないのでしょうか。少し事例を見ていきましょう。

【事例①】
あなたは基本は無課金のスタンスでソシャゲを楽しんでいます。それでも、ソシャゲの中で上位層としてプレイできているのは、必要以上の課金を一切せず、効果的な課金を最小限行う、自制心の強い人間だからです。ある日、そのソシャゲの中でひとりの新キャラがガチャイベントとして実装されました。あなたはそのキャラの見た目がとても気に入り、手に入れたい衝動にかられます。そのキャラの性能は、優れた面が多いものの、半年前にあなたが入手したキャラと同等程度です。似たようなキャラは必要としないゲームであることから、自制心の強いあなたは、新キャラの入手を見送ることにしました。翌朝、仕事に出かける準備をしながら、youtubeでソシャゲのプレイ動画を流します。ある実況者は、新キャラの性能は素晴らしいとべた褒めし、またある実況者は、新キャラは見た目がいいので出るまでガチャをまわすと意気込んでいます。家を出て会社に向かう途中、あなたは電車の中でソシャゲの日課をこなします。どうやら、何人ものギルドメンバーが新キャラをゲットしたようです。ふと、同等性能の旧キャラとこの新キャラとを同時に使用することでメリットが生まれるのではないかと思い立ったあなたは、検索エンジンに相談します。すると、同じことを考えたプレイヤーによる実証動画が見つかりました。その動画が言うには、同時に使用するメリットはほとんどないものの、一部の条件下ではメリットがあるかもしれないとのことでした。気が付いたら、あなたは、新キャラを手に入れるべく、課金をしていました。

…これは、自制心は強く持っていたものの、意思(理性)が課金を正当化してしまった事例です。人間は多くの人が行っていることを正しいと思い込む傾向があります(群集心理)。それにより、プレイ動画やギルドチャットで流れてくる情報を見ていると、新キャラを手に入れることが正しいと思えてくることがあります。特にプレイ動画では、「今回はガチャはひかない」という内容の動画をアップしても面白くないので、ガチャを引きまくる動画のほうが多くアップされる傾向にあります。それから、しっかりやりこんでいる上級者の実況者であればよいのですが、そうではない実況者の中には、個人の感想として新キャラを「強い」と言ってしまう人がいます。人間は自分を正当化したい生き物なので、課金して引き当てた新キャラを強いと思い込みたいのです。

この事例の最後の部分では、「新キャラを手に入れる方が正しい」という情報を探し始めています。そして、「メリットはほとんどない」という情報も見つけたにも関わらず、「メリットがあるかもしれない」という情報のほうだけを判断材料として獲得しました。以前にも紹介した「確証バイアス」と呼ばれる人間の傾向です。人は、仮説を検証する際に、それを支持する情報を無意識に集めがちで、逆に、都合の悪い情報を意識外に置きがちです。

【事例②】
金曜日の夜。この1週間、仕事をがむしゃらに頑張ったあなたは、くたくたになりながら帰りの電車に乗り込みます。頭の中は、週明けに取り組むべき課題と、年輩社員から言われた理不尽な嫌味と、今夜の夕飯のこと…に加えて、今起動したばかりのソシャゲで満たされます。ここで運よく、レアアイテムがドロップしました。あなたは少しの幸福感に包まれるも、不意に年輩社員のことを思い出し、ストレスを溜めてしまいます。ソシャゲ内のお知らせを読み返していると、仕事中はすっかり忘れていた新キャラのことを思い出します。ガチャイベントとしてリリースされたこの新キャラは、見た目がとてもあなた好みなのです。一方、性能はいまいちですので、本来のあなたであれば、課金をしてまでガチャをまわすことはありません。しかしながら、この帰りの電車の中で、あなたは1万円を課金し、ガチャを引き始めました。この新キャラが当たるかどうかはわかりません。それでも、ガチャをまわした瞬間、あなたは抱えていたストレスが少し和らいだように感じました。

…と、こういうことも起こります。これは、自制心が働かなかった事例です。人間は、脳の前頭前皮質という部分で、考え事や判断を行っています。一度に処理できるのは4つ程度と言われていて、自制心もその1つを使ってしまいます(詳しく知りたい方は、こちらの書籍がおすすめです→「最高の脳で働く方法 Your Brain at Work」著者:デイビッド・ロック)。

この事例では、1週間の会社務めが終わったばかりで、考え事が前頭前皮質に残ったままでした。それに加えて、空腹のストレスから夕飯のことを考え始め、ソシャゲの起動により考えることが更に増えました。この状態では、自制心を働かせる余裕がなかったのです。年輩社員の嫌味がなかったら、自制心が働いたのに…。

昨今、木曜日や金曜日といった週の後半にイベントを開始するソシャゲが多いです。ですから、日々ストレスを蓄積していると、週末の自制心が利きにくくなったタイミングと、イベント開始のタイミングが重なってしまい、不必要な課金が生まれてしまいがちです。人間関係などの無駄に頭に残るストレスには気を付けたいものです。

-----

今回はここまでです。以上のように、普段は自制心の強い人でも、課金を正当化してしまったり、自制心が働かない状況になると課金してしまうので、気を付けましょう。
 
ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー
 

ぢゅです。どもども。

今回は「時短」について書いていきたいと思います。「時短(じたん)」は時間短縮の略語です。何かと忙しい現代では、調理の時短(インスタント食品、切り売り野菜)、家事の時短(掃除ロボ、ノンアイロンシャツ)、購入の時短(アマゾン)、購入判断の時短(定期購入型サービス=サブスク)、買い出しの時短(ウーバーイーツ)、通勤時間の時短(リモートワーク)…と、様々な時短ニーズを捉えたビジネスが次々に生み出されています。

-----

さて、ソシャゲの世界においても「時短」はよく聞く言葉です。多くのソシャゲでは、随所に時短機能が設置されており、そのそれぞれが課金にリンクするよう作られています。ここでは、プレイヤーのニーズとそれぞれの時短機能との関係性について簡単にまとめてみようと思います。



1.ビギナーから上位プレイヤーにいち早く到達するための時短

これは、「楽をして成長を実感したい」というニーズ、「優越感を持ちたい、勝ちたい」というニーズに応えるための時短です。実際の時短機能については、以下のような例があります。

・ブーストアイテムの販売(効率アップ)
 …獲得経験値が2倍になるアイテム、
  ドロップ量あるいはドロップ率が2倍になるアイテム等

・強化アイテムの販売(時間を要するプレイのスキップ)
 …本来はドロップで入手する進化用アイテムを課金販売する等

・ガチャ等による強いキャラや装備品の販売(プレイヤースキルに依存しない部分の強化)



2.プレイ可能になるまでの待ち時間の短縮

これは主に、「現実逃避したいのでもっと遊びたい」というニーズ、「他の人より早く遊んで目立ちたい」というニーズに応える時短です。以下ようなの例があります。

・課金によるプレイ回数回復
 …クエスト周回に必要な「体力」を回復するアイテム、
  1日の実施回数に制限を加えている機能の制限解除アイテム等

・課金による障害物除去
 …次のチャプターに進むために3日間待つ必要がある制限の解除アイテム、
  完成までに2日間かかる建造物を即時に建設するアイテム等

・課金による早期プレイ開放
 …1週間後に通常リリースする商品をいち早く課金でのみ入手できる等

お気づきの方も多いと思いますが、ここに列挙した待ち時間の時短は、そもそも待ち時間が無ければ、課金する必要がないものです。つまり、課金を意識し、運営側が意図的に設置している制限なのです。ソシャゲの運営にも費用がかかりますので、一定量の課金が必要となります。ですので、課金プレイヤーを優遇するために、非課金プレイヤーを制限するような機能が設けられます。

上記の「課金による早期プレイ開放」は、シャドウバースというTCG(トレーディングカードゲーム=対戦カードゲーム)でも実装されています。シャドウバースでは、定期的に大量の新カードをリリースすることで、プレイヤーにそれまでとは違った楽しみ方を提供します。この新カードの塊のことを、新弾(しんだん)と呼ぶことがあります。「新弾の実装ができているなら、さっさとリリースして欲しい」と感じるプレイヤーを横目に、新弾リリースの数日前に「プレリリース」という形で、課金でのみ先行販売します。

シャドウバースのようなTCGは、プレイヤー自身がデッキと呼ばれる複数枚のカードセットを組み上げ、それを用いて対戦を楽しみます。デッキを構成するカードの組み合わせはほぼ無限にあるため、新弾のリリース時点では、どのカードが強いか、どんなカードの組み合わせが強いかは、わかりません。強いプレイヤーになるためには、いろいろなデッキを試すことで効果的なカードの組み合わせを探し出すと同時に、何度も繰り返し対戦することでカードの特徴や細かな動きをプレイヤー自身が身につけなくてはいけません。ですので、いち早くプレイできるということは大きな価値があるのです。

プロのシャドウバースプレイヤーだけでなく、賞金大会への出場を目指すプレイヤーは、このプレリリースを活用し(つまり、課金し)、個々の熟練度を高めます。まさに、eスポーツですね。

↓ シャドウバースの新弾プレリリース画面 (クリスタルという課金通貨でのみ購入できる)


-----

今回はここまでです。
 
ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー

ぢゅです。どもども。

今回は、前回の最後のほうでチラッと出した「人権キャラ」というワードについて書いてみようと思います。「人権キャラ」とは、ゲーム内で最高のパフォーマンスを出すために欠かすことのできないキャラクターのことです。

-----

いくつかのソシャゲでは、共に戦うチームである「ギルド」が実装されています。そして、ギルド同士を競わせ、順位(ランキング)を付けるといったイベントが開催されます。ランキング上位のギルドには良い報酬が与えられますが、上位に入賞するためには、強いプレイヤー同士でギルドを組む必要があります。

【事例①】
あなたは、ランキング上位常連のギルドで、マスター(リーダー、責任者)を務めています。ある日、ひとりのメンバーが脱退したので、ギルドに1名分の空きができてしまいました。あなたは、次のイベントに間に合うよう、BBSやSNSで新メンバーを募集します。すると、2名の希望者が応募してきてくれました。うち1名は、あなたのギルドに是が非でも参加したいという熱意あるメッセージを送ってきてくれました。そしてもう1名は、人権キャラを所持している旨のメッセージを送ってきてくれました。あなたはギルドのマスターとして強いメンバーを仲間にする責務があるため、人権キャラを持っているプレイヤーのほうを新メンバーに選んだのでした。

…というように、「人権キャラ」はギルドメンバーの試金石のような役割を果たします。

ランキング上位を狙うギルドでは、人権キャラを持っていないプレイヤーは足手まといになってしまいます。このことから、未所持のプレイヤーには上位ギルドに参加する権利がないと考える人が出現し、「人権」という言葉が使われるようになります。

この言葉は、他人に対してマウントを取りたがる残念な人が好んで使う傾向になるいった負の側面を持っています。ソシャゲ界隈では一般的な用語になりつつありますが、時と場合は考えて使ったほうが良いワードです。得てして、ソシャゲ内にはマウントを取りたがる人たちがいます。まだ人間として成熟していない…というか、世の中に対して誇れるものがまだない承認欲求の塊のような中学生や高校生プレイヤーが、ちょっとしたことでマウントを取りたくなる気持ちは大人の方々なら理解できるでしょう。この他に、現実世界で成長から目をそらしている大人は、努力をせずに良い格好をしたいというマインドセットに陥りがちです。そういう人たちが現実逃避してソシャゲにやってきて、たかだか強いキャラを持っているというだけでマウントを取ってしまうのです。

マウントを取られると、取られた本人は気にしないようにしていても、どこかでネガティブな感情が芽生えたり、ストレスを感じたり、無駄に考えたりしてしまいます。ですので、マウントを取ってくる人には、ソシャゲでも現実でも、近づかないようにしましょう。

さて、「人権キャラ」は一見するとゲームバランスを崩しているように見えますが、それでも実装されるのはどうしてでしょうか。

現実世界では、スキルや能力を育むのは時間がかかる行為であり、加えてアウトプットするにも一定の労力がかかるため、成長が実感できる機会はなかなかありません。それが、ゲームであれば、簡単に成長でき、簡単にその成果を実感できます。それがゲームが好まれる要因の一つです。「楽をして成長を実感したい」というニーズがあるのです。

ですので、ソシャゲ運営陣は、ちょっとずつ強いキャラをリリースし、そのニーズを課金につなげようとします。ちょっとずつ…であるのは、他のキャラの価値を下げすぎないようにするためです。しかしながら、いつもちょっとずつにしていると、プレイヤーはその成長速度に慣れてしまい、飽きてきます。そこで、目立った強さのキャラ、つまり「人権キャラ」を実装し、「変化」という名のストレスを発生させ、ゲーム内に熱気を取り戻させるのです。

【事例②】
あなたはランキング上位のギルドでマスターを務めています。しかしながら、最近、月1回開催されるランキングイベントにしかモチベーションがわかず、普段は物足りなさを感じています。そんなとき、次のガチャイベントで新規実装される魔法少女キャラの情報が飛び込んできました。この魔法少女は、圧倒的な火力(ダメージ量のこと)を持つアタッカーでありながら、敵の防御力を下げることができるアシストとしての役割も担うことができるとのことです。このソシャゲのランキングイベントは体力の高いボスを相手にギルドメンバー全員でどれだけのダメージ量を出せるかを競うオーソドックスなものになっており、このようなタイプのイベントでは、この魔法少女のような特徴が非常に有効であることは多くのプレイヤーに周知の事実です。人権キャラとの呼び声が高い魔法少女がガチャイベントで実装された瞬間、ゲーム全体の熱量があがります。それと連動するように、アプリ売上ランキングでこのソシャゲが急上昇をはじめます。あなたの脳は、過去に強いキャラを引き当てたときに感じた快楽の記憶を呼び起こし、この魔法少女が手に入ったときの快楽のイメージと重ね合わせます。あなたの脳は、過去に強いキャラを引き当てたときに注ぎ込んだ課金量を思い出させることはありません。そして、魔法少女を目当てに、興奮の中、ガチャを引き始めたあなた。しかしながら、なかなか当たりません。200連…、300連…、まだ当たりません。700連…、800連…、すでに課金額は20万円を超えました。ギルドのチャットを見ていると、多くのギルドメンバーが引き当てたことがわかります。あなたは、引けていないのは自分だけではないかと思い始め、危機感を持ち、900連…、1,000連と引き続けます。しかし、当たりません。そして、あなたの軍資金は尽きたのでありました。あなたは、ギルドチャットに「引退します」と打ち込み、ギルドマスターを他のメンバーに譲り、ギルドから抜け、アプリをそっと閉じたのでした。

…ソシャゲにおいて、上位層のほうにいると、まわりで目につくプレイヤーも上位層になりがちです。上位層には人権キャラを手に入れるプレイヤーが多いことから、ほぼ全員が入手しているのではないかという錯覚に陥りることがあります。人気タイトルにもなれば、人権キャラを出るまで引く動画や、引けた後にその使用感について紹介する動画がWeb上に溢れかえります。それを見て、引くのが普通なのだと思ってしまうことがあります。また、マウント取りたいだけの残念な人間が、声たかだかに引き当てたことを自慢してきます。また、権威のあるプレイヤーや尊敬するプレイヤーが「このキャラは絶対に入手すべき」という私見を発信していたりします。このような要素が組み合わさると、特定のキャラを引き当てることに固執してしまう集団を生み出してしまいます。群集心理(集団心理)と呼ばれる、一つの例に集団全体が偏るという事象です。人間は集団になると、非合理な行動を取ってしまうことがあるのです。

そして、この事例では、人権キャラを入手できなかったプレイヤーが引退を決意するに至っています。大金や多くの時間を注ぎ込んでいるので、サンクコスト(これまでにつぎこんだ投資)を考えると引退は無いのではないかと思うかもしれません。しかし、人間は「失う」ということに敏感な生き物です(プロスペクト理論)。「今までの地位を維持できない」という損失に過敏に反応し、それを耐えられないと感じてしまう人がいます。完璧主義である人ほど、その傾向が強いような気がします。

このプレイヤーのような、ゲームを盛り上げ、かつ、課金をしてくださる方の引退はゲームにとって大きなマイナスです。ましてや、「人権キャラを入手できなければ引退」という例に群集心理が働こうものなら、ゲームから上位層が減っていき、サービス終了が近づいてくるでしょう。運営側に伝えたいのは、このような上質なプレイヤーを引退に追い込んでいいのかということ、それから例え引退しなかったとしても、次に同等の強さを持ったキャラが出るまでの数か月の間、そのプレイヤーに我慢を強いていいのかということです。

ということで、ガチャに「天井」が実装されることになります。「天井」は、ガチャを一定回数まわせば、目当てのキャラを入手できる機能です。天井機能を実装するとアプリ全体での課金量は減ります。そろそろ天井だからもうちょっと頑張って引く…みたいな課金促進になるケースもあるでしょうが、課金総量は減るのが通常だと思います。

アプリのリリース直後やプロモーションの成功等でDAU(Dairy Active Users:1日当たりのプレイヤー数)が増えているうちはいいですが、高止まりが見えてくると、既存プレイヤーの囲い込みがより一層大事になります。「天井」を実装していない場合、運営側はそのタイミングで一考すべきでしょう。

-----

今回はここまでですー。本来「人権」とは、国民全員が持つ、侵すことのできない永久の権利ですからね。人権キャラって呼び方、変ですよ(本音)
 
ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー

 

 

 

↓ 私が最近プレイしているプリコネのランキング報酬。限定アイテムは含まれず、マイルドな設計。

 

 

ぢゅです。どもども。

今回のテーマは「商品のパラメータ設定」…つまり、キャラやアイテムの性能設計について話します。今現在、様々なジャンル・形態のソシャゲがリリースされていますが、昔ながらのフォーマットであるパーティを組んで敵を倒していく形態のソシャゲ(パズドラ、モンスト、グラブル、FGO、ロマサガrs等)に題材にして、運営目線で紹介します。

-----

一般的に、商品価値の高いアイテムをリリースすると、そのキャラを入手しようとするプレイヤーが多くなり、結果として売上が向上します。商品価値の高いアイテムをリリース…というのは、例えば、性能の良い新キャラをガチャイベントで提供するなどをイメージいただければと思います。

パーティを組んで敵を倒していくようなソシャゲにおいて、キャラクターの商品価値を高める最も重要な要素は「強さ」です。この「強さ」の種類が豊富であればあるほど、商品のバリエーションが増える…つまり、課金対象が増えるというメリットがあります。そのため、昨今のソシャゲでは多様な「強さ」が開発されています。

代表的なところでは、「強さ」のカテゴリには、基本ステータス、属性、役割、攻撃範囲、特殊スキル等があります。これらのカテゴリそれぞれに、ベクトル(軸)があります。

カテゴリ① 基本ステータス(ベクトル:攻撃力、防御力、素早さ、魔力…)
カテゴリ② 属性(ベクトル:火、水、風、光、闇…)
カテゴリ③ 役割(ベクトル:アタッカー、タンク=防御役、アシスト、ヒーラー…)
カテゴリ④ 攻撃範囲(ベクトル:単体攻撃特化、全体攻撃、1列攻撃、複数回攻撃…)
カテゴリ⑤ 特殊スキル(ベクトル:時間を止める、ダメージ無効化、技のモーションが短いので周回向き…)

これらのカテゴリを実装できるようにアプリ開発しておけば、あとはそれぞれのカテゴリからベクトルを選んで組み合わせれば、強いキャラを無限に生み出していくことができます。実際にやってみます。「攻撃力が高く、火属性で、アタッカーで、単体攻撃が得意で、特殊スキルは持っていない」という方向性で商品価値が高いキャラを作るとしましょう。これは、難しくないですね。既存の火属性キャラたちよりも高い値に攻撃力を設定し、アタッカーらしいスキルを持たせればよいでしょう。

もう1キャラ作ってみましょう。「素早さが高く、闇属性で、アシストで、複数回攻撃が得意で、特殊スキルは持っていない」という感じでどうでしょうか。味方キャラのステータスを一時的にアップしたり、敵を状態異常にするスキルを持たせたうえで、素早さを高く設定し誰よりも早く行動できるようにすれば、商品価値の高いキャラになるでしょう。そして、このキャラは、先ほど作った火属性のアタッカーとはまた違った強さを持っています。ですので、火属性アタッカーを入手したプレイヤーに対しても、この闇属性アシストキャラは商品価値が高く感じられるでしょう。これが商品のバリエーションです。このようにして課金をしてでも欲しいと思える商品を増やしていきます。

「強さ」にバリエーションがあるというのは、ゲーム性の面から見てもとても良いことです。様々なタイプの強キャラが存在するゲームには、パーティ構成を考える楽しさがあります。運営側は、プレイヤーそれぞれがオンリーワンのパーティを組めるゲームを目指して設計すべきです。バリエーションが少ない残念なゲームは、最強パーティが決まってしまいがちで、遊びや選択の幅が少ないため、プレイヤーは運営にコントロールされている感覚を持ちます。人間がモチベーションを継続するには「自身でコントロールできている」と感じられることが大事な要素ですので、バリエーションが無くなると、プレイヤー離れを加速させます。

とはいえ、カテゴリやベクトルを増やすための開発が追い付かない場合、やむを得ず、似たような強さのキャラをリリースをすることもあるでしょう。そのとき運営は、似たような既存キャラよりもパラメータを高くすることで商品価値を高めます。すると何が起こるでしょうか。問題となるのは、既存キャラの商品価値が落ちてしまうことです。例えば、この既存キャラが1か月前の期間限定ガチャで実装されたものであったとして、そのキャラに5万円や10万円を投資したプレイヤーがいたとした場合、彼らはどのように感じるでしょうか。それだけ投資した商品がたったの1か月で価値を失ったとしたら、大きな投資は次第に控えられていくでしょう。私個人の感覚になりますが、強さをウリにして登場したキャラは、せめて4か月~6か月の間は第一線で輝いていてほしいものです。

余談になりますが、カテゴリ⑤の特殊スキルは、バリエーションを無限に広げられる可能性を持つ一方、ひとつひとつの開発が大変になりがちです。特定の条件下で正常動作しないことがリリース後のプレイヤーからの申告でわかり、慌てて改修することになったりします。

ちなみに、1つのキャラに、同じカテゴリに含まれるベクトルを複数採用すると、「人権キャラ」や「ぶっこわれキャラ」と呼ばれるようなとても強いキャラが簡単に作れます。例えば、アタッカーでありヒーラーの役割も果たすことができるキャラや、火と光といった2つの属性を持つキャラは、ベクトルを1つしか持たないキャラと比較すると圧倒的な「強さ」を表現できていることになります。アプリリリースから1~2年くらい経ったあたりから、複数属性を持つキャラが登場するなんてのは、よくある話ですよね。

-----

今回はここまでです。次回は「人権キャラ」について書きますー
 
ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー