ぢゅ@メラゾーマPのブログ(ソシャゲ) -2ページ目

ぢゅ@メラゾーマPのブログ(ソシャゲ)

ソシャゲプロデューサー歴4年のぐだぐだ人間によるブログ。ボカロPもしてました。最近の興味は地方創生。

ぢゅです。どもども。

今回は前回のつづきで、ガチャイベントの設計について書いていきますー。ってか、本音を書くと、イベント設計について書くの、ちょっと早すぎたなぁと感じています。かなり端折っているつもりですがそれでも盛沢山すぎる…

-----

さて、マーケティングの4Pというフレームワークを活用し、ガチャイベントの企画&設計についてポイントをまとめている最中でした。Product、Price、Placeについては前回のブログを参照いただくとして、今回は最後のPであるPromotionについて事例を交えながら紹介します。

【事例①】
あなたがはまっているとあるソシャゲに、最近、ストーリーの最新話が追加されました。最新話では、自らの右腕を犠牲にして主人公を救った女性忍者キャラの背負ってきた格好良すぎる運命と悲しい過去が明らかになり、あなたはこの女性忍者キャラのファンになってしまいました。そして今日、その女性忍者が目玉キャラとして設定されたイベントガチャが開始されました。このソシャゲはそこそこ人気のタイトルで、新しいイベントがはじまる度、何人もの実況者(Youtuber等)がプレイ動画をアップします。そのプレイ動画の1つを見てみると、排出率0.7%の女性忍者キャラを見事に引き当てた実況者が「強い!これは絶対に引くべき!」と言っています。それを見たあなたは、早速アプリを立ち上げ、ガチャイベントの画面にたどり着きます。ガチャを引きたい衝動にかられますが、それでも一旦立ち止まって、本当に引くべきかを検討します。すると、ガチャイベント画面に大きく存在感のあるフォントで書かれている「期間限定!」「初回10連が半額(有料ダイヤのみ)」というキャッチが目に飛び込んできます。そしてあなたは、初回10連(半額)をまわすために課金するのでありました。

…ではこの事例について、運営側が何を準備したか、見ていきましょう。まずは、ストーリーで活躍したキャラクターを、その興奮が冷めないうちにガチャの目玉キャラに設定しました。ストーリーを使って、商品価値を向上させたのです。逆のパターンもあります。目玉キャラの宣伝のために、ストーリーの中で印象的な役割を演じさせるというものです。芸能人を売り出す、プロダクションのようですね。


それから、ゲーム実況者に依頼し、目玉キャラを使用感を伝える動画をアップしてもらいました。話が少し脱線しますが、このように書くと、世の中の全てのプレイ動画がそうなのかと思えるかもしれませんが、実際はそのような依頼に基づく動画は少ないです。また、企業から依頼されたスポンサー付きの動画であれば、ほとんどの実況者は動画内でそのことを示唆しますので、その動画が依頼に基づくものかどうかは、多くの場合、見ればわかります。

話を戻します。この事例で、運営はガチャイベントの画面上で「お得感」「限定感」をわかりやすく訴求しています。今回のケースでは、プレイヤーはガチャイベント画面にたどり着いた時点で商品(女性忍者)に大きな価値を感じており、ガチャを引く理由を何でもいいから探している状況(確証バイアス)です。ですので、嫌でも目に入るように目立たせて、お得だよー、限定だよーと伝えることで、ガチャを引く理由を提供し、最後の一押しをしたのです。

「最後の一押し」は、リアル世界の営業担当者や店頭販売員にとっては日常的な行動です。デパートのブランドコーナーで店員さんから聞こえてくる「私もそれがいいと思います。お客様の今日の髪型にピッタリですね」というやつです。最後の一押しは、購入(課金)に踏み切りやすくすると同時に、購入者の納得感や満足度を高める役割を果たします。

【事例②】
あなたは、ガチャイベントの目玉キャラである女性忍者をどうしても手に入れたいと強い衝動を感じました。が、初回の10連ガチャでは引き当てることができませんでした。そのまま、追い課金&追いガチャをしたくなりましたが、イベント期間はまだまだ永いので、一旦その日は課金を我慢しました。数日後、クエストをプレイしていると、フレンドが提供してくれるサポートキャラにその女性忍者キャラが設定されていました。サポートキャラとして借りてプレイしたあなたは、そのキャラの圧倒的な強さを体感します。そして、手に入れたい衝動が再び沸き起こります。そこに運営から、1周年のアニバーサリーだとか、アプリストアで売上1位に輝いたお礼等の理由で、かつてない程に大量の無料ダイヤが配布されました。あなたは歓喜し、そのダイヤを使ってイベントガチャをまわします。配られた大量ガチャにより50回連続でガチャをまわすことができました。あなたはこれほど連続でガチャをまわしたことがなかったので、今まで感じたことのない大興奮状態になりました。しかし、お目当ての女性忍者はまだ手に入りません。あなたは迷うことなく課金をし、ガチャを引き続けるのでした。

…このように、ソシャゲでよくあるサポートキャラ機能は、一見すると初心者やフレンドをアシストする仕組みなのですが、一方で、他のユーザーが所持しているキャラを欲しいと思わせる効果があります。

もう一段踏み込んで考えてみましょう。この事例で、サポートキャラ使用時に「圧倒的な強さ」を体感したのは、その背景にどのような設定が行われていたからでしょうか。単純に、そのキャラが圧倒的に強いのでしょうか。残念ながら、そんなことは運営の上手なソシャゲではありえないでしょう。なぜなら、圧倒的に強いキャラをリリースしてしまうとステータスのインフレが起こり、ゲームバランスが崩れ満足度が下がる=離脱率が上がる(やめる人が増える)ことにつながります。それに加え、圧倒的なキャラをリリースし続けると、今の時点での最強を目指す必要性が薄れるため、課金量が減ることになります。

圧倒的な強さの体感を生み出したのは、キャラの側にではなく、クエスト側に、そのキャラが特に活躍できるような調整が入っているからです。その目玉キャラを弱点とする敵が出現したり、スキルのタイミングが噛み合う等の細かな点がうまく作られているはずです。(Promotionではなく、Productの話になってしまいました)

そして、大量の無料ダイヤ配布です。これはほぼ全てのプレイヤーに喜ばれるPromotionではありますが、ガチャイベントと組み合わせると強力な快楽を生み出し、依存症を招く麻薬のような働きをしてしまいます(依存については、第3話を参照ください)。「運営が大量なダイヤを配布したから、誰も課金しないだろうなぁ。売上は下がるだろうなぁ」と思っていたら、アプリストアの売上ランキングで1位になっているとかありますよね。恐い話です。

-----

今回はここまでです。前回と今回の2回に渡り、イベント設計のポイントについて紹介しました。一部で廃課金についても触れましたが、それ以外のほとんどの箇所では、月の課金額が1万円までのプレイヤーをターゲットにして書きました。
 
ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー
 

ぢゅです。どもども。

今回のテーマは「イベント設計」です。ソシャゲ運営側がイベントを作っていくときにおさえておくべきポイントについて、書いていきたいと思います。このブログではここまで4回に渡り、主にガチャイベントについて取り上げ、人間がとりがちな行動について紹介してきました。という流れもあるので、今回もガチャイベントを例としてイベント設計のポイントを書いていきます。

ちなみに、運営側の人たちはイベントのことをキャンペーンと呼んだりします。が、ここではイベントという表現を使っていきますー。

-----

まず、ガチャイベントの企画&設計をはじめる前に「目的(ゴール)」を認識合わせしたいと思います。ソシャゲでイベントを開催する目的は、ARPU向上(顧客単価向上)、継続率向上、満足度向上(高評価獲得)、SNS拡散等です。その中でも日本製ソシャゲのガチャが最優先目的とするのは、多くの場合「ARPU向上(顧客単価向上)」、つまり、課金をしてもらうことです。(無慈悲に言い放ちました。)

では、課金をしてもらうための設計をはじめましょう。設計と言うと大げさな感じがするかもしれませんが、要は、商品を開発し販促をすればよいので、マーケティング系のビジネス手法を使いながら考えていくと、わりといいものができます。

今回は、ユーザの二ーズ分析は済んでいるものとして、「4P分析」と呼ばれる商品開発から販売までの戦略を策定する手法で、頭を整理してみましょう。

4P分析の「4P」とは、どんな商品(Product)を開発し、どんな価格(Price)に設定し、どんな流通経路・流通量・流通期間(Place)で市場に送りだし、どのように販促(Promotion)するか…という検討項目のことです。

1.どんな商品を開発するか(Product)

ガチャイベントであれば、目玉商品(大当たりの商品)を何にするか考えます。商品価値が高いと課金につながりやすくなります。当選物がキャラクターである場合、商品価値を上げる主な要素は下記2点。
 
・強さ(ステータスが高い、スキルが強いor唯一無二 等)
・見た目の良さ(格好いい、かわいい、セクシー、流行ってる 等)

それから、常に使える要素ではないですが、下記2点も価値を高めてくれます。

・有名IP(有名アニメとのコラボ商品 等)
・新鮮さ(アプリ内の新機能で効果を発揮する商品 等)

この他には、ガチャの目玉商品には採用しにくいのですが、以下のような商品価値を高める要素もあります。ガチャのおまけに添えるアイテムにはこういった要素が含まれているものが効果的でしょう。

・必須(持っていないとイベントに参加できない、ストーリーが当たる 等)
・希少性(ランキングの上位数名だけに与えられる 等)

・時短(「じたん」と読む:時間短縮のこと)
・自己表現(アバター、勲章、スキン 等)

2.どんな価格に設定するか(Price)

次にイベントガチャの価格設定ですが、普段のガチャや、前回のガチャイベントと比べて相対的に見たときの「お得感」が課金量に影響します。

単純に安いとお得感が出ますし、価格を据え置いたとしても目玉商品の排出率が高くなっていればお得感が出ます。

価格面では、アプリを最初にリリースするときに、普段のガチャをいくらに設定しておくかといったところが大事です。人間は、はじめに出会った価格が心に残る生き物でして、以降、無意識にそれと比較して評価をする節があります(アンカリングとかアンカー効果とかって言います)。普段の10連ガチャ(一瞬で10回分の試行ができるガチャ)がおおよそ3,000円程で、ガチャイベントのときに初回10連ガチャだけ半額…みたいな設計はあるあるです。で、その半額ってのは、運営が配った無料ダイヤ(ガチャをまわせるアプリ内通貨)は使えなくて、課金で入手したダイヤに限る…みたいな設計があるあるです。

日本製ソシャゲでは、ガチャをまわす行為に直接課金をするのでなく、アプリ内通貨(ダイヤとかジュエルとか)を課金で入手しそれを使ってガチャをまわすという方式を採用していることが多いです。大抵の場合、アプリ内通貨は、一度に購入する量が多ければ多いほど割引率が良いように設定します。ですので、大きな割引率が魅力的に見えれば、ガチャ50回分のダイヤに一気に課金する…ということが起こります。

このダイヤの販売ラインナップを、ガチャイベントのときだけ操作するような設計があるあるです。購入回数は限定するものの、普段ではありえないほど大きな割引率で提供し、お得感を強く押し出します。また、例えば、5,000円分の課金を促したい場合は、イベント期間中限定のダイヤ販売ラインナップに、5,000円のもの加えると同時に、9,800円のもの、2,400円のもの…というように、高めのセットと低めのセットを合わせて用意することがあります。これは松竹梅の選択肢があるとき竹が選ばれやすくなるというゴルディロックス効果を狙ったものです。竹が6割くらいの確率で選ばれるという実験結果もあるようです。しかしながら、私の運営経験ではそこまで極端な違いが出たことはありません。一番安いやつが結構売れます(笑)

あと、あたり前の話、価格は安ければ安いほど良いというわけではありません。ソシャゲの商品はデータですので、どれだけの量を販売しようとも仕入れ値は変わりません。つまり、どこまででも値引きできます。しかしながら、極端な話、普段3,000円のものを10円で売ったらいつもの100倍売れました!…って、それって売上が下がっとるや~ん!という感じで、値引きしすぎるのはよくありません。どこまで値引きすべきかの分析は、複数回のイベントにまたがってトライ&エラーを繰り返し微調整を重ねていく作業になりますが、シンプルに検討したい場合、値引き商品はひとりあたりの購入回数に制限をつけるというやり方がグッドです。

3.どんな流通経路・流通量・流通期間で市場に送り出すか(Place)

「Place」という単語にそぐわないことを言いますが、ガチャイベントにおいて商品の流通期間は大事です。

期間限定のガチャイベントでしか手に入らない商品のほうが、ガチャイベントが終わっても何かしら入手方法のある商品と比べて訴求力があり、課金につながります。また、期間が短い方が一日当たりの課金量は増えます。

少し嫌らしい話をしますが、開催期間の表記(何月何日から何月何日まで)については、イベントガチャをまわす画面に大きく掲載するよりも、詳細画面に遷移した先にそっと掲載するほうが、課金量が増えると感じます(私の感覚なので一般的には正しくないかもしれません)。これは、まだ少し先まで開催していることが常に目の前に表示されていると、まわすのはちょっと待ってみようかなといった感じで、ガチャをしたい衝動を抑制しやすくなるからかもしれません。もちろん、景品表示はお客様にわかりやすく見えるところに…が原則ですので、意図的に見えにくくするというのは本来やるべきではありません。

それから、流通量の話も少しだけしましょう。Priceのセクションで、値引き商品について、ひとりあたりの購入回数制限を設けると書きました。そうする理由は2つあります。1つは、買いだめの防止です。スーパーマーケットでの特売品などで、おひとり様あたり3個まで!…のような表記をご覧になったことがある方も多いかと思います。普段から売っている商品を値引き販売する場合、無制限に購入できるようにしてしまうと、買いだめにつながる可能性があります。買いだめの後、消費者はこう思います。「またいつか値引き販売されるに違いない。普段買うのはやめて、次回の値引き販売まで待とう。」と。このように、値引きしている期間以外のときは、売れなくなってしまいます。ソシャゲについても同じことが起こりまして、イベントのガチャに、普段のガチャで排出される商品も含まれている場合、買いだめ&買いだめ後の買い渋りが起こります。

購入回数を制限をするもう1つの理由は、廃課金な方々を意識したものになります。目玉アイテムが出るまでひたすらガチャをまわしてくださるプレイヤーがいる場合、値引きをすればするほど、そういったプレイヤーの課金量は下がります。値引き商品の購入回数を制限しておけば、その減少幅を一定のところでストップすることができます。

4.どのように販促するか(Promotion)

さて、4つ目のPであるプロモーションについてですが…、

奥義!

次回に!!

つづく!!!

(だって、長くなっちゃったし。)

-----

今回はここまでにします。
 
ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー

ぢゅです。どもども。

スマホアプリ(ソシャゲ)のプロデューサーが普段思っていることをお伝えするシリーズの第4回。今回は「確率」について書いていきます。

現在、日本製ソシャゲにおいて大きな収入源となっているガチャ。魅力的なキャラクターや強力なアイテムを引き当てるため、多くのプレイヤーが今日も莫大な回数のガチャをまわします。

10連ガチャという名の10回分の試行をわずか30秒間程度で終わらせる機能、額にして約2,000~3,000円…。運よくお目当てのキャラやアイテムが入手できたならば、それらを活用してしばらくの間アプリを楽しむことができます。しかしながら、当たらなかった場合、極端に言えば30秒間でその額を失ったことになります(実際には目当てのアイテムは当たらなかったとしても、何かしらは入手できています)。

最近のソシャゲガチャでは、各アイテム毎の排出率がきちんと記載されているケースが多くなってきました。これは、確率の掲載を義務付けている国や、推奨しているプラットフォームが出てくる等、世界的にそちらの方向に動いているからです。

その排出率はパーセントで表示されることが多く、レアなアイテムになると1%に満たない低確率です。ソシャゲの熟練プレイヤーにとって、1%を切るのは当たり前と思えるかもしれません。一方、(ものによって異なりますが)1回の試行に約200円~300円を必要とするガチャで排出率1%未満と聞くと、ぼったくりのように感じるプレイヤーもいるでしょう。

と、少し前置きが長くなってしまいましたが、ここからは「確率を正しく理解していないと無駄にイライラすることになりますよ」という話をしてみたいと思います。

【事例①】
今回のガチャの目玉キャラの排出率は1%。中学校の数学で習ったはずの確率計算をすっかり忘れてしまったあなたは、確率1%ならば100回まわせば出るだろうと勘違いし、ガチャ100回分の課金ならどうにかなりそうだと、ガチャをまわしはじめました。まず20回程度まわしたところで運営から配布された無料ダイヤが尽きたあなたは、課金をしてガチャをまわしつづけます。70回、80回、90回とまわしつづけましたが、目玉キャラはまだ出ません。そしていよいよ100回目…そろそろ出るだろうと思い、渾身の課金を行いガチャをまわしたのですが、残念ながら目玉キャラを手に入れることはできませんでした。

…いまどきこの事例のような勘違いをするなんてと思われたかもしれません。それでも1%の排出率ならば100回で出てほしいと願う人はまだまだいるでしょう。1%の排出率のアイテムを100回の試行で1回以上引き当てる確率は約63.4%です。つまり、約36.6%の確率で100回引いても当たらないということが起こります。3分1以上の確率で当たらないんですよね。ちなみに200回引いて当たらない確率は約13.4%。300回引いても約4.9%の確率で1回も当たらないということが起こります。

このようにかなりの回数の試行を重ねても当たらない可能性があることをきちんと把握しておくと、なかなか当たらないときのイライラや不安感は幾分マシになりますし、目玉アイテムの確率と価値を考えて今回のガチャは見送る…といった判断がしやすくなるかと思います。

以下の表は、一定の排出率で一定の試行回数を実施したそれぞれの場合で1つ以上当たる確率を簡単にまとめたものです。排出率10%のときは10回くらいで引きたいと思ってしまう、5%のときは20回くらいで出てほしい、0.5%なら200回かな…そんな事例①のような勘違いをしてしまうケースのところをこの表の中で色付けしてみました。するとどうでしょう。すべて63%付近の値が出ています。これを知っておくと、そのときそのときのガチャの排出率さえ見れば、暗算で、〇〇回引いて1度以上当たる確率は63%くらいかぁとイメージすることができます。




【事例②】
あなたは排出率1%の目玉キャラを狙いガチャを100回まわしたものの、当てることができませんでした。しかしながら、100回まわして1回以上引ける確率は約63.4%だと知っているあなたは動じません。そして、ポジティブにこう考えます。「引ける確率は63.4%なのだがら、次の10連で出るだろう。次の10連がダメでも、その次の10連なら確実に引けるだろう」と。

…これ、確率の知識がある方には滑稽な事例に思えたかもしれません。ソシャゲのガチャの多くは引いても引いても中身が減っていくことはありません。常に排出率は一定で、それぞれの試行は「独立」(他の試行の影響を受けない)です。つまり、100回引いて1度も当たらなかったからといって、次に出る確率が高くなるなんてことはありません。何度引こうが、その次の試行の排出率は変わらないのです。

さて、数学の授業のようになってきましたが、確率について詳しくなったからといって、確率を体感するのは難しいことです。確率〇%と言われても、それが大きいのか小さいのかお得なのか損なのか、よくわからないのではないでしょうか。

この「よくわからない」のせいで、非日常的な低確率に出会ったとき、人は「当たらないわけではなさそうだな」と捉えてしまうことがあります(行動経済学では「確率加重関数」と呼んだりします)。年末ジャンボ宝くじを買う人の中に「これは夢を買っているのだ」とおっしゃる方がいますが、「確率」が捉えにくいものであるが所以、本来は夢も希望も無い宝くじといったものに夢を感じてしまっているのでしょう。

本来当たらないだろう低確率を「当たりそうだ」と思い込む…そんなこと本当にあるのかと思われるかもしれません。しかしながら、人であれば、そんな思い込みくらい朝飯前です。獲得できるものが非常に魅力的なものであるとき、頭では当たらないとわかっていても、本心が手に入れたいと感じた瞬間、みなさんの脳は、当たりそうな理由を全力で探します。これは「確証バイアス」と呼ばれていて、人は自分が正しい理由ばかりを探してしまう傾向があるのです。

そして、0.1%という低排出率のアイテムを狙い課金に勤しむ人が今日も出てきてしまうのです。

みなさんも、脳が正当化理由を探し始めたら「確証バイアス」の可能性を勘繰り、一旦冷静になって反対の理由にも目を向けるよう心掛けてみてください。そうすることにより、無謀な行動を未然に防ぐことができるかもしれません。

-----

今回はここまでです。確証バイアスは、正当化理由を上手に見つけてしまう頭の回転が早い人のほうが、影響が大きく出るだろうと思います。それが良い方向に働けば、誰もやろうと思わなかった画期的なサービスで未来を変えたりすることもあるでしょう。しかしながら、悪い方向に働けば、怪しい宗教やギャンブルに依存することもあるでしょう。
 
ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー

ぢゅです。どもども。

今回は「射幸性」(「しゃこうせい」と読む)をテーマに、ソシャゲのガチャにのめりこんでしまう理由について考えていきたいと思います。

「射幸性」は「ギャンブル性」と言ったりもします。「射幸性が高い」というのは「運良く獲得できることは稀だが、その分、見返りも大きい」ということを指します。

射幸性が高ければ高いほど、人間は快楽を感じてしまいます。当たり前の話、年賀状はがきで3%の確率で当たる切手シートをゲットするよりも、年末ジャンボ宝くじで当選率わずか0.000005%の1等賞を当てるほうがドーパミンが出ます。ソシャゲのガチャならば、高確率で排出される雑魚アイテム(既に所持)をゲットするよりも、超低確率でしか排出されない超強いアイテム(未所持)をゲットしたほうが嬉しいです。

低確率の超強いアイテムをゲットするにしても、その過程により感じられる快楽度合いは変わってきます。たったの10連でサクッと当たったケースより、100連分しかガチャを引く予算がない状態で最後の100連目でなんとかギリギリ当たったというケースのほうが、快楽度は強くなります。これは心理学で「リバーサル効果」と言われているもので、人は、ピンチ・脅威・不安から生還することで、より強い快楽を得られるのです。ジェットコースターやお化け屋敷を好む人が多いのも、リバーサル効果だといえます。

そして人間を含む動物は、一度快楽を得られることを知ってしまうと、それを反復する習性があります。ガチャに多大なる課金額を費やし心理的に辛い中で超レアアイテムを引き当てた経験をしたことがある人と無い人とでは、経験のある人のほうが、そのような行為におよぶ可能性が高くなります。一度経験すると、引き当てたときの大きな安堵感や達成感を具体的にイメージすることができるようになりますからね。ちなみに、人間は、うれしかったときの記憶は残りやすいものの、辛いときの記憶というのは忘れやすいようにできています。つまり、引き当てる前の辛さは忘れがちになり、引き当てたときの快楽は強く覚えている傾向にあるということです。よって、快楽が得られることを知ってしまうと、困難が待ち構えていようとも、人はその先にあるゴールを求めて、行動を繰り返してしまいがちなのです。

さて、ソシャゲのガチャにおいては、このような射幸性の高い体験が、いつでもどこでも手軽にスマホで味わえるというのが厄介なところです。同程度の手軽な快楽がまわりに無い場合、このようなガチャ体験ばかりを繰り返してしまう…つまり「依存」してしまうことになります。現代は高ストレス社会です。ストレスから手っ取り早く逃れるために、無意識のうちに何かへ「依存」してしまうのはよくあることです。手軽な高射幸性とストレス社会、それらがソシャゲ依存を生み出す要素になっています。

射幸性の高さが依存症を生み出すことは、ソシャゲがカジュアル化する前からも問題視されていました。例えば、パチンコ業界では、射幸性の高いギミックが法律で規制されるということがしばしば起こりました。私個人の意見にはなりますが、ソシャゲについも法律による規制を継続的に検討していく必要があると思います。既に海外では法規制が入っている国が多くあります。ただ、短絡的にガチャだけを規制すると、形を変えて射幸性の高い仕組みが導入されるだけですので、難しいところです。

【事例①】
とある中国産のソシャゲにはガチャがありません。とはいえ、強いアイテムを誰でも手に入れられるというわけではありません。この中国産アプリをやりこんでいるあなたは、アップデートが入る月初めの日が待ちどおしくてたまりません。毎月のアップデートでは、続きのストーリーと、いくつかの新ステージが追加されます。新しいステージには、一定の確率でドロップする強い装備アイテムが設定されます。あなたは、強い装備アイテムを入手するために、新ステージを誰よりもはやく周回します。ステージをプレイする毎に、体力と呼ばれるパラメータを消費するため、装備アイテム目当てにステージを周回しているとあっという間に体力が0になってしまいます。体力が尽きたあなたは、体力アイテムを課金購入し、周回を続けます。お目当ての装備がドロップするまで、ひたすら体力アイテムに課金し続ける他ありません。

…と、このように、一般的なガチャとは異なる形で、射幸性を課金につなげることができます。結局、何かの結果に「運」の要素を混ぜると、似たような仕組みが作れてしまうのです。

となると、「運」の要素をゲームとして採用すること自体が悪なのか…と言いたくなってしまいますが、ここが難しいところで、「運」の要素がまったくないゲーム=射幸性のないゲームは大多数の方にとっては退屈なものです。同じアクションに対していつも同じ結果が返ってくる…これはもはやゲームではなく、単なる作業かもしれません(人は単純な作業に快楽を感じることができるのですが、それはまた別の回で)。ですので、依存にならない程度の適度な射幸性はあるべきかと思います。

【事例②】
「おつかれさまでしたー。」今日もお客様対応でストレスのたまる一日を過ごしたあなたは、職場を出て地下鉄に乗り込むやいなや、スマホを取り出しソシャゲを起動します。今朝の通勤中に手に入れたキャラクターを育成しようと、適度なクエストを選んで挑戦。このアプリは技を使ったときに一定の確率で技のランクがアップします。あなたのキャラクターが技を使った瞬間、技のランクがアップした演出が入り、ストレスでこわばっていたあなたの表情が少しやわらかくなります。しかし、クエストを何度か繰り返していると次第に不満をたまってきます。新しいキャラの育成レベルが低いせいでクエスト突破に多くの時間が必要になることがあなたは気に入らないのです。ゲームにストレスを感じることが耐えられないあなたは、このクエストが終わり次第、アプリを閉じようと決心します…が、そのとき、新しいキャラの攻撃が一定確率で出現するクリティカルヒットとなり、今までよりも少ないターン数でクリアできました。あなたは冷静さを取り戻し、クエストでドロップしたアイテムを使用して、新しいキャラのステータスをアップすることにしました。強化を実行したそのとき、画面に「大成功」と表示され、5%の確率で発生するアイテム効果が2倍になる仕組みが発動し、あなたの新キャラは想像よりもはるかに強くなったのでした。「今日は運がいいな。」そうつぶやいて地下鉄を降りたあなたの足取りは軽やかでした。

…この事例は美化しすぎなところもありますが、要するに、運がいいと嬉しいんです。運要素は適度に大事。

-----

今回はここまでです。ちょっとダークな話になってしまいましたね(依存とかね)。

 

さて、次回は「確率」の話をしたいと書こうかなと思っています。
 

ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー

ぢゅです。どもども。
 
Q.「人はなぜソシャゲに課金してしまうのか」

A.「それは、人だから」

-----


前回は「サンクコスト」がプレイヤーさんに与える影響について簡単な事例を紹介しました。第2回となる今回は、そのサンクコスト(これまで無駄にしてきた投資)が悪さをする「コンプガチャ」について書いていきたいと思います。

 

業界に詳しい方は、「あれ?日本ではコンプガチャは禁止のはずだよね」と思われるでしょう。そのとおりです。コンプガチャとは、複数の景品を揃えることで特別なアイテムを入手できる機構を組み込んだガチャイベントのことです。過度な課金促進につながることからコンプガチャ自体は禁止となっていますが、実は、コンプガチャの仕組みを別の形で取り入れることで課金を促進している例が世の中にはあります。ここでは、そういった活用例を「コンプガチャもどき」と呼ぶことにしましょう。

 

まず、コンプガチャの悪さ加減を紹介します。例えば、超レアアイテムが3種類混ざっているガチャがあるとします。そして、それらの超レアアイテム3種類全てを揃えると最強のアイテムが貰えるというコンプガチャイベントが開催されたとします。1つ目の超レアアイテムの排出率は20%、2つ目の超レアアイテムの排出率は1%、そして3つ目の超レアアイテムの排出率は0.01%だとしましょう。このガチャを引き始めるとき、超レアアイテムのどれかが当たる確率は、21.01%です(それぞれの排出率の合計です)。よって、10連ガチャを1回まわしただけで、どれか1つを引き当ててしまう方はちらほらいるでしょう。たとえば、そのときに排出率20%のアイテムを引き当てたとして、続けて、残り2種類のどちらかを引き当てる確率はというと、1.1%になります(補足:一般的なソシャゲのガチャは引いても引いても中身が減っていかないので、何度引いても確率は同じになります)。約1%というとかなり低い確率に思えるかもしれませんが、10連ガチャを何度かまわすと、当たる人はちらほら出る感じです。

 

で、運よく1つ目と2つ目を引き当てた方は、あと1つ揃えば最強のアイテムが手に入るという状況におかれます。この状況で、ガチャをまわすためのアプリ内通貨(ダイヤやジュエルのこと。アプリによって名称は異なる)が尽きてしまった場合、課金するかどうかを判断することになります。そのとき、サンクコストを勿体ないと感じてしまうという人間のサガにより、「ここまでで2つ手に入った。この2つを手に入れるまでに使った投資を無駄にしたくない。そして、このチャンスを逃したくない。」といった思考が生まれ、課金につながる…といった流れになります。

 

加えて、人は確率というものに運命を感じてしまう特殊な生き物です。ですので、「2つまで当てることができた。この幸運を活かすべきだ」といった思考で、課金行為を正当化する人もいるでしょう。

 

ただ、最後に引き当てなければいけない超レアアイテムの排出率は0.01%です。普通、なかなか出ません。はじめのうちは「まぁ、この確率では出ないよな。でも30連くらいで当たればラッキーだから、ちょっとだけやってみるか」という軽い気持ちかもしれません。その気持ちがやがて、「ここまで来たんだ。あと1つなんだ!」と、まるで物語の主人公にでもなったかのように、ある意味ちょっとした義務感を持ちながら、ガチャを引き続け、サンクコストをあきらめることができず、廃課金(過度な課金)してしまう…

 

以上がコンプガチャです。実際は、コンプガチャに廃課金した人の全員が上記のような思考に陥っていたわけではなく、アプリの中での尊厳や居場所を守るために、確率が低いことを認識したうえでアプリに献金をするという前向きなスタンスで遊んでいらっしゃった方もいたことをここに記したいと思います。

 

で、コンプガチャは国内市場では既に禁止されていますが、ここからは、その仕組みをうまく活用している「コンプガチャもどき」について紹介していきます。


【事例1】
ロマサガrsというアプリのガチャからは、歴代のシリーズに登場した魅力的なキャラクターたちが排出されます。排出されるキャラの中には、同名のキャラクターであっても、覚えられる技が異なるものがあります。たとえば、ロマサガ2に登場した最終皇帝(女)というキャラクターには、「月光」という回復技を覚えられるバージョンと、「水鳥剣」という範囲攻撃技を覚えられるバージョンがあります。そして、このアプリの特徴として、同名のキャラクターであれば他のバージョンが覚える技を1つだけ付与できるといった機能があります。あなたは、あるときの期間限定ガチャイベントで、イベントの目玉キャラである最終皇帝(女)の「月光」バージョンを入手することができました。アタッカーであるのにも関わらず回復技を持つこのキャラはとても優秀で、あなたはクエストを何度も周回し、ステータスを高めました。その数か月後、また別の期間限定ガチャイベントが開催されました。そこには最終皇帝(女)の「水鳥剣」バージョンが排出率1%で含まれていました。あなたが、ここまで鍛え上げてきた最終皇帝(女)「月光」バージョンに、範囲攻撃技である「水鳥剣」を付与すれば、その強さは盤石になります。そこであなたは、最終皇帝(女)の「水鳥剣」バージョンを、課金してでも入手することにしました。しかし、なかなか「水鳥剣」バージョンは出てくれません。ガチャをまわしまくり、アプリ内通貨が尽きるたび、あなたは課金を繰り返すのでした…



【事例2】
プリコネリダイブというアプリのガチャからは、とても愛くるしい女性キャラクターたちが排出されます。排出されるキャラの中には、同名のキャラクターであっても、衣装が異なるものあります。たとえば、キョウカという女性キャラクターには、通常バーションと、ハロウィンバージョンがあり、恋愛パラメータがそれぞれ別個に儲けられています。この恋愛パラメータを向上させると衣装個別のシナリオが楽しめることに加えて、ステータスが微増します。このステータスの微増は、他のバージョンの同名キャラクターにも反映されます。あなたは、魔法アタッカーとして優秀な通常バージョンのキョウカを鍛え上げ、通常クエストやイベントで活用しまっくていました。とあるハロウィンで盛り上がるシーズン、期間限定ガチャイベントが開催され、そのガチャにはハロウィンバージョンのキョウカが排出率0.7%で含まれていました。普段からキョウカをパーティに入れ、愛着を持っているあなたは、ハロウィンバージョンのシナリオも楽しみたいと思うのと同時に、通常キョウカのステータス底上げのために、ハロウィンバージョンを入手したいと思いました。以下略。

この類似している2つの事例はいずれもコンプガチャではありません。コンプガチャのように1つのガチャイベントで複数の景品をコンプする必然は無いものの、「とあるキャラを持っていることで、残りのキャラが欲しくなる」というコンプガチャの仕組みだけが採用されているのです。今回ご紹介した事例は、ガチャをまわすモチベーションを高めていることに変わりはないものの、コンプによる効果はいずれも「限定的」であり、圧倒的なものではありません。もしも圧倒的なコンプ効果が表れるようゲームデザインされてしまうと、それは、プレイヤーが楽しめるものから一変し、大きな混乱とプレイヤー離れを引き起こし、程度がひどい場合は新たな法規制の誕生にもつながる可能性があるでしょう。

もしもこの文章を読んでくださっているあなたがソシャゲの運営側であるならば、コンプガチャもどきの取り扱いにはくれぐれもご注意ください。

プレイヤーとしては、アプリの中に潜む「コンプガチャもどき」を探し出し、そのコンプ効果を正しく把握しましょう。あなたが Pay to Win(課金額で勝つこと)を目指すプレイヤーでない限り、コンプ効果が大きなアプリに対しては足を洗うことをおすすめします。また、「コンプしなくったって、どうせしばらくしたらそれ以上に強いキャラが出てくるさ」といった気持ちでスルーという選択肢を持てる人になりましょう。その選択肢を持ったうえでのめるこむなら、私は止めません(笑)

-----

今回はここまでにしようかと思います。(一度、書き出すと、ほんと止まらなくなるわ…)

次回は、ガチャにはまる原因の1つである「射幸性」(ギャンブル性)についての説明と、その活用例について紹介します。

ではでは、課金は計画的に!そして、次回もお楽しみに。
 
ばいみー