2023/11/27 その2 あい鉄への転換決定 城端線に乗る | 金屋代かずおのお部屋

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あいの風とやま鉄道への移管が正式発表

本日12/19,JR西日本は「鉄道事業再事業計画の策定・申請について」という題でプレスリリースを発行し,富山県の氷見線・城端線 氷見〜高岡〜城端について,150億円を支出し両線の車両・インフラを整備すること,整備完了後には両線を「あいの風とやま鉄道(あい鉄)」に移管する計画を正式に発表しました.両線があい鉄に移管されることは「大糸線雪月花」の旅行時点では既定路線となっており,従って筆者はJR城端線への乗車を「大糸線雪月花」の旅行計画に組み込みました.

ということで,本日は予定を変更して,「【旅行記】23/11大糸線雪月花」より,城端線のパートを先に掲載します.

なお,プレスリリースの内容は記事の後半で簡単にまとめておきます.

プレスリリースは以下のURLに掲載されています.

 

 

これまでの旅路

 

 

時系列としては,筆者が朝から413系目当てに乗車した後になります.

 

  城端線へ

筆者が城端線を利用するのは2度目ですのでさくっと行きます.

高岡駅には両線の除雪で使用する「DE15 1541」がスタンバイしていました.JR東海から購入されたこの車両,当然,あい鉄には引き継がれる前に役目を終えるものと思われます.

砺波市は人口が4万人程度ですが,人口密度が高い上に「となみチューリップフェア」などの観光需要も見込まれるため,城端線では高岡〜砺波の利用者は多いです.砺波より先は初乗車になります.このような田園風景が延々と続きます.

やってきたのは南砺市の福光駅です.この駅には有人の「みどりの窓口」が残っていますので,ここで帰りの切符(城端→新岩国)を購入することにしました.複雑な長距離きっぷを,駅員の方が近隣の駅に電話で方法を調べあげながら約1時間かけて頑張って発券してくれました.申し訳ない気持ちになりました.制度上,このきっぷの売上の一部は福光駅の売上としてカウントされ,有人窓口の維持に一役,買うことができるかどうかは微妙なところです.

なお,南砺市内の福光駅と福野駅ではe5489などの引き取りができないのみならず,クレジットカードが使えません.筆者は慌てて近くのコンビニのATMから現金を引き出しました.

 

  城端駅

福光駅から2駅の城端駅に到着です.

かつては運行拠点機能があったようで構内は広く,行き止まり側に構内踏切がありました.線路の行き止まりの先には民家があります.

駅舎は観光案内所を兼ねており,近距離きっぷや民芸品・ちょっとしたお土産を買うこともできます.

乗車してきた列車がこちらです.

この両線で使用されるキハ40の一部は,氷見市出身の漫画家「藤子不二雄A」氏の「忍者ハットリくん」のラッピングがなされています.車内も,ハットリくんの柄が多いです.

途中の駅で「べるもんた」を見ることができました.この辺りからは利用者が本当に多かったです.

 

旅行記はこの辺りにいたします.この続きは帰るだけですのでかなり後になると思います.

 

続く

 

この後は帰るのみでした.

 

  鉄道事業再構築実施計画について

氷見線・城端線の両線は平均通過人員が2022年で2,000人を超えており,積雪地帯でもあることから鉄道の必要性は明らかですが,JR西日本にとっては北陸新幹線開業後「飛地路線」になっていることから,各種整備費用が高くつくことになっており,何かしらの再構築が模索されていました.一時期はLRT化する構想もありましたがたち消えになりました.

 

今回の計画は以下の内容が軸となっています.

  • 国・県・関連4市・JR西日本が合計382億円を負担し,施設整備及び経営安定支援を行う.
  • JR西日本は上述の負担に加えて46億円の経営安定資金を拠出し,合計150億円を負担する.
  • 新型車両を34両投入し,現行の24両を置き換える.
  • パターンダイヤを設定し,両線の運行本数を,高岡〜富山と同程度の60本/日に増加させる.
  • 2025年をめどに全駅で交通系ICカードを利用可能にする.
  • 高岡駅で両線の直通が可能になるよう配線を改良する.
  • 車両の整備完了後,2029年をめどに両線を「あいの風とやま鉄道」に移管する.
  • その他の整備・更新を行う.
この計画により,10年後に利用者数を約2,400人増加,赤字額を約3.8億円減少させる(それでもなお約7億円の赤字)を狙います.
また,高岡駅での「タクトダイヤ」を設定する意向もあるとも報じられています.
 
150億円は昨今頻発している災害被災路線の復旧費より大きく,JR西日本にとっても莫大な金額であることには変わりありません.ここは,富山県が豪雪地帯で軌道系公共交通の維持が重要であることが認識されていることと,これまでの富山県の取り組み,特に富山港線の富山地方鉄道への移管が成功したことが大きく,このような計画が可能になったことが大きいです.地元が鉄道を必要としていることを利用で示さなければ,知恵もお金も集まらないということです.
 
車両の価格は4.5億円/1両と設定されており,電気式気動車,形式で言うと「GV-E400型」「DEC700型」の投入を軸に進められていますが,氷見線は16.5km,城端線は29.9kmと短く,両線には目立った勾配もないことから,筆者としては「BEC819系」「EV-E801系」などといった充電式電車の投入も検討されるのではと考えています.充電設備の設置が必要ですが,エンジンのメンテナンスをあいの風とやま鉄道が行う必要がないのが強みになります.
 
地元の方にとっては非常に利用しやすい路線に生まれ変わることになるのは間違いないです.また,また一つキハ40型が活躍する路線がなくなることになるため,この機会に訪問できておいて良かったと思います.
 
氷見線にも乗車しています.その際の記事は下記をご覧ください.

 

 

 

2/15追記:その後,この再構築実施計画は正式に,JR西日本およびあいの風とやま鉄道から発表されています.

 

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/240208_00_zyouhanahimi.pdf