バイス(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

バイス(ネタバレ)

バイス



原題:Vice
2018/アメリカ 上映時間132分
監督・脚本・製作:アダム・マッケイ
製作:ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、ジェレミー・クレイマー、ウィル・フェレル、ケビン・メシック
製作総指揮:ミーガン・エリソン、チェルシー・バーナード、ジリアン・ロングネッカー、ロビン・ホーリー、ジェフ・ワックスマン
撮影:グレイグ・フレイザー
美術:パトリス・バーメット
衣装:スーザン・マシスン
編集:ハンク・コーウィン
音楽:ニコラス・ブリテル
特殊メイク:グレッグ・キャノン
出演:クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、スティーブ・カレル、サム・ロックウェル、タイラー・ペリー、アリソン・ピル、リリー・レーブ、リサ・ゲイ・ハミルトン、ジェシー・プレモンス、ジャスティン・カーク、エディ・マーサン、シェー・ウィガム、ビル・キャンプ、ドン・マクマナス、ナオミ・ワッツ、アルフレッド・モリーナ
パンフレット:★★★★★(800円/雑誌を模したデザインで気が利いてる情報量多めのパンフ。東宝ステラ、超良い仕事!)
(あらすじ)
1960年代半ば、酒癖の悪い青年だったチェイニーは、後に妻となる恋人リンに叱責されたことをきっかけに政界の道へと進み、型破りな下院議員ドナルド・ラムズフェルドの下で政治の裏表を学んでいく。やがて権力の虜になり、頭角を現すチェイニーは、大統領首席補佐官、国務長官を歴任し、ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領の座に就くが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




90点


※本作については、映画評論家の町山智浩さんによる「たまむすび」での紹介をチェックしたり、映画ムダ話(216円)を聴いたりすると良いザンス。

7月21日(日)の参議院選挙が迫っているということで、政治絡みの映画の感想をアップしておきますよ。アカデミー賞にノミネートされまくっていた上に、とにかく評判が良かったので、そりゃあ気になりましてね。5月20日(月)、auマンデイを利用して、TOHOシネマズ シャンテで観てきました(その後、錦糸町に移動して、「バースデー・ワンダーランド」「オーヴァーロード」をハシゴ鑑賞)。今度の『ワイルドスピード』、楽しみ!(・∀・し」と思ったり。


スクリーン3、公開から1ヵ月以上経過&昼間の回ながら、6割ぐらい埋まってた記憶。



本作については、尊敬する映画評論家の町山智浩さんによる「たまむすび」での紹介をチェックしたり、映画ムダ話(216円)を聴いたりすれば十分なんですけど、ああん、一応は僕の拙い感想も投下しておきますよ。もうね、スゲー面白かったです。アダム・マッケイ監督作の中ではダントツでベストだし(って、他に2本しか観てませんがー)、「政治」を扱った映画の中でもトップクラスで好きな作品になったというか。基本的にはディック・チェイニーとその妻リンがアメリカの政界でのし上がっていく」といったストーリーなんですが、当時の映像を挿入したり(ニュース映像だけでなく当時の世相を表す「エアロビクス」とか!)、アニメを入れたり、バラエティ番組的な演出をしたり、途中でエンドクレジットを流したり、いきなりシェイクスピア劇っぽく演じさせたりと、さまざまな工夫を凝らした演出をしつつ、これでもかと言わんばかりに大量の情報と政治的メッセージを詰め込んでくる…という感じ。ハッキリ言って、良くも悪くもせわしない映画なので、人によって結構評価が分かれそうな気がします。


本作では揶揄的に使われてましたが、80年代のエアロビクスの映像って牧歌的で好き。つい見ちゃう。




なんとなくジャン=クロード・ヴァン・ダムのいやらしいインストラクター振りを貼っておきますね(「ダブル・インパクト」より)。




一応、あらすじを超雑に書いておくと、飲んだくれクズ野郎のディック・チェイニーが最愛の妻に叱咤されて副大統領までのし上がると何の大義もないイラク戦争を始めてしまうも、「そんな政治家を選んだのはお前たちだ!m9・∀・) ビシッ」と観客に問題提起してくる…ってな内容。なんて言うんですかね、一番連想したのはマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー作品で、それらと同じようにアダム・マッケイ監督の政治的メッセージが特濃&特盛状態なので、ややもすると説教臭くなりそうなんですが、しかし。さまざまな演出を駆使してバカっぽいコメディ仕立てにしているため、僕的には鼻につくところがなくて(ここ重要!)、ずっと笑いながら観られたんですよね〜。とにかく感心したのはラスト、本作を見せられた“保守っぽい人”と“リベラルっぽい人”が罵り合う中で、そんなことにはまったく興味がない女性が隣の人に囁く今度の『ワイルドスピード』、楽しみ!(・∀・し」という台詞でしてね。Twitterなどで散見される“政治的な言い争いをする人”たちをメタ的に見せるだけでなく、「一番ダメなのは、面倒くさいからと楽しい方向に流れる政治に無関心な人たち」と突きつけてくるのがマジで見事だなぁと。しかもスゲー笑えたということで、僕の今年のベスト台詞になった次第。つーか、こういう“今の政治”を題材にした面白い映画が日本でもドンドン作られるようになるといいんだけどなぁ…。


こちらでも町山智浩さんが本作を解説しているので、観てみて!




それと、予想外に立身出世モノとして楽しかった。タイトルの「Vice」は「副大統領」というだけでなく「悪徳」なども意味する単語だそうで。確かに本作の主人公ディック・チェイニーが始めたイラク戦争は最低最悪だったワケですけど(そして“美しい日本”もノリノリで支持しちゃってましたよね…)、アル中の作業員としてふがいない日々を送っていたディックが妻のリンから「男なんだろ? グズグズするなYO!川 ゚д゚) コロスゾ」と超厳しく叱咤される→胸のエンジンに火が点いてから出世街道をばく進する展開は、役者さんたちの熱演のおかげで実に魅力的にも描かれていて(クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、スティーブ・カレル、サム・ロックウェルの4人は文句ナシだし、端役の人たちもスゲー良かった!)、ある種のピカレスクロマンとして面白かったというか。法の抜け道を利用しまくるクズ野郎ながらも、常に出世したいと願っている僕的にはとても羨ましく見えたりもしたというね… (´・ω・`) ナニコノオチ


なんとなく僕の気持ちを代弁する宮本武蔵を貼っておきますね(「刃牙道」より)。



その他、思ったところを書いておくと、「政界からディックが離れてエンドクレジットが流れる展開、『本当にこのまま終われば良かったのに… (´・ω・`)』と思った」とか「レストランでウェイターが悪事をメニューで提供する演出が大好き」とか「非常事態宣言で大統領が法を無視できるくだり、自民党の憲法改革案にも似たようなのが盛り込まれてたような…」とか「ナレーションをしている人がディックへの心臓提供者だったというくだり、結構どうでも良かった(フィクションみたいだし)」とかとかとか。面白い上に政治について考えさせられる見事なブラックコメディということで、本当なら100点にしても良かったんですけれども。今年8月に公開される「ワイルド・スピード」シリーズの最新作は確かに楽しみではあるものの、デッカードがハンを殺した問題はまだ片付いていない→100%スムースに受け入れられない気持ちもあるので90点という本作の出来とは無関係すぎて怒られそうな着地。何はともあれ、大切な権利なのでね、どんな主義主張だろうと選挙には足を運ぼうね!ヘ(゚∀゚*)ノ オシマイ




デジタル盤のサントラ。アナログ盤もあります。



アダム・マッケイ監督の前作。僕の感想はこんな感じ



ディック・チェイニーの評伝。ちょっと興味あります。



アダム・マッケイ監督が参考にした映画、その1。主人公を2つの角度から描いているそうな。



アダム・マッケイ監督が参考にした映画、その2。ディックとリンはシドと夏色のナンシーなのです。



アダム・マッケイ監督が参考にした映画、その3。ディックのキャラ作りに活かしたっぽい。



アダム・マッケイ監督が参考にした映画、その4。ごめんなさい、これはウソ (ノ∀`) テヘ