エンドレス・ポエトリー(R18+版)(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

エンドレス・ポエトリー(R18+版)(ネタバレ)

エンドレス・ポエトリー(R18+版)

エンドレス・ポエトリー

原題:Poesia Sin Fin
2016/フランス、チリ、日本 上映時間128分
監督・脚本・製作総指揮・美術:アレハンドロ・ホドロフスキー
製作総指揮:モイセス・コシオ、アッバース・ノクハステ、浅井隆
製作:ハビエル・ゲレロ・ヤマモト
撮影:クリストファー・ドイル
美術:パトリシオ・アギュラー、デニス・リア=ラティノフ
美術補:佐々木尚
衣装:パスカル・モンタンドン=ホドロフスキー
編集:マリリーヌ・モンティウ
音楽:アダン・ホドロフスキー
出演:アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコビッツ
パンフレット:★★★★★(800円/読み応えのある良いパンフ。柳下毅一郎さんのコラムが良かった!)
(あらすじ)
故郷トコピージャから首都サンティアゴへ移住したホドロフスキー一家。さまざまな悩みや葛藤を抱えたアレハンドロ青年は、後に世界的な詩人となるエンリケ・リンやニカノール・パラら、若きアーティストとの出会いにより、自分が囚われていた現実から解放される。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




90点


※今回の記事は、いろいろと面倒くさいので、無理して読まなくてもいいんだよ(「夜回り先生」風に)。
※本作については、こちらのブログがタメになるので、読んでみて!
※今回の記事は、「ゴッホ 最期の手紙」のネタバレに触れているので、気をつけて!


アレハンドロ・ホドロフスキー監督作は基本的に大好きだし、2014年に観てグッときた自伝的映画「リアリティのダンス」の続編ということで、前売り券を買って楽しみにしてましてね。12月下旬某日、新宿ピカデリー「パーティで女の子に話しかけるには」を観てから、いそいそと新宿シネマカリテに移動して、鑑賞いたしました。しんみりしましたよ… (´・ω・`) シンミリ


劇場入口付近にはパネルの展示があって、ロビーには記事の切り抜きがあったりして。
パネルの展示

半分ぐらい埋まっていたスクリーン2で、ドーナツとコーヒーを摂取しながら観たのです。
ドーナツとブラックコーヒー

ちなみに前売り特典は「オリジナル・ポエトリーノート」でした。
オリジナル・ポエトリーノート


アレハンドロ・ホドロフスキー監督の自伝映画「リアリティのダンス」の続編ということで、物語は前作の直後からスタートしまして。超雑にまとめると、詩人として目覚めたアレハンドロは、強権的な父親ハイメに反発して家出すると、従兄弟リカルドの勧めにより、芸術家姉妹の家に転がり込みまして。さまざまなアーティストや詩人のステラ・ディアス・バリンエンリケ・リンらと交流することにより、成長!Σ(°д° ) クワッ 仲間たちと別れると、引き留める父親を力でねじ伏せつつも、「何もくれないことで、あなたはすべてをくれた ( ´_ゝ`)」と赦して、パリへ旅立ったのでしたーー。


詩人として生きることを決意したアレハンドロは、家出しまして。
詩人に目覚めたアレハンドロ

芸術家の仲間たちと傷つけ傷つけられたりして、グングン成長。
仲間たちとの出会い

最後は父親との対決を制して、小舟でパリに向かうというね。
父親との対決、旅立ち


R18+版ということで「チンコが映っても大丈夫!(o^-')b OK!」という状況の中、前作同様、アレハンドロが考えたことや感じたことがストレートにビジュアル化される演出が炸裂しまくりでしてね。前作と同じくのメチャクチャな感じだったので、普通に楽しかったです (´∀`) ウフフ 映画序盤の「人権を無視しすぎな万引き女性の罰し方」など(ボコボコにした後、全裸にして晒す)、いろいろと度肝を抜かれたんですが、一番衝撃を受けたのは詩人のステラ。恥ずかしながら、パンフを読むまで“歌う母親”サラを演じたパメラ・フローレスの2役だとはまったく気付かなかったんですけど、2リットルのビールを飲み干して男をぶちのめすという破天荒な登場振りにはスゲー笑いつつも、僕もアレハンドロのように一目惚れしたというか。なんと彼女は実在の人物で、こちらのブログによると「秘密警察の一員で空手を習っていた過去がある」というのだから、スゴい女性がいたもんだなぁと感心いたしました。


「2リットル!」というオーダーの仕方が男らしすぎるステラ。抱かれたいです… (´Д`;) ハァハァ
ステラ(パメラ・フローレス)


あと、非常にハートを掴まれたのがラスト。アレハンドロが腕力で父親をねじ伏せると、老アレハンドロが出てきて「それはダメだ」と諭し、若いアレハンドロが父を赦すんですよ。これもまた前作と同じく、ホドロフスキーが主張するところの「サイコマジック」として、過去を書き換えた…ってことみたいでして(「ゴッホは自殺じゃなかった」という説を唱えた「ゴッホ 最期の手紙」もある意味では似ているのかも)。なんて言うんですかね、僕も自分の「乱暴者だった父親」と、ちゃんと大人になった今、接し直したいなぁと。彼が生きていたころは、憎悪と恐怖と侮蔑と哀れみが入り交じったような、まったく接したくない、いないことにしたい人間だったけれども。こちらが温かい心で迎えることで、違う運命もあったんじゃないか。

いや、元気に生きてたら僕が彼を殺していたかもしれないし、そんなナイーブなことを書いても詮無きことなんですが。たぶん、父親は「僕を構成する半分の要素」だから、やっぱりクズだとは思いたくないし、思ったままでいる自分も好きになれないんでしょうな。なんかね、ずーっと赦せなかったけど、「ぼくを探しに」を観てから父に対しての「心の険」が取れた感もあって、僕もホドロフスキー監督のように過去の気持ちを書き換えられたらと思って、あのラストはスゲー泣けた…って、伝わりますかね。まぁ、そんな具合だったので100点でも全然良かったんですが、映画中盤、エンリケ・リンと意気投合したアレハンドロが「何があっても直進する!ヽ(`Д´)人(`Д´)ノ」というシーンが普通に部屋を通り抜けるだけだったりと意外と直進じゃなくて、『魁!!男塾』の方が上だな」と冷静に思ったのでマイナス10点にした次第(信用できない採点基準)。


アレハンドロが実在の詩人エンリケ・リンと一緒に直進するシーンはそこそこ愉快ながらも…。
エンリケ・リンと歩くアレハンドロ

「男塾名物・直進行軍」を通過済みだったので、少し物足りなかった…というどうでも良い文章(「魁!!男塾」より)。
男塾名物・直進行軍


ということで、クソみたいな文章を書いちゃいましたけど、今の僕の状況や父親の人生に思いを馳せたりして、しんみりしましたよ (´・ω・`) シンミリ まぁ、基本的にはホドロフスキー監督の世界が堪能できる愉快な映画であり、現在も一部の劇場では上映中なのでね、興味がある人は前作を観てから足を運んでみてくださいな。




前作。僕の感想はこんな感じ



デジタル盤のサントラがあったので、貼っておきますね。



アレハンドロ・ホドロフスキーによるタロット研究の集大成だとか。読んでみたいけど高い… (`Δ´;)



シルヴァン・ショメ監督作。僕の感想は面倒くさい感じ