ゴッホ 最期の手紙(字幕版)(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ゴッホ 最期の手紙(字幕版)(ネタバレ)

ゴッホ 最期の手紙(字幕版)

ゴッホ 最期の手紙

原題:Loving Vincent
2017/イギリス、ポーランド 上映時間96分
監督・脚本:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン
製作:ヒュー・ウェルチマン、イバン・マクタガード、ショーン・M・ボビット
製作総指揮:デビッド・パーフィット、シャーロッテ・ウベン、ラウリー・ウベン、ガード・シェパーズ、クローディア・ブリュームフーバー、エドバルト・ノルトナー
撮影:トリスタン・オリバー、ウカシュ・ジャル
美術:マシュー・バトン
衣装:ドロタ・ロクエプロ
編集:ユスティナ・ビエルシンスカ、ドロタ・コビエラ
音楽:クリント・マンセル
出演:ダグラス・ブース、ジェローム・フリン、ヘレン・マックロリー、クリス・オダウド、シアーシャ・ローナン、ジョン・セッションズ、エレノア・トムリンソン、エイダン・ターナー、ロベルト・グラチーク、ピョートル・パムワ
パンフレット:★★★★☆(800円/コンパクトな作りながら、展覧会図録みたいで素敵)
(あらすじ)
郵便配達人ジョゼフ・ルーランの息子アルマンは、父の友人で自殺した画家のゴッホが弟テオに宛てた手紙を託される。テオに手紙を渡すためパリへと向かったアルマンは、その過程でなぜゴッホは自殺したのか、その疑問が募っていくが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


※今回の記事は、フィンセント・ファン・ゴッホが好きな人は不快になる怖れがあるので、気をつけて!
※今回の記事は、「賭博黙示録 カイジ」のネタバレに触れているので、気をつけて!


ハッキリ言って、フィンセント・ファン・ゴッホに関してはまったく興味がなくて。「生前は1枚しか絵が売れなくて自殺しちゃった人だっけ? (`∀´) カワイソー」Eカード利根川に勝つために片耳を切り落としちゃった人だよね?(゚Д゚) ウロオボエ」程度の雑な認識ですよ。だから昨年の11月3日に公開された本作についても、タイトルを見ただけで観る気ゼロであり、どんな内容かすらチェックしていなかったんですけれども。ツイッターを眺めていたら、「ゴッホの死の謎に迫るミステリー仕立てのアニメ作品」ということを知って、なんとなく心のハードルが下がりましてね。まだ1カ月フリーパスが使えることもあって、TOHOシネマズ上野にて「8年越しの花嫁 奇跡の実話」と連続で鑑賞してきました。「スバラシイッッ! ヽ(TДT)ノエライ!」と感動しましたよ。


4番スクリーン、ほぼ満席でした。2ヵ月以上も上映しているのにスゴいね。
4番スクリーン

鑑賞後の僕の気持ちを代弁する寂海王を貼っておきますね(「バキ」より)。
スバラシイッッ


感動したポイントは2つあって。1つ目は、油絵でアニメを作ったという手法。俳優の演技を撮影→その映像をベースに125人の画家たちがゴッホのタッチを真似て1秒間に12枚=合計62450枚の油絵を描いてアニメにしたというのだから凄まじい。しかも、所詮は「悪霊から身を守るため全身にお経を書いたものの、耳だけ書き忘れちゃった人だっけ?(゚⊿゚) ホウイチ?」的な認識しか持たない無教養な男ですよ、ゴッホの絵なんて数点しか知らなかったんですけど、そんな僕ですら「どこかで見たことのある油絵の世界」に入ったような感じがして、非常にグッときたのです(回想シーンはモノクロにしてメリハリをつけたのもまたお見事)。


メイキングっぽい英語の動画↓ ロトスコープとも言えるのかしらん。こちらの記事もオススメ。




2つ目は、とても優しい物語だったこと。お話を簡単に書くと、舞台は1891年夏、郵便配達人の父ジョゼフから「生前のゴッホが弟のテオに宛てた手紙が見つかったので、届けてほしい」と頼まれた“3対1のケンカにも勝利できる戦闘力を持つ青年”アルマンが、あちこちを回って関係者から話を聞いていく…という内容でしてね。パンフによると、近年の研究では「ゴッホの死は自殺じゃなかったのでは?」といった議論が盛り上がっていたようで(こちらの記事が面白いです)、本作も「イタズラ好きな若者ルネ・スクレタが偶発的に撃ってしまった→ゴッホは彼をかばったのでは?」という結論なんですよ。でね、なんて言うんですかね、僕のような“よく知らない人間”からすれば「ゴッホ=不遇な人」というイメージが強かったというか、ややもすると「生前は1枚しか絵が売れなかった挙げ句に自殺しちゃうなんて、せっかく天才だったのに哀れですなぁ!(`∀´) ケケッ」なんて失礼なことを思いがちな部分もあったんですが、しかし。


宿屋の娘に聞き込みをするアルマン。後に警官になったことから、彼を主人公にしたんですかね。
聞き込み捜査

「ピアノを弾くマルグリット・ガシェ」とか、有名な絵が“生きた状態”で次々と登場するのです。
ピアノを弾くマルグリット・ガシェ

そんな中、他殺説が浮上! ゴッホの死は自殺じゃなかったというね。
他殺説が浮上


登場人物たちが「自分が知っているゴッホ」をそれぞれ語る様子や、「穏やかに自分の死を受け入れるゴッホ」を観たりしていると、勝手に不遇だなんだと決めつけてたけど、悩んだり苦しんだりしながらもゴッホにはゴッホなりの人生があって、彼なりに満足した瞬間だってあったのかもしれないという当たり前のことに気付かされたというか。いくら偉人とは言え一面的にしか見ていなかった自分が恥ずかしくなったし、「Loving Vincent」という原題のように製作者たちがゴッホを愛しているのが伝わってきたし、「あの時代、“生前のゴッホ”を評価したり愛したりした人だっていたんだよな…」とか、いろいろ思ったりしてね。「役者さんたちと元になった絵が出てくるエンドクレジット」では涙が止まらなかった次第 (iДi) イイエイガダナー


他殺説の信憑性は置いといて、監督たちはゴッホに「良い物語」をあげたかったんじゃないかと思うのです。
ゴッホ


もうね、できれば吹替版も観に行きたいし、Blu-rayが出たらほしいし(娘が大きくなったら見せたい!)、つい「Change the ゴッホくん」を注文しちゃったほど好きになった…にもかかわらず80点なのは、「ゴッホを撃ったとされるルネ・スクレタが裁かれなくて留飲が下がらないから」という当ブログにありがちな着地。当時は16歳だったようですけど、雪藤洋士あたりに「やっていいことと悪いことの区別はつくはずだな!(`Δ´)」と地獄に落としてほしかった…。そんな誰の共感も呼ばない文章を書いて、この感想を終えたいと思います。


唐突ですが、念のため、中学生以上は容赦しない雪藤洋士を貼っておきますね(「ブラックエンジェルズ」より)。
三角絞めでつかまえて-雪藤が報復!


おしまい。




デジタル盤のサントラ。輸入盤アナログ盤もあります。



圀府寺司先生がパンフで紹介されていたヴィンセント・ミネッリ監督×カーク・ダグラス主演作。観ておこうかなぁ。



圀府寺司先生の著作。少し興味あります。