リアリティのダンス(EO18版)(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

リアリティのダンス(EO18版)(ネタバレ)

※今回の記事は、「ホドロフスキーのDUNE」のネタバレに触れているんですが、非常に良いドキュメンタリーなので、気になる人は観といて!(o^-')b オススメ!




リアリティのダンス(EO18版)

リアリティのダンス

原題:La danza de la realidad/THE DANCE OF REALITY
2013/チリ、フランス 上映時間130分
監督・製作・原作・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
製作:ミシェル・セドゥー、モイゼス・コシオ
ラインプロデューサー:グザヴィエ・ゲレロ・ヤマモト
撮影監督:ジャン=マリー・ドルージュ
衣装デザイン:パスカル・モンタンドン=ホドロフスキー
音楽:アダン・ホドロフスキー
音楽スーパーバイザー:ジョン・ハンデルスマン
音響:ジャン=ポール・ユリエ
音響エンジニア:グアダルーペ・カシアス、サンディ・ノタリアーニ
編集:マリリーヌ・モンティウ
出演:ブロンティス・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、イェレミアス・ハースコビッツ、アレハンドロ・ホドロフスキー、バスティアン・ボーデンホーファー、クリストバル・ホドロフスキー、アダン・ホドロフスキー
パンフレット:★★★★(700円/デザインが素敵。コラムも良い感じ。著名人のコメントはいらない)
(あらすじ)
1920年代、軍事政権がはびこるチリの小さな村トコピージャ。アレハンドロ(イェレミアス・ハースコヴィッツ)は高圧的な父ハイメ(ブロンティス・ホドロフスキー)と、息子を自分の父親の生まれ変わりだと信じる母サラ(パメラ・フローレス)と一緒に生活していた。一方学校では、ロシア系ユダヤ人であることからいじめられていた。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




85点


※今回の記事は、微妙に気持ち悪い自分語り要素が書かれているので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いです。

以前はそれほど興味がなかったんですけど、6月に「ホドロフスキーのDUNE」を観た時、「アレハンドロ・ホドロフスキー監督とプロデューサーのミシェル・セイドゥーが約40年振りに和解して作ることになった」なんて良いエピソードを見せられて、これは「観ておかなきゃ!(*゚∀゚)=3」と思いまして。渋谷のアップリンクで公開中の「EO18版」は無修正ということで、水曜サービスデーを利用して、観てきました。「優しい映画ダナー (´・ω・`)」と思ったり。


渋谷のアップリンクにやってきました。
渋谷のアップリンク

なんと「EO18版」は無修正で観られるのです (〃∇〃) エヘヘ
Enjoy Over 18

通路には記事の切り抜きがあったりしてね。
記事の切り抜き

なんと1階のレストランとのコラボメニューも! 食べたかったなぁ… (ノω・、)
タイアップメニュー


ホドロフスキー監督作ということで、基本的に「※イメージです(o^-')b」みたいな場面ばかりのスゲー変な作品ではあるんですけど、結構スムースに飲み込めまして。それは、今までの監督作と比べるとストーリー自体はわかりやすい上に、「①この映画はホドロフスキー監督の自伝的作品」「② ホドロフスキー監督はサイコマジックという心理療法を独自に提唱している」「③ ホドロフスキー監督は抑圧的で暴力的な父親の元で育った」などの事前情報を得ていて、さらに「④ 宇多丸師匠の『ホドロフスキーのDUNE』評を聞いて、『ホドロフスキー監督作はストレートに受け取ればいい』ってのを学んだこと」が大きかったと思います。

お話を雑に書くと、最初は少年アレハンドロの物語。ロシア系ユダヤ人ということで、高い鼻を「ピノキオ」とバカにされたり、公開自慰合戦中に割礼済みのチンコを笑われたりと(他の少年たちがバナナをこするのに、アレハンドロだけキノコをこするというベタな表現)、イジメられてまして。そんな彼を強くすべく、マッチョな父ハイメは、くすぐってみたり、本人が耐えられる限界まで殴ってみたり、麻酔ナシで歯の治療をさせたりするというね… (´Д`;) ウワァ...


少年時代のホドロフスキーはナイーブな少年。
少年時代のホドロフスキー

ところが、父ハイメの常軌を逸した教育により、麻酔ナシで折れた歯の治療をさせられるのです。
麻酔ナシで歯医者!


そんな父ハイメは無神論者でスターリンLOVEなコミュニストなんですが、息子がヘタレなせいで仲間に自分のマッチョ振りを疑われて激怒。下山してきたペスト患者を救うべく隔離された場所に突撃したら、愛馬を食われるわ、ペストに罹って瀕死になるわと散々な状態に陥るんです。ところが、妻サラの放尿治療により見事回復すると、軍事政権を独裁するイバニェス大統領の暗殺に旅立つのでした。


当初は、大統領を愛犬コンテスト中に暗殺するという計画だったんですが…。
イバニェス大統領


愛犬コンテストでの暗殺は失敗するものの、そこでの行動が誤解されて、大統領に近付くことができたハイメは、馬の使用人に就任。馬と仲良しになりつつも、泣く泣く殺して、大統領をおびき寄せるんですが…殺せない。その後、なぜか指が曲がって固まって心神喪失状態になったり、救ってくれた女性(小人)が自殺したり、イスを磨く仕事にありついたりしたものの、ナチを相手に大暴れしたら(妙なアクションシーン)、全裸でハードな拷問を受けまくることになっちゃうのです。

その後、革命が起きて、助けられたハイメが家に戻ると、またもや妻の精神治療により、自分の精神的父親=スターリン&イバニェスを乗り越えて復活! 家族3人が船で旅立つと、店に雇われていた小人が水をワインに変えて、映画は終わってました…って、ずいぶん適当に書いたんですけど、ここまで読んで物語の内容が伝わったでしょうか? (・ω・;) ウーム


最後は3人が街から旅立ってましたよ。
旅立つ3人


一応、僕なりの解釈を書いておきますと、「過去を自分好みに作り替えたんだな!Σ(゚д゚;)」と思って。序盤から中盤は、少年時代を振り返りながら、“過去の自分”を“現在の自分”が慰めることで、「確かに辛かったけど、こういうことがあったおかげで、今の自分があるんだよ ( ´∀`)ノ('A`) ヨシヨシ」と幼き日々を肯定したんじゃないかと。

で、後半は、父親の半生が中心だったワケですが…。本当は映画以上に抑圧的で酷い父親だったみたいですけど、そんな父をフィクションで癒すことで、“自分の中の父親”を赦したんだと思うんです。僕はビンス・マクマホンビリー・グラハムと和解した時の「恨むだけの人生なんて真っ平だ」という言葉がスゲー好きなんですけど、要はそういうことなんじゃないかしらん。まぁ、まったく違うかも知れませんが(苦笑)、ホドロフスキー監督だったら「その解釈もイエスだ!m9・∀・) ビシッ」なんて言ってくれそうな気がします(勝手な願望)。

僕的にツボに入ったのが、母であり妻のサラを演じたパメラ・フローレス。この人、台詞はすべてオペラ調で歌ってるわ(「監督の母親の夢が歌手だったから」だそうな)、全裸で放尿するわ、全裸で息子と隠れん坊するわ、全裸で酒場に乗り込むわと、体当たり演技のつるべ打ちで、本当に素晴らしい。ガチのオペラ歌手なんだそうですが、よくやったなぁと。今後も頑張ってほしいです。


パメラ・フローレス、人の上で放尿した時はビックリしました。
優しい母


ホドロフスキーの息子3人が、父ハイメや行者、テロリストなどを演じていたのもサイコマジックの一要素なんでしょうけど、僕的には「ホドロフスキーのDUNE」で、主役を演じられなかったことを嘆いていた息子ブロンティスがハイメ役だったのが、ちょっとグッと来ましたよ。その他、エログロ&フリークス要素もテンコ盛りで、そういう点でも良いホドロフスキー映画だったなぁと。


行者を演じたクリストバルは「アクセル・ホドロフスキー」名義で「サンタ・サングレ/聖なる血」に主演した人です。
クリストバル・ホドロフスキー

テロリスト役のアダンは今作の音楽も担当しております。
アダン・ホドロフスキー


最後に褒めておきたいのがアップリンク僕は今回、ここ限定で上映している無修正の「EO18版」を観たワケですけど、スゲー良かった!ヽ(`Д´)ノ 排泄シーンとかキンタマへの拷問とかが映倫的にアウトだったようですが、無粋なモザイクがないのは大正解だと思いました。サービスデーもありますし、どうせこの映画を観るなら、ぜひ「EO18版」を選んで欲しいところです。


あまり関係ありませんが、「007 カジノ・ロワイヤル」のキンタマ拷問シーンを貼っておきますね↓




まぁ、なんて言うんですかね、ちょっと自分の父親を当てはめて考えちゃったところはあって。例えば、自分に娘が出来てから「父としてのプレッシャー」を感じるようになると、当時の父の気持ちがわからないでもない。ただ、それにしても乱暴者だったし、じゃあ、僕が子どもの顔面に思いっきりシャモジを投げつけるかと言ったら、そんなことをする奴はクズだと断言できるから、やっぱり死ねとしか思えない(もう死んでるけど)。だからね、「ホドロフスキー監督は優しいな」って。僕は一生、そうはなれなさそうです (´・ω・`) オシマイ




映画の元になったホドロフスキー監督の自伝。やっぱり読んでおこうかなぁ。



MP3版のサントラを貼っておきますね。



何かの記事で引き合いに出されていた映画(ウロ覚え)。「フェリーニのアマルコルド」も触れられてましたな。