シンクロナイズドモンスター(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

シンクロナイズドモンスター(ネタバレ)

シンクロナイズドモンスター

シンクロナイズドモンスター

原題:Colossal
2017/アメリカ 上映時間110分
監督・制作総指揮・脚本:ナチョ・ビガロンド
製作:ニコラス・シャルティエ、ゼブ・フォアマン、ドミニク・ラスタム、ナイカリ・イピニャ、ラッセル・レビン
製作総指揮:アン・ハサウェイ、ショーン・ウィリアムソン、ジョナサン・デクター、ギャレット・バッシュ、ジャスティン・バーシュ、イ・ジェウ、チェ・ピョンホ、クリス・リットン
撮影:エリック・クレス
美術:スーザン・チャン
衣装:アントワネット・メッサン
編集:ルーク・ドゥーラン、ベン・ボーデュアン
音楽:ベアー・マクレアリー
音楽監修:リンダ・コーエン
出演:アン・ハサウェイ、ジェイソン・サダイキス、ダン・スティーブンス、オースティン・ストウェル、ティム・ブレイク・ネルソン
パンフレット:★★★(700円/町山智浩さんの解説が非常にわかりやすいです)
(あらすじ)
ニューヨークで職を失い、毎晩のように酒に酔って暴走した挙句、同棲中の彼氏に追い出されてしまったグロリア(アン・ハサウェイ)。すべてを失った彼女は生まれ育った故郷の田舎町に帰ってくる。その一方、韓国ソウルで謎の大怪獣が出現したというニュースが世間を騒がせていた。テレビに映し出された怪獣の映像を見たグロリアは、ある異変に気づく。それは自分の動作が巨大怪獣の動きと見事にシンクロしているという驚きの事実だった。舞い上がったグロリアは、怪獣を操り世界を混乱に陥れるが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




65点


※今回の感想は、「デッド・ゾーン」「新世紀エヴァンゲリオン(テレビシリーズ)」のネタバレに触れているので、知りたくない人は読まないで!
※今回の感想は、グロい画像が貼ってあるので、そういうのが苦手な人は気をつけて!


ちくしょう、愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(略称:タマフル)」の11/18放送前にはアップしようと思っていたのに、さっきやっと書き終わった感想を今さらながらアップしておきますよ。「自分探し中のダメ女と怪獣の動きがシンクロする」というワケのわからない設定を聞いて、本作には非常に興味が湧きまして。本当なら「第10回したまちコメディ映画祭in台東」で上映された時に観ようかと思ったんですけど、同じ時間帯にやることになっていた「タマフル映画祭 inしたコメ」の方をチョイスして、森田芳光監督作「そろばんずく」を観てしまった…というのは9月17日のお話。


「そろばんずく」、大人になって観直したら、スゲーどうかしてる映画で楽しかったです。
桜宮天神


で、その後に前売り券を購入して、それなりに楽しみにしてましてね。タマフルの週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったこともあって、今週水曜日の夕方、TOHOシネマズ新宿「バリー・シール アメリカをはめた男」を観てから、新宿バルト9に移動して鑑賞いたしました。「痛いほど実感る… (´・ω・`)」と思ったり。


シアター2、それなりに入ってたような気がします。
シアター2

僕の気持ちを代弁する「範馬刃牙」のひとコマを貼っておきますね。
痛いほど実感る...


最初にお話をザッと書いておくと、ニューヨークにて職を失い、アルコールに溺れる毎日を送っていたグロリアが、同棲中の彼氏ティムに愛想を尽かされたので、生まれ故郷の田舎町に帰りましてね。小学生のころの幼馴染みオスカーと偶然出会うと、彼の経営するバーでウェイトレスとして働くことになって。仕事終わりには酒を飲んだりして、それなりに愉快に過ごしていたんですが、しかし。最近、韓国に出現するようになった謎の怪獣が、朝8時ごろに近所の公園に自分が入ると出現→動きが完全にシンクロしていることに気付くのです。


自堕落な生活を送っていたせいで、グロリアは彼氏に家を追い出されまして。
彼氏に出てけと言われました

地元に戻ってみれば、幼なじみのオスカーがいろいろと助けてくれて超ラッキー。
久しぶりに会った2人

それと同時に、ソウルに巨大怪獣が出現するようになり、自分と動きがシンクロしていることを発見!
怪獣と動きがシンクロ

そのことに徳川光成も気付いた…って、どうでも良いですな (ノ∀`) テヘ
三角絞めでつかまえて-シンクロニシティ


さらにオスカーが公園に入ると、巨大ロボが出現することも判明。これらの理由は不明ながらも、自分が調子に乗った挙げ句に転倒して大勢の人を殺してしまったことを深く悔やんだグロリアは、韓国語で地面に「ごめんなさい。もうしません (ノω・、し グスン」と書きまして。これにて怪獣騒動は終わったかに見えたんですけど、今度はオスカーが暴走を開始するから面倒くさい話。最初は、グロリアが彼の友人ジョエルと寝たことに嫉妬したのかと思ったら、彼はずっとグロリアの才能に嫉妬&自分の生活がつまらないものだと感じており、“巨大な力”を手に入れたことで、自我が肥大してしまったのでした ( ゚д゚) メンドクセー


オスカーが公園に足を踏み入れると、ソウルに巨大ロボが! その原因は25年前にあった!m9`Д´) ビシッ
オスカーは巨大ロボに


というか、そもそも25年前、グロリアが作ったソウルのジオラマを公園と同じ場所でオスカーが破壊→少し不思議な落雷によって、この現象が起きるようになったということで、2人は因縁があったのだッ!川`Д´)人(`Д´ ) ウォォォォッ! 「言うことを聞かないと街を破壊する」と脅迫するオスカーにグロリアは反発するも、腕力ではコテンパンにされてしまって、まったく歯が立たない状況。そこでどうするのかと思いきや、単身、ソウルへ→なんとグロリアの怪獣がアメリカの方に出現するようになったので、オスカーを遠くに放り投げて勝利! ソウルのバーでこの顛末を店員に話そうとしたら、お酒を勧められたので、ヤレヤレ顔になったところで映画は終わってましたよ、たぶん。


直接対決ではボコボコにされてしまったので、グロリアは巨大ロボがいるソウルへ行きまして。
ソウルに行くグロリア

すると怪獣はアメリカに出現! こんな感じで勝ってました。
怪獣がアメリカに!


ハッキリ言って、尊敬する映画評論家の町山智浩さんがパンフに書いた解説を読めば十分というか、「その通り!m9`Д´) ビシッ」って感じなんですけど、とりあえず僕なりに思ったことを書いておくならば。最初は「普通の人に“SF(少し不思議)”的な現象が起きる」「登場人物が残念な人ばかり」というあたりから、あまり好きになれない映画「マルコヴィッチの穴」を連想したりしたんですけど、最後まで見てみれば、意外と身につまされる話でグッときたというか。とりあえず身につまされた2点はこんな感じ↓


① 「酒の失敗」描写が身につまされた… (´・ω・`) ダメネ

ネット炎上によってライターの職を失ったことや、ティムへの引け目などからグロリアは酒に溺れていて。オスカーもつまらない(と思っている)自分の人生からの”現実逃避”として、酒を飲みまくっていたワケですが、スゲーわかるなぁと。最近、転職云々もあって、僕も酒量が増えていて。イヤなことがあると、つい飲んじゃうんですよね…。それと、2人とも酒を飲んで失敗→翌日に反省してましたが、そういうのも「あるある」って感じで、かなり身につまされたというか。僕なんて酒を飲むとすぐ迂闊な発言をしてしまうし、暴飲暴食とかしょっちゅうだし、確か東京在住の佐々木士郎さん(ラッパー/48歳)も「自分のファンを説教して泣かせた」なんて都市伝説があったような気がするし(不要な文章)。酒を飲んでも飲まれるな。そんなフレーズをあらためて心に刻んだというね…。

サカキバラ・ゴウ先生の言葉を貼っておきますね(「逆境ナイン」より)。
酒をのんでものまれるな...


② 「自我の肥大」描写が身につまされた… (´・ω・`) シニタイ

原題の「Colossal」は「巨大な」という意味だそうですが、本作の怪獣やロボは「内なる怪獣」の象徴であって、要は「肥大した自我」の話なんだろうなと。それらが暴れるシーンは、ネット上にヘイトを撒き散らす行為とか、対立するママ友の家の外壁に落書きするとか(でも、夫婦の営みは週4回!?)、そういったことのメタファーなのかなぁと。誰だって心には“何らかの獣”が住んでいて、普段はモラルなど様々な鎖で縛って暴れないようにしているけど、ふとした瞬間から変な方向に転がっていった挙げ句、暴走してしまうことだってあるんじゃないか。前に「黒子のバスケ脅迫事件」の犯人が書いた「生ける屍の結末」を読みましたが、全然他人事には思えなかったですよ。

地元のバーでそれなりに友人がいて、それなりに慕われていたオスカーが「自分が巨大ロボになれる」と知ってから、どんどんクズになっていくくだりとか、自分だってこうなるかもしれないと思って、嫌悪しながらも怖かった。もちろん、この社会で成功するには肥大した自我だってある程度は必要なんでしょうけど、ナチス発言で炎上した高須院長とか見てると、「人間にとって大事なのはお金以上に『足るを知る』ってことなんだな」と思うようにもなって。いや、そもそも僕だってこんなブログを書いているのは、45歳にもなってまだ自己顕示欲に囚われている部分があるワケでさ…。ううむ、なんか取り留めのない文章になっちゃいましたが(汗)、いろいろと考えさせられた次第。

誰しもこんな獣を抱えて生きている…ってのは大げさではないと思うのです(「餓狼伝」より)。
こいつが出ちまう!!


とは言え、乗れなかったところも2点あって。1つ目は、オスカーが“わかりやすい悪役”になってしまったこと。グロリアと彼は鏡像関係であり、掘り下げ甲斐があるキャラじゃないですか。特に前半は、いろいろと“要素”(「オスカーは母親の葬儀に出てくれたことを覚えていたのに、グロリアはそのことを忘れてた」とか「ストーリー作りで負けていた」とか)を散りばめていたから、後半はもっと複雑な内面に迫るのかと思いきや、「田舎に住んでいる貧乏なバー経営者は、小学生のころから性悪で、今もミソジニー全開のクソ野郎でした ┐(´ー`)┌ コマッタネ」ってなっちゃうから、ちょっと”浅い”んじゃないかと。

で、2つ目はラストの展開。僕的には「デッド・ゾーン」みたいに「誰にもわかってもらえないかもしれないけど、被害を食い止めるためにオスカーを殺そう 川`・ω・´) キリッ」ということになるかと思ってましたが、「グロリアがソウルに行く→怪獣がアメリカに来る」という展開も、まぁ、許しますよ(偉そうに)。ただ、「怪獣がオスカーを放り投げるだけ」というのは、一応、スカッとしながらも、やはりマイルドではないだろうか(投げられたオスカーも五点着地などで生き残る可能性があるし)。どうせなら、もっと怪獣映画っぽく無惨な死を見せてほしかった…ってのは、無理な相談でしょうか(たぶん無理な相談)。


ラストのこのシーン、最終的には放り投げるんですけれども。
怪獣がアメリカに!

「新世紀エヴァンゲリオン(テレビシリーズ)」の渚カヲルっぽく握りつぶすとか…。
渚カヲルの首が!

「進撃の巨人」実写版ライクに食いちぎってみるとか、そんなシーンが観たかったでごわす (・ε・) チェッ
人間を食べる巨人


何はともあれ、「お嬢さん」「アトミック・ブロンド」のような「女性が強く頑張る」系映画の1本ということでは好感が持てるし、登場人物たちの“痛い”感じにも「痛いほど実感る… (´・ω・`)」と共感しちゃったので、それなりに好きな作品ではありましたよ。興味がある人は観ると良いんじゃないかしらん。




アン・ハサウェイがダメ人間を演じたジョナサン・デミ監督作。劇場で観たのに何にも覚えてない… (`Δ´;) ヌゥ



ナチョ・ビガロンド監督作。ちょっと興味あります。



ナチョ・ビガロンド監督が悪役を演じたゾーイ・ベル主演作。僕の感想はここの2本目