アトミック・ブロンド(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

アトミック・ブロンド(ネタバレ)

アトミック・ブロンド※ムービーウォッチメンのリンクを追記しました(2018/8/9)

アトミック・ブロンド

原題:Atomic Blonde
2017/アメリカ 上映時間115分
監督:デビッド・リーチ
製作:シャーリーズ・セロン、ベス・コノ、A・J・ディックス、ケリー・マコーミック、エリック・ギッター、ピーター・シュウェリン
製作総指揮:ニック・メイヤー、マーク・シャバーグ、ジョー・ノーゼマック、スティーブン・V・スカベリ、イーサン・スミス、デビッド・ギロッド、カート・ジョンスタッド
原作:アントニー・ジョンソン、サム・ハート
脚本:カート・ジョンスタッド
撮影:ジョナサン・セラ
美術:デビッド・ショイネマン
衣装:シンディ・エバンス
編集:エリザベト・ロナルドスドッテイル
音楽:タイラー・ベイツ
音楽監修:ジョン・フーリアン
スタントコーディネーター:サム・ハーグレイブ
出演:シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカボイ、エディ・マーサン、ジョン・グッドマン、トビー・ジョーンズ、ジェームズ・フォークナー、ソフィア・ブテラ、ビル・スカルスガルド、サム・ハーグレイブ、ティル・シュワイガー、ダニエル・バーンハード、サム・ハーグレイブ、ヨハネス・ヨハンソン
パンフレット:★★★(720円/それなりに良いパンフ。ストーリーがネタバレまで書いてるのは結構好き)
(あらすじ)
冷戦末期、ベルリンの壁崩壊直前の1989年。西側に極秘情報を流そうとしていたMI6の捜査官が殺され、最高機密の極秘リストが紛失してしまう。リストの奪還と、裏切り者の二重スパイを見つけ出すよう命じられたMI6の諜報員ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)は、各国のスパイを相手にリストをめぐる争奪戦を繰り広げる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




90点


※本作に関しては、映画評論家の町山智浩さんによる「たまむすび」での紹介を読むと良いです。
※今回の感想は、「ファイナル・ブラッド」のネタバレに触れているので、優しい気持ちで観てから読んで!


「斬新かつハイクオリティなアクションを送り出すスタントチーム『87イレヴン』が絡んだ“アクション満載の女スパイ映画”で主役を演じるのがシャーリーズ・セロン」なんて聞いたら、そりゃあ観たくなるのが人情ということで前売り券を購入。愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったこともあって、一昨日、TOHOシネマズ新宿で鑑賞いたしました。「ナイス、アクション!ヘ(゚∀゚*)ノ ヤッタァ!」と思ったり。


4番スクリーン、半分ぐらいの入りでしたよ。
4番スクリーン


今年はなんか「女性が強く頑張る」系の作品が目立ってるムードがなくないですか? 僕が観た範囲では「お嬢さん」とか「ワンダーウーマン」とか「ドリーム」とか「エル ELLE」とかがそんな感じだったワケですが(「モアナと伝説の海」はちょっと違うかな)、僕的には「とうとう真打ちがきた!(`Δ´;)」という印象。まず、お話を主人公ロレーン・ブロートン目線で乱暴に書いておくと、こんな感じでしてね↓


川`∀´)
アタシはMI6所属のスパイなんだけど、
上司2人とCIAのデブに「ベルリンで何があったか?」を報告しなくちゃいけなくて。
で、時間を遡って10日前から話を始めてみれば、アタシが与えられた任務は、
「世界各国のスパイの名前が記載された“リスト”を取り戻すこと」と、
「二重スパイ”サッチェル”の正体を暴いて殺すこと」で、
「ベルリン支局の諜報員パーシヴァルがサッチェルだったので殺しちゃった」
「リストは取り戻せなかったわ」なんて証言してみたものの、あれはウソだ。
実はアタシがサッチェルで、
パーシヴァルからゲットしたリストをKGBのブレモヴィッチに渡そうとしたら、
アタシを殺そうとしてきたので、計画通りに返り討ち。
最後は「最初からCIAと組んでました」っぽいムードで終わりますた。



エンドクレジットで流れるクイーンの「Under Pressure」を貼っておきますね↓




本作は「The Coldest City」というグラフィックノベルが原作とのことですが、ハッキリ言って、話はサッパリわかりませんでした。いや、大筋は理解できるんですけど、主人公を始めとするスパイたちの「できることとできないこと」や「やっても大丈夫なこととダメなこと」、「そもそも何がしたいのか?」などがよくわからなくて、イラッとするというか。「1989年のベルリン」を舞台としたスパイたちの「アタシは騙されないわ! 川`∀´) オホホホホ」「アタシこそ騙されないわよ! (´∀`し ウフフ」「そんなお前ら2人をオレが騙しているのさ ( ̄ー ̄) ニヤッ」みたいな駆け引きを描きたかったんでしょうけど、「スゴ腕のスパイたち」というよりは面倒くさい人が多いだけに見えたというか、あまり上手くいってなかったのではないでしょうか。中でもジェームズ・マカヴォイ演じるパーシヴァルは「壊れてしまった男」なんだと思いますが(ちょっと「フィルス」っぽい)、マジでどうでも良かったです。


スパイ生活が長すぎて心がどうにかなっちゃったパーシヴァルですが、なかなか面倒くさかったですな。
パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)

ソフィア・ブテラ演じるDGSEのデルフィーヌ。ロレーンとの濡れ場は良かったけど、何がしたかったのか…。
デルフィーヌ(ソフィア・ブテラ)

結局、ロレーンがサッチェルだったワケですが、ほとんどの人が勘づいてたよね (´・ω・)(・ω・`) ネー
アタシがサッチェルでした


ただ、アクションが超素晴らしかった!ヽ(`Д´)ノ なんて言うんですかね、残念ながら戦闘力という点では女性は男性にかなわないじゃないですか。そりゃあ、近作では「ワンダーウーマン」での“男どもの偏見を払拭する戦場アクションシーン”にはグッときましたが、「でも、あの子ってワンダーだしね… 川´д)ヒソヒソ (´д`し」なんて陰口も脳内から聞こえてくるし(なんだこれ)、過去作では「レイク・エンジェル」「チャーリーズ・エンジェル」とか大好きだけどさ、基本的には優しさに包まれながら飲み込んでいるワケで。ジーナ・カラーノマザー・ロシアといった”本当に強そうな人”は別として、女性の格闘アクションで説得力を持たせるって結構難しいんですよね。

だがしかし、本作のシャーリーズ・セロンは違うのです。もちろんビジュアル的には“普通の長身美女”でそれほど強そうじゃないものの、映画冒頭の氷風呂シーンで見せる鍛え上げられた背中はしなやかなネコ科動物のようで身体能力の高さをうかがわせたし、劇中で披露するファイトスタイルも考えられていて。まず、狙うのはノドか股間かヒザ関節であり、「両手で相手の片腕を摑んで引き込んで投げる」といった非力をカバーする技を繰り出しつつ、身近に武器として使えそうなものがあれば躊躇なくそれで殴って、棚を倒したりもするという手段の選ばなさ。とは言え、敵を一撃で仕留めるのは難しくて、相手からの反撃を受けて負傷したりもするんですけど、それでも立ち向かう姿が胸を打つ。


最初の登場シーンは氷風呂。傷を冷やすためっぽいんですが、乳首が見えても一切気にしなさそうな男らしさ。
氷風呂

直後に映る背中の筋肉を見て! この瞬間、僕の中の「抱かれたい女性ランキング」でトップに躍り出た!
シャーリーズ・セロンの背中

僕の気持ちを代弁する愚地独歩の画像を貼っておきますね。
いい背中見せやがる

そして、脱いだヒールをノドに叩き込むなど、武器使いまくり&急所を狙いまくりなのです (´∀`) イヤーン
ヒールでノドを!


特に映画中盤の”約7分のワンカット風アクション”は最高のひと言。あまりに可愛くて「可愛い」以外の語彙力を奪う黒猫のくくちゃんのように、もうスゲェとしか言いようがないのです。シーンの最後に繰り広げられるダニエル・バーンハード演じるKGBの工作員(役名はSoldier)とのタイマンシーンとか、あまりにカッコ良くて、涙が出るほど感動いたしました。盟友チャド・スタエルスキ監督と「87イレヴン」を設立したスタントマン出身のデヴィッド・リーチ監督による本作のアクションは「女性のリアル“風”格闘アクション」としては最高レベルだと思ったし(「映画秘宝」での町山智浩さんの記事によると「トゥモロー・ワールド」の肉弾戦版を目指したそうな)、正直、ここだけで90点でございます(このブログの採点基準が疑わしくなる文章)。


この銃撃から始まる死闘、一見の価値アリですぞ。
約7分のバトルスタート!

戦いの後はこんなボッコリ腫れた顔になるというね… (゚д゚;) リアル
傷だらけ

ダニエル・バーンハード、シャーリーズ・セロンを良い感じに追い詰めてました。
ソルジャー(ダニエル・バーンハード)


「87イレヴン」でのトレーニングが観られるメイキング。練習中、歯を食いしばりすぎて2本割れたそうな… (`Δ´;) スゲェ




その他、「1989年のベルリンの若者文化を描いたスパイ映画は珍しいのでは」とか「ガスコインが車ではねられる冒頭のアクションが良かった!」とか「トビー・ジョーンズが出てくると『裏切りのサーカス』を思い出す」とか「やっぱり最後はタイマンで締めてほしかったなぁ」とか「『ロックバルーンは99』が流れると『東たぶん変態よ』が脳裏に浮かぶ」とかとかとか。あと、ちょっと気になったのが、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演作「ファイナル・ブラッド」との共通点の多さ。「証言シーンと回想シーンが交互という構成」「『証言している女性が実は…』的な展開」「ダニエル・バーンハードが敵として出てくる」「『この話、なんだよ ( ゚д゚)、ペッ』という読後感」など、似ているところがかなりあるのですが、これは単なる偶然なのか…(無駄な深読み)。


「裏切りのサーカス」のトビー・ジョーンズ、このションボリシーンが大好きです。
ションボリ顔

ガスコインを演じたサム・ハーグレイブはスタントコーディネーターなのでした。ナイスなはねられ具合。
車ではね飛ばせ!


本作と比較すると残念な出来だけど(汗)、優しい目で観てほしいヴァン・ダム主演作の予告を貼っておきますね↓




そんなワケで、話がわかりにくいので微妙にオススメしづらいところはあるんですけど、男どもに立ち向かうシャーリーズ・セロンのアクション&雄々しさがマジで素晴らしいので、僕は大好きな映画でしたYO!ヘ(゚∀゚*)ノ ダイテ! 時間とお金に余裕があれば、もう一度観たいほどなのです。他の国では結構ヒットした→続編も作られるっぽいので、次はもう少しわかりやすい内容にしてくれるといいなぁ。

※宇多丸師匠による的確すぎな時評がアップされているので、ぜひ読んで! 使われている音楽の分析とか、素晴らしいですな〜 (´∀`) サスガ!




デジタル盤のサントラ。輸入盤もあります。



原作となったグラフィックノベル。英語版なので気をつけて!



デビッド・リーチ&チャド・スタエルスキ監督作。僕の感想はこんな感じ



シャーリーズ・セロンが超カッコイイ100点の映画。僕の感想はこんな感じ



本人も「失敗した」と語る主演アクション。「ウルトラヴァイオレット」とゴッチャになってるのは僕だけじゃないハズ。



トビー・ジョーンズ繋がりで思い出した大好きなスパイ映画。僕の感想はこんな感じ