ジョン・ウィック(IMAX2D版)(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ジョン・ウィック(IMAX2D版)(ネタバレ)

ジョン・ウィック(IMAX2D版)

ジョン・ウィック

原題:John Wick
2014/アメリカ、カナダ、中国 上映時間103分
監督:チャド・スタエルスキ
製作:ベイジル・イバニク、デビッド・リーチ、エバ・ロンゴリア、マイク・ウィザリル
製作総指揮:ピーター・ローソン、マイク・アプトン、ジョセフ・ビンセント、エリカ・リー、ケビン・フレイクス、ラー・シン、タラ・モロス、ダレン・ブルメンタル、ジャレッド・D・アンダーウッド、アンドリュー・C・ロビンソン、サム・X・アイデ、キアヌ・リーブス
脚本:デレク・コルスタッド
撮影:ジョナサン・セラ
美術:ダン・リー
衣装:ルカ・モスカ
編集:エリザベート・ロナルズ
音楽:タイラー・ベイツ、ジョエル・J・リチャード
アクション監督・スタントコーディネーター:ダリン・プレスコット
出演:キアヌ・リーブス、ミカエル・ニクビスト、アルフィー・アレン、ウィレム・デフォー、ディーン・ウィンタース、エイドリアン・パリッキ、オメル・バルネア、トビー・レナード・ムーア、ダニエル・バーンハード、ブリジット・モイナハン、ジョン・レグイザモ、イアン・マクシェーン、ブリジット・リーガン、ランス・レディック、ランダル・ダク・キム、デビッド・パトリック・ケリー、クラーク・ピータース、ケビン・ナッシュ
パンフレット:★★★(720円/オーソドックスに良いパンフ。ギンティ小林さんの解説が面白かったけど、公式サイトにも載ってるんですよね…)
(あらすじ)
伝説的な暗殺者として裏社会にその名をとどろかせるも、殺しの仕事から手を引いたジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)。暴力から遠く慣れた毎日に安らぎを覚えていた彼だったが、それをロシアン・マフィアによって奪われる。怒りと憎しみに支配された彼は、封印していた殺しのスキルをよみがえらせ、ロシアン・マフィアへのリベンジを果たすことを決意し……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




83点


※この映画に関しては、くららがたったさんとかナイトウミノワさんとかはちごろうさんの感想を読むと良いザンス。

本当ならもう少し後にアップする予定だったんですが、今週の「ムービーウォッチメン」で取り上げられることになったので、更新しておきますね。何号かは失念しましたけど、「映画秘宝」ではかなり前から今作について触れていた&高評価だったので、前売り券を購入。公開初日、TOHOシネマズ新宿にてIMAX版を観てきました。「いいやつキアヌ・リーブス!! Σ(°д°;)」と思ったり。


IMAX、公開初日の割には3分の1ぐらいの入りだった記憶。
IMAXでジョン・ウィック

ちなみに僕が「いいやつ」と書く時は、いつも「プロレススーパースター列伝」のこのコマを意識しております。
いいやつタイガーマスク!


いや、スゲー面白かったですよ。ギンティ小林さんが提唱するところの「ナメてた相手が、実は殺人マシンでした」系映画とすると「イコライザー」とか、「バカな息子のせいで惨劇が起きる」系映画とすれば「ラン・オールナイト」とか、キアヌ・リーブスのリアルを反映した「どうかしてる“ぼっち”な戦闘マシン」系映画とすれば「アウトロー」とか連想するワケですが、まぁ、この手の映画の内容が似てくるのは仕方ないし、僕は大好きなジャンルなのでドンドン量産していただいてノー問題。というか、今作はそこにオリジナル要素をちゃんと入れてきたので、また違った味わいを持っていると思うのです。

その1つ目が「ガン・フー」。パンフに載っていたギンティ小林さんの解説が非常にタメになったので少し引用すると、もともとはジョン・ウー監督の「男たちの挽歌」といった香港ノワールから始まって、「デスペラード」「マトリックス」などに継承&進化していった「リアリティはないけど、カッコ良ければいいじゃん!ヘ(゚∀゚*)ノ」的な銃撃アクションをいつしか英語圏では「Gun+Kung Fu=Gun Fu」と呼ぶようになりまして。かの有名な「リベリオン」に出てきた架空武術「ガン=カタ」は「ガン・フー」でもあるそうなんですね (゚⊿゚) ヘー


「リベリオン」のガン=カタシーンを貼っておきますね↓




で、キアヌ・リーヴスとは「マトリックス」以前からの付き合いで、スタントチーム「87イレヴン」を主催するアクション野郎チャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチが今回編み出した戦闘スタイルの名前も、ストレートに「ガン・フー」でして。まぁ、製作者たちのインタビューを読むと、「ガン・フー」という言葉がすでに使われているのは知らなかったみたいなんですが、そんなチャイルディッシュなネーミングを堂々と「 それを“ガン・フー"と名付けたいんだ (´∀`)」なんて言っちゃう精神性に恋してる。ちなみに「全然、カンフーじゃないじゃん!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんけど、「レギオン」に出てきた“天使のオリジナル格闘術”「エンジェル・フー」もそれほどカンフー要素がなかったので、たぶん「フー」の部分は「スタイル」程度の意味で使われてるのかもしれませんな。


「レギオン」では天使が「エンジェル・フー」を駆使して襲ってくる…って書くと面白そうですが、それほどでもないので気をつけて!
襲い来る天使!


しかも、その戦闘描写は「C.A.R(Center Axis Relock)」と呼ばれる近接戦闘用の射撃スタイルに柔道&ブラジリアン柔術システマデンターが販売している歯周病予防のための製品と間違えないで!(`Δ´) キケン!)を盛り込んでふっくらと炊きあげていて。敵を射殺するために投げや固め技を多用するフレッシュな戦闘シーンの数々は、僕の中の溝口安二郎(from 「将太の寿司」)が「素晴らしい!(`Д´)ノノ☆ パーン!」と柏手を打つほどだった…って、何が何やらですな。


二丁拳銃などは使わないものの、やりこんだFPSのようなムードで次々と射殺していくジョン・ウィック。
次々と射殺

相手に飛び乗って盾にしつつ別の敵を射殺したりと、愉快なシーンが連発されるので…。
相手に飛び乗って射殺

思わず“柏手の安”のように両手を叩いてしまったのでした(※イメージです)
すばらしい!!!

それと、「とりあえず入れておこうか」的な爆発シーンがあったりしたのも好感が持てましたよ (´∀`) アラアラ
爆発シーンも


そして、もう1つが「犬の死がキッカケ」という導入。小学生のころ、長姉が持っていた西村寿行先生の小説「闇の法廷」を読んでみたら、犬を轢き殺したオッサンが見事に死刑判決を受けていて、子どもながらに「やりすぎなのでは… (´Д`;)」と怯えたものですが、しかし。動物愛護意識が年々高まっている上に、子どもの代わりにペットを飼う人が増えている昨今、愛玩動物たちのいのちのねだんは上昇中。「犬を殺した→死刑!m9`Д´) ビシッ」と刑法を改正したい人も少なくないのではないでしょうか(乱暴な文章)。実際のところは「愛犬家が殺された飼い犬の復讐に乗り出す→愛犬家の殺人事件!(°д°;) ヒィィ」ということではなく、「亡き愛妻がくれた“生きる希望”を奪われた」から怒ったワケですけれども、今の時代、この設定はなかなかキャッチーだと思ったり。


ほとばしるほど可愛いビーグル犬。まぁ、1泊程度の関係性なんですけどね。
犬との出会い


ストーリーを身も蓋もなく雑に書くと、ジョン・ウィックの怒りを買った2代目を守るために、関係者はほぼ全員死亡→ロシアンマフィアが壊滅してました。そこに「殺し屋御用達ホテル」とか「親友の暗殺者」とか絡んでくるのが愉快な感じ。ラスト、マフィアのボスを刺殺したものの瀕死状態のジョン・ウィックが、いかにも殺処分されそうな場所から一匹の犬を連れ出して、映画は終わるワケですが、ビーグル犬とは別の犬種をチョイス→真の愛犬家に目覚めた…ってことなんでしょうか、どうなんでしょうか。何はともあれ、妻帯者の僕的には「奥さんが死んだ… ('A`)」というだけで半べそ状態だったのに、奥さんがプレゼントしてくれた愛犬まで殺されたとなれば、当然ながらジョン・ウィックの怒りにシンクロ率120パーセントであり、舐めてた2代目の顔が青ざめるのも痛快で、実に楽しく観られましたよ (´∀`) ウフフ


超奥さんLOVEなジョン・ウィック。彼女がくれた愛犬を殺されたら怒るのが人情ですな。
愛妻の動画

背中のタトゥーは「Fortis Fortuna Adiuvat」と書かれていて、元海兵隊員ということを表している…というギンティさん情報
背中のタトゥーの意味

マフィアの2代目ヨセフ役のアルフィー・アレン、良い感じにクズを演じてました。
彼に手を出すとは

ジョン・レグイザモがサラッと出演してたのは良かったです。昔はこの人がチンピラっぽいイメージだったのに、時代は巡りますな。
オーレリオ(ジョン・レグイザモ)


そりゃあ、ちょっとアレだなと思うところもあるんです。「いくら引退したとは言え、簡単に侵入されすぎ」とか「犬との触れ合いがもっと観たかった…」とか「2代目はなんで最初の襲撃でジョン・ウィックを殺さなかったの?」とか「引退したのが5年くらい前と最近な上に、あんな立派な家に住んで、あんな高級車に乗って生活していたら、2代目&その一味も知ってるんじゃないの?」とか「見逃されてたけど、ケビン・ナッシュには戦ってほしかったな…」とかには目をつむれるとしても。せっかく御用達ホテルがあったり、清掃業者がいたり、警察が不介入だったりと、独特の殺し屋ワールドを展開しているんだから、もう少し「一歩進んだ殺し屋描写」が観たかったというか。


この「見逃されるシーン」はスゲー良いものの、ケビン・ナッシュの戦闘振りが観たい気持ちもあった…という複雑な乙女心。
フランシス(ケビン・ナッシュ)


例えば、ジョン・ウィックが拘束された状況から脱出するのが親友マーカス(ウィレム・デフォー)のおかげだったりとか、掟を破った女殺し屋ミス・パーキンス(エイドリアン・パリッキ)を預かったハリー(クラーク・ピータース)が普通に拘束を解かれて射殺されたりしたのは、ちょっと失望。戦闘シーン以外でも「まさかそんな手段を使うなんて、さすが一流の殺し屋たちだぜ!(;`∀´)」と驚かせてほしかった…というのは贅沢でしょうか。あと、掟を破ったミス・パーキンスが裏社会に粛清されるオチ自体は良いとしても、変に野放しの時間が長いせいでマーカスが死んだのもあって、ちょっと微妙にも見えたというか。せめて「彼女とジョン・ウィックを直接対決させる→ホテル側に引き渡される」みたいな流れにした方が良かった気がするんですが…。


ウィレム・デフォー自体はカッコ良かったものの、やはりジョン・ウィックと敵対してほしかった気がしないでもない。
親友マーカス(ウィレム・デフォー)

この場面、どうやって逃げるのかと思いきや、マーカスが助けてくれるというね。
捕まったジョン・ウィック

ミス・パーキンス、悪行を重ねた割には退場がアッサリめだった印象。
ミス・パーキンス(エイドリアン・パリッキ)


ラスボスとのタイマンも食い足らなかったです。ジョン・ウィックも手負いだし、ヴィゴ役のミカエル・ニクビストもガタイは良いので、アレはアレで仕方ないとは思うんですが、やっぱり僕は「最強の敵とタイマンだッ!ヽ(`Д´)人(`Д´)ノ ウォォォォォ!」的なクライマックスが大好物なので、物足りなさは感じちゃいました。ただ、最後の「なにジョン? ヴィゴがナイフを離さない? ジョン、それは無理矢理引き離そうとするからだよ。逆に考えるんだ、『刺されちゃってもいいさ』と考えるんだ ( ´_ゝ`)」というジョースター卿の教えからの「あえて腹部を刺させる→腕を折る」描写は美味だったので、まぁ、許しますけどね(偉そうな文章)・


この人自体は良かったんですが、ラストは別の人とのタイマンが観たかったなぁ。
ヴィゴ(ミカエル・ニクヴィスト)


そんなワケで、基本的には超ストライクな映画でしたヨ (o^-')b ヤッタネ! つーか、パンフや映画秘宝のインタビュー&記事を読むと、キアヌったら、昔から仲が良かったチャド・スタエルスキたちに今作を撮るチャンスをあげたそうで…(しみじみ)。そういえば彼の初監督作は自分のスタントダブルを主演に起用した「ファイティング・タイガー」だったのを思い出してグッときたというか。こういうジャンル映画を好む姿勢も大好きだし、あらためて「この人はいいやつだなぁ」とスゲー好感度が上がった次第。すでに続編も予定されているそうですが(敵役は「ラン・オールナイト」で殺し屋役だったコモン!)、今度は“愛犬とともに戦う格闘術”「ドッグ・フー」を開発してくれないかなぁとボンヤリ期待しております。




タイラー・ベイツが担当したサントラ。結構良いかも。



キアヌ・リーブスの初監督作。僕の感想はここの6本目



キアヌ・リーブス主演作で一番好きなのはこれです。