ドリーム(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ドリーム(ネタバレ)

ドリーム

ドリーム 私たちのアポロ計画

原題:Hidden Figures
2016/アメリカ 上映時間127分
監督・脚本:セオドア・メルフィ
製作:ドナ・ジグリオッティ、ピーター・チャーニン、ジェンノ・トッピング、ファレル・ウィリアムス、セオドア・メルフィ
製作総指揮:ジャマル・ダニエル、ルネー・ウィット、イバナ・ロンバルディ、ミミ・バルデス、ケビン・ハローラン
共同製作:キンバリー・クイン
原作:マーゴット・リー・シェッタリー
脚本:アリソン・シュローダー
撮影:マンディ・ウォーカー
美術:ウィン・トーマス
衣装:レネー・アーリック・カルファス
編集:ピーター・テッシュナー
音楽:ハンス・ジマー、ファレル・ウィリアムス、ベンジャミン・ウォルフィッシュ
出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタビア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケビン・コスナー、キルステン・ダンスト、ジム・パーソンズ、マハーシャラ・アリ、キンバリー・クイン、グレン・パウエル、オルディス・ホッジ
パンフレット:★★☆(720円/デザインは素敵だけど、「実際とキャサリンたちとの違い」とかそういう記事も読みたかった)
(あらすじ)
ソ連とアメリカの宇宙開発競争が繰り広げられていた61年、米バージニア州ハンプトンにあるNASAのラングレー研究所に、ロケットの打ち上げに必要不可欠な計算を行う黒人女性グループがいた。なかでも天才的な数学の才能をもつキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、宇宙特別研究本部の計算係に抜てきされるが、白人男性ばかりのオフィス環境は、キャサリンにとって決して心地よいものではなかった。一方、ドロシー(オクタビア・スペンサー)とメアリー(ジャネール・モネイ)もそれぞれ、黒人であるというだけで理不尽な境遇に立たされるが、それでも3人はひたむきに夢を追い続け、やがてNASAの歴史的な偉業に携わることとなる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


基本的には“三つ揃えのスーツを着た男がカンフーの達人とムエタイ使いを相手に「サッポーロン!(`Д´)ノヽ(`Д´)(`Д´ )」と命を削り合うようなアクション映画”を好むブログですよ(微笑)、そりゃあ積極的に観ようと思う類いの作品ではないんですけれども。尊敬する映画評論家の町山智浩さんの「たまむすび」での紹介はチェック済みだったし、確か8月の映画駄話会でサイモンさんやスタエレさんも話題にしていたから、「良い映画なんだろうな〜 (´∀`) アラアラ」とは思ってて。だから、愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になっても、「パターソン」の時のように大きな舌打ちをすることはなく。仕事の合間を縫って、TOHOシネマズ新宿でポイントを使って鑑賞してきました。「君は悪くなんかない...でも...ごめんよ… (ノω・、) グスン」と思ったり。


4番スクリーン、8割は埋まってました。
4番スクリーン

映画鑑賞後の僕の気持ちを代弁する泉新一を貼っておきますね(「寄生獣」より)。
君は悪くなんかない...でも...ごめんよ


お話を雑に書くと、舞台は1961年のアメリカ、まだ有色人種の隔離政策がおこなわれていた時代ですよ。バージニア州ハンプトンにあるNASAラングレー研究所で働く3人の天才黒人女性が、白人どもの差別や偏見にさらされながらも、「計算でのし上がるわ!川▽Д▽)ノキャサリン」「黒人女性初の管理職になるの! (´∀`し ドロシー」「黒人女性初のエンジニアになるわ (^ε^し メアリー」と三者三様に頑張って、「マーキュリー計画」は無事成功。3人とも見事に“夢”を達成すると、モデルとなった3人の女性の“当時&その後の写真”が流れまして。のちの「コンピューターおばあちゃん」であったーー(なんだこれ)。


本作の主人公たちを貼っておきますよ。左から、ドロシー、キャサリン、メアリー。
主役の3人

最後に出てくる本人たちはこんな感じでございます。
モデルになった3人

アカデミー賞授賞式にはキャサリンが登壇。今ではすっかりおばあさん、孫にあげるのはもちろんヴェルタースオリジナル
アカデミー賞に本人が登壇


昨日お会いした映画仲間のサイモンさんが「舐めてた黒人女性、実は計算マシン」なんて上手いことを言っていたんですが、確かにそんな映画でして。「黒人は白人のトイレを使うな!m9`Д´) ビシッ」といったバカげた差別が横行する中、主人公たちが実力と勇気を示して各々の立場を向上させていく姿は、なかなか気持ちが良かったです。特にグッときたのが、タラジ・P・ヘンソン演じるキャサリンで、責任者(ケビン・コスナー)から「仕事中なのに40分間もいなくなること」を責められた時、「毎日差別されているんだから、800メートル以上離れた黒人専用トイレに行くために40分間いないことぐらい許してくださいな… (ノω・、し グスン」といったことを切々と訴える場面は、非常に感動いたしました。


スピーチシーン、感情が爆発しちゃった後、穏やかに着地するあたりが素晴らしいのです (iДi) イイスピーチダナー
名スピーチ

つーか、3人の娘を持つシングルマザーのキャサリンは、僕的にかなり好みのタイプでしてね。
3児のシングルマザー

あらためてヒュー・グラント気分になったりもした…という、どうでも良い「アバウト・ア・ボーイ」
シングルマザーは賢い目標


ジャネール・モネイ演じるメアリーが「白人の学校」に通うべく判事にスピーチをかますシーンも素晴らしくて。なんて言うんですかね、「てめぇ、差別だから通わせろよ!川 ゚д゚) コロスゾ」という直球を投げるのではなく、「相手にもメリットがあることを伝える」という頭の良さに感心したというか。日本でも在日外国人を差別する残念な人が普通にいるワケですけど、ストレートに怒ったり呆れたりするのではなく、こういう感じで接するのが良いんだろうなぁと思いながらも、具体的にどうすればいいのかはサッパリなのでね、あとは頭の良い人たちに任せるとしますかな…(思考停止した割には偉そうな文章)。


なんか日本だと「前例を作ると怒られるからイヤです (・ε・) スマンネ」的な着地になりそうだとも思ったり。
あなたが前例になれるのは?


「とは言え、天才たちの話だしな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」という、自分には関係ないように感じるところもなくはないんですけれども。冒頭で幼いキャサリンを進学させるべく周囲の教師がカンパしてたりとか、メアリーの旦那が己の無理解振りを反省してシャーペンをプレゼントしたりとか、天才じゃない人でも出来ることを描いているあたりがスゲー良くて。それと、こういう話では「ステレオタイプな差別クズ野郎が意地悪の限りを尽くす」的な展開がありがちですが(実際にそういうことも多かったんだろうし)、本作は“自分が差別しているとは気付かない人たち”が障壁になるあたり、これはこれでリアルというか。自分にも当てはまる部分があるような気がしましてね。いろいろ考えさせられましたよ… (´・ω・`) ウーン


冒頭の幼いキャサリンのシーン、先生たちの行動には涙が出ました… (ノДT) センセイ...
子どものころのキャサリン

このプレゼントシーンも良かった! 文具者の古川耕さんあたりは股間を硬くしたんじゃないかな(唐突に失礼な文章)。
夫からのプレゼント

キルステン・ダンスト演じるビビアンが、自分の差別を自覚させられる展開は非常に良かったです。
ビビアン(キルステン・ダンスト)


その他、「音楽が良かった!」とか「ケビン・コスナーが良かった!」とか「グレン・パウエルは『エクスペンダブルズ3』の時より良かった!」とか「キャサリンがプロポーズされるシーンはスゲー泣いた!」とか「少しはアポロ計画要素があるのかと思ったら全然だったので邦題を変えて良かった!」とか、褒めたいところまみれなんですが、しかし。70点の評価なのは、感動しつつも乗れなかったところがあったんですよね…。最近、仕事がまったく上手くいっていない自分的には、やっぱり「とは言え、天才たちの話だしな ┐(´ー`)┌ 2カイメ」的に思っちゃっただけでなく。上手く書けないんですけど(汗)、エンタメ感が強くなる場面が苦手だったというか。”そういう出来事”が実際にあったのかどうかは知りませんが、ケビン・コスナーが「白人専用トイレ」の表札を破壊するシーンとか、ドロシーがドヤ顔でコンピューター室に同僚を連れて行くシーンとか、発射直前にキャサリンが計算をするシーンとか、ごめんなさい、微妙な”作られた感”に乗れなくて。まぁ、好みの問題なんですけど、そんなに派手にしなくても良かったんじゃないかしらん。


コンピュータ絡みのシーン、ドラマチックにしすぎな気がしましたよ。
みんなプログラマー


てなワケで、非常に良い映画なんですが、観た時の気持ち&好みが合わなかったということでね、「君は悪くなんかない...でも...ごめんよ… (ノω・、) グスン」という気分になった次第。まぁ、気になる人は観ても損することはないと思いますぞ。僕的には、仕事が落ち着いたら久しぶりに「ライトスタッフ」でも観るつもりでございます。おしまい。




映画の原作本。アメリカではベストセラーになった様子。



サントラです。デジタル盤輸入盤もあります。



同じくマーキュリー計画を描いたフィリップ・カウフマン監督作。オススメだった気がします。



セオドア・メルフィ監督作。良さげだけど、たぶん観ないんだろうな…。



オクタビア・スペンサー繋がりで思い出したテイト・テイラー監督作。僕の感想はこんな感じ