カフェ・ソサエティ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

カフェ・ソサエティ(ネタバレ)

カフェ・ソサエティ

カフェ・ソサエティ

原題:Cafe Society
2016/アメリカ 上映時間96分
監督・脚本・ナレーション:ウッディ・アレン
製作:レッティ・アロンソン、スティーブン・テネンバウム、エドワード・ワルソン
製作総指揮:アダム・B・スターン、マーク・I・スターン、ロナルド・L・シェ
撮影:ビットリオ・ストラーロ
美術:サント・ロカスト
衣装:スージー・ベンジンガー
編集:アリサ・レプセルター
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、ブレイク・ライブリー、スティーブ・カレル、コリー・ストール、パーカー・ポージー、ケン・ストット、ジーニー・バーリン、サリ・レニック、スティーブン・クンケン、アンナ・キャンプ、キャット・エドモンソン
パンフレット:★★★(720円/コラムは2本とも良かったし、シャネルの衣裳などについての記事も勉強になりました)
(あらすじ)
映画業界で働くことを夢見るニューヨーク生まれの青年ボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)は、業界の有力者である叔父フィル(スティーブ・カレル)を頼ってハリウッドにやってくる。フィルの秘書を務める美女ヴォニー(クリステン・スチュワート)に心を奪われたボビーは、映画スターやセレブリティを相手に、フィルの下で働きながらヴォニーと親密になっていくが、彼女には思いがけない恋人の存在があった。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※この映画に関しては、はちごろうさんのブログとか読むと良いよ。
※今回の記事は、「ラ・ラ・ランド」のネタバレに触れているので、知りたくない人は読んじゃダメ!m9`Д´) ビシッ


「ソサエティ」と聞いて連想するのはブライアン・ユズナ監督作であり、ウニョーンと口の部分が伸びたグロテスクなビデオジャケット(誉め言葉)を思い出す…というのはどうでも良いとして。ウディ・アレン監督作は、「ブルージャスミン」「マッチポイント」のような超ストライクな映画もあれば、「恋のロンドン狂騒曲」のように神経を逆なでされるような時もあって、結局、積極的には観に行かなくなっているんですけれども。先日、はちごろうさん&下手の縦好きさんと飲んだ時に両者が褒めていたので(確か)、ちくしょう、スゲー気になってしまって。先日、渋谷のアップリンクで上映されていることに気付いて、いそいそと観てきました。「お…大人!(`Δ´;) ヌゥ」と思ったり。


アップリンク、もともと狭い劇場ではありますが、ほぼ満席だった記憶。
アップリンク


一応、話を書いておくと、ニューヨーク生まれの青年ボビーがハリウッドに行って、映画業界の有力者である叔父フィルの元で働き始めて、その秘書のヴェロニカ(愛称:ヴォニー)と恋に落ちるんですが、しかし。実はヴォニーったらフィルと不倫中だったので、三角関係に突入するも、最終的にヴォニーはフィルと結婚! 失意の中、ボビーはニューヨークに戻ると、ナイトクラブの支配人としてメキメキ頭角を表して、店に訪れたバツイチ女性ヴェロニカ(ブレイク・ライブリー)と恋に落ちて結婚しましてね。少しした後、店にフィル&ヴォニーがやってきたので、ヴォニーと少しだけ焼けぼっくいに火が点きそうになるものの、「それはそれ!m9`Д´) ビシッ」ということで、新年を迎えるパーティーでお互いをボンヤリと想いながらも、それぞれの道を歩むムードで終わってましたよ、たぶん。


再会したボビーとヴォニーは、未練を感じてキスなどをするものの…。
再会した2人

結局、各々の居場所で新年を迎えるのでした。
新年のパーティ


なんて言うんですかね、ポスターの雰囲気から、「ボビーはアタシを愛してるの!川`Д´)ノ キィィ!」「そんなことないわ、アタシのことが好きなの!ヽ(`Д´し ナニヨ!」「うーん、どっちのヴェロニカも好きだから選べないよぅ…(・ω・;) ウーン」「じゃあ、セックスで決めて!川`Д´)人(`Д´し マケナイワ!」といった安いエロ漫画みたいな三角関係が繰り広げられるのかと思いきや、そんなことはなく(多くの人がブログをそっ閉じした気がする文章)。1930年代のアメリカを舞台にした大人のコメディであり、神経質な雰囲気でベラベラ話す主人公にテンポの良い話運び、あちらこちらに散りばめられたユーモアなどなど、まさにウディ・アレン印ってな調子の映画でしたな。

ジェシー・アイゼンバーグやスティーブ・カレルの演技が素晴らしいのはもちろんのこと、一番ツボに入ったのが、コリー・ストール演じるギャングの兄ベン。人をバンバン殺す凄惨な役柄にもかかわらず、語り口が軽妙なので、意外と爽やか&愉快に見えるというか。最後、死刑にされるくだりすら面白くて、今まで観たコリー・ストールの中でもベストのカッコ良さでした。それと、「お互いに未練を残しながら別れる」というラストは、僕を含む多くの人が同じようなオチの「ラ・ラ・ランド」を連想したみたいですが、情感を抑えた演出は「しっかり大人」という印象であり、ううむ、「やはり一流… (`Δ´;) オノレ...」と、すっかりウディ・アレン監督の手腕に唸らされた次第。


ベンの暗躍シーン、不謹慎ながらも笑っちゃいました。
ギャングのやりすぎシーン

鑑賞後のウディ・アレン監督への気持ちを代弁する加納秀明を貼っておきますね。
やはり一流


だがしかし。映画としての完成度は本作の方が高い気がしながらも、正直なところ、僕はデイミアン・チャゼル監督の“青さ”を感じさせる「ラ・ラ・ランド」のオチの方が好みだなぁと。あと、1920年代のパリに憧れて「ミッドナイト・イン・パリ」を撮ったように、ウディ・アレン監督は1930年代のハリウッド&ニューヨークの社交界も好きということで、本作の舞台にしたようですが、ごめんなさい、僕は全然興味がなくてね…(台無しな文章)。どうせなら今度は1970年代のカリフォルニアのマッスルビーチを舞台にした映画を撮ってほしい…というのは無茶な話でしょうか(間違いなく無茶な話)。


1930年代のハリウッドやニューヨークへの憧れはゼロということで(裏で暗躍するギャングは好き)。
1930年代のハリウッド

できれば、アーノルド・シュワルツェネッガーやフランコ・コロンブがいた1970年代のカリフォルニアを描いてほしいのです。
1970年代のカリフォルニア


そんなワケで、非常に完成度の高い“大人のロマンチックコメディ”だと感心しながらも、ボンヤリと70点という着地でございます。たぶん誰が観てもそれなりには楽しめるんじゃないかしらん。ちなみに、久しぶりに「ミッドナイト・イン・パリ」の感想を読み直してみたら、オチが今回とほぼ同じであり、自分が5年前からまったく成長していないことを確認したのでした ┐(´ー`)┌ ザンネーン




良いムードっぽいサントラ。輸入盤デジタル盤もありますぞ。



一番好きなウディ・アレン監督作。僕の感想はこんな加藤清澄



1920年代のパリが出てくるウディ・アレン監督作。僕の感想はこんな感じ



多くの人がオチで連想したデイミアン・チャゼル監督作。僕の感想はこんな感じ



一応、貼っておきたいボディビル・ドキュメンタリーの傑作。