memories of rain:メモリーズ•オブ•レイン

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信義(シンイ)の二次創作ブログです。
ウンス×ヨン
最終回のその後など。

こちらは、韓国時代劇 信義 シンイ の二次創作ブログです。

二次創作という言葉をご存じない方、嫌悪感を抱かれる方は、ご注意ください。同人作品であり、原作とはいっさい関係はありません。



シンイ二次創作目次はこちらです

なつまつり2014
シンイで年越し2014
なつまつり2015
シンイ・ヨン周年まつり2016

シンイで年越し企画2017

二次創作を書く方必読のアンケート

二次創作の書き手さんへおくる20の質問


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二次創作本について 
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シンイ二次創作本のBOOTHでの委託販売を終了いたしました。
※PDF版「祝波」の取り扱いは継続します。

既刊をおもとめの方は、自家通販をご利用いただければ幸いです。
今までBOOTHをご利用いただき、本当にありがとうございました。

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シンイ二次創作本 【天泣】2014,2発行
個人の趣向+花男+シンイ【just the two of us】2014,7発行
シンイ二次創作本【祝波】2014,10発行/完売・pdf版のみ
シンイ二次創作本【雪花相聞】 2014,12月発行
シンイ二次創作本【朧夜相聞】 2015,2発行
シンイ二次創作本【恋慕百花】 2015,4発行
シンイ二次創作本【君を恋いつつ、すごす日々】 2015,6発行
シンイ二次創作本【光来至宝】 22015,8発行
シンイ二次創作本【放蕩天女】 2015,10発行
韓ドラ二次創作本【きみへのみち】 2015,12発行
【*asterisk(アステリスク)】 2015,12発行
シンイ二次創作本【清明の比(ころ)】 2016,4発行
シンイ二次創作本【再会】 2016,9発行
シンイ二次創作本【星の雨】 2016,10発行
韓ドラ二次創作本【花香籠・はなかごめ】 2016,12発行
シンイ二次創作本【恋愛素問】 2017,2発行
韓ドラ二次創作本【となりの next door】2017,4発行
シンイ二次創作本【白糸の縁】2017,7発行
シンイ二次創作本【恋教鳥】2017,9発行
シンイ二次創作本【凍星に紅】2018,1発行


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サイトにたどり着いたら、「天泣」「just the」など本の題名で検索していただけると、商品のページに切り替わると思います。
お試しください。

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なぜかできない。という場合は、下記のアドレスをお試しください。
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出るのはため息ばかりだ。
木枠の窓をそっと開けると、こけむした甍の屋根が見える。
鳥が飛んでいく。
鳥になれたら。ここから逃げ出して、ともかく息が詰まりそうな苦しさをなんとか追い払えるのに。
ここは、高麗の都だ。
わたしは未来からやってきた。
一人じゃなかったのが、よかったのか悪かったのか。
ぱたぱたと駆けてくる足音がする。
ああ、まただ。
いつもはしずしず歩く女官を走らせるのは、あの子しかいない。
「ウンス様。どうかお助けください」
はいはい。お助けもなにも、ないんだけど。
「チェ尚宮はいないんですか?」
あのわがまま放題のお姫様に苦言を呈することができるのは、宮中ではチェ尚宮とウンスくらいだ。
「尚宮はお留守です。ですからっ」
ウンスは腰を上げ、ため息を飲み込んで笑みを作った。
「行きましょ。今日はなにがお気に召さないって?」
「それが」
「護衛を交代せよと仰せです」
「わたしにはどうしようもないですよ。隊長に聞かなきゃ」
「そのとおりでございます。されど」
近衛の長、チェ・ヨン。愛想もなく、いつもコワい顔をしている。にこっと笑えばいいものを、あいにく笑顔を見たことは一度だってありゃしない。
金輪際、一生会いたくない相手だ。

廊下を歩いて行くと、がっちゃん、どったん、音がした。
おそるおそる部屋をのぞき込む。
あざやかな絹の敷布が、ずたずたに破けている。ウンスは息をのんだ。
なんてもったいない!
この世界に来て、物の値打ちというものがやっとわかってきた。
絹織物はハンカチくらいの大きさだって、貧しい人の三日分の食費になる。そうだ、この国は富めるものと貧しいものの差がえげつないほど激しい。
「ばかにしないで。あたしがどうして、こんなのダサいのを着なきゃならないのよ」
きんきん声に、ウンスは暗澹たる気持ちになった。もう、帰りたい。

何の因果か、誘拐されて目が覚めたのは600年前の高麗時代。医療ドラマの撮影現場に現れた誘拐犯は、マスクに術着の女医役を引っ立てた。ユン・ミヨン、きいきい声の彼女だ。「天界の医員とお見受けいたす。ご同行願います」そんなことを言うサイコパスに向けて、ミヨンはどなった。
「あの人が医者よ。ユ・ウンス、本物はあっち」
医療考証なんて引き受けたのが運の尽きだ。女二人をどうやってさらったのか? 鎧姿のサイコパスを、一月たった今でも夢に見る。もちろん、悪夢として。

「宴会で酌でもしろっていうの? ばかにしないでちょうだい。わたしはユン・ミヨンよ」
「存じております。そのお美しさを一目でもと、高貴な方々がお望みなのです。御簾のうちにお座りいただくだけで、医仙様のお手をわずらわせるようなことはございません」
王妃様の命を救った恩人を、王様は医仙と呼んで手厚くもてなしてくれている。
もし万一、失敗していたら。
ぞっとする、
今ここにウンスもミヨンもいなかっただろう。
術後気が抜けて寝込んだウンスのかわりに、ミヨンが医仙として表舞台に出てくれた。なりゆきだろうが、ありがたい。
「安い女じゃあないのよっ」
あきれてものも言えない。
お付きの人もまあ、頑張っている。けどユン・ミヨンのわがままに勝てるかどうか。
「チェ・ヨンがそばにいるんなら、出てもいいわよ」
おっと、なるほど。宴会に出るのをごねるのも、護衛を変えろというのも、チェ・ヨンがらみのわがままのようだ。
誘拐犯を気に入るなんて、本当に物好き。
「あら、オンニ」
今気付いた様子で、ミヨンはほほえんだ。お姉さんだなんて言うけど、ミヨンの年齢はウンスより一つ年下なだけ。芸能裏情報で知っている。
「こんにちは。忙しそうね、医仙様」
これくらいの皮肉、痛くもかゆくもないだろう。
医仙医仙ともてはやされ、たくさんの贈り物に結婚の申し込みは山ほどくる。
調子に乗るなよ、という牽制の意味を含んでいる。
うらやましいんじゃなくて、心配なのだ、
いや、やっぱりだいぶ、うらやましいけど。
客人という立場だけど、あまり騒げば目立つ。目立てば、ろくなことがない。この国にはサイコパスのほかにもヤバい人が大勢いる。
身を潜めてるくらいでちょうどいいのだ。それで、もうさっさとおさらばする。とっとと、ずらかる。
胸の内は逃げたい、それだけだ。
「宴会なんて飽きたわ。どうせならいい男と二人っきりで飲みたい。オンニは知ってるでしょ、あたしがあの人のこと大好きだって」
知ってますとも。
キ・チョルっておじさんは相当にいかれた危険人物なんだけど、彼に目を付けられたミヨンを守るため、一時期サイコ、もといチェ・ヨンは彼女につきっきりだった。
そのとき、ミヨンはすっかりサイコに骨抜きになってしまったらしい。
人の好みは色々なので、口を挟むつもりはない。むしろ、よかったね、という話だ。
でもサイコは石臼みたいにお堅い男だった。
国民的美女ユン・ミヨンの誘いには乗らない。かなりガードが固いのである。
聞くところによると、亡き婚約者に操を立てているらしい。
「オンニが出て頂戴よ。くたびれちゃうわ。たまにはやすませてほしい」
遊び三昧の日々も飽きてきたのか。
表舞台が大好きだとはいえ、やっぱり気乗りしない日もあるだろう。
「御簾があるんなら、顔もみえないし、オンニでも大丈夫よ」
あくびをして、ベッドに寝っ転がる。ウンスは破けた絹の服を拾い上げると、困り果てた侍女に手渡した。不肖の妹を持つと、こんな気分なんだろうか。一つしか違わないけど・・・。
「ウンス様。よろしいのですか」
よろしいもなにも。
笑ってみせる。
「せっかくの服が台無しね。御簾の中だから、このまんまでもいいですか? だめ?」
「すぐに代わりの衣装を用意いたします」
医仙をみたいというんなら、見せてやろう。とりあえず。
絹の服なんて初めて着た。裾を踏んでしまいそうで、歩くのには注意が必要だ。髪を結い上げて、簪をさす。化粧もする。鏡の中をのぞけば。

へえ、なかなかだ。
「なかなかですね」
そうね、なかなか。いけてる・・・。
うん? こ、この声は。
勢いよく振り返れば、そこにはサイコパス。
「あ、な」
なんでここにいるの。と言ったつもり。
一歩近づくごとに、鳥肌がぞぞぞとたつ。近づかないで。
だめだ、
息が苦しくなる。
ぴたりと足を止めると、数歩下がり、チェ・ヨンはつぶやいた。
「なぜ、出ると言ったのですか」
ミヨンが出られないから。
「欠席で良い。あなたが出るまでもない」
医仙の役目を押しつけている。そういう後ろめたさがあるのだ。
「あなたこそ医仙だと、王様はご存じです。無理をして出る場所でもありません」
「出たいんです」
ここで引いたら、ミヨンが何を言うか。どうでもいいけど、気にしてもいる。
「あなたは、意地っ張りですね」
意地でも張らなきゃやってられない。
「護衛は?」
一人じゃどこにもいけないのは不便だけど、私室から出るには必要なのだ。
「参りましょう」
チェ・ヨンが素っ気なく言った。
「おれが、あなたの護衛です」
ウンスは舌を鳴らした。
ミヨンはついてない…。今からでも呼んでこようか? よそう。お酒を飲んでいい気分の頃合いかも。
チェ・ヨンはウンスをみつめた。
「今宵は宴という名の、尋問です」
大げさな。尋問?
半笑いでついていくと、広間には大勢のおじさんたち。
ざわつきが、いっせいに静まった。
ウンスは扇で顔を隠したまま、御簾のうちに座った。
うーん。この雰囲気、いやな感じだ。
ミヨンは何か知ってたのかもしれない。それならそうと、言うはずだけど。
「医仙殿にお聞きしたい!」
なんだなんだ。
「まことにあなたさまは天の医員であられるか」
おじさんの言い分はこうである。
医仙の言うとおりにしても、全く病はよくならない。それどころか、悪くなった。高額な金銭を支払ったのに、一度も会えないのはどういうわけか。
ごく基本的な医学の質問に、まったく答えられないのはどういうわけか? 
ミーヨーンー。
医仙として表に出るときは、絶対に直接口を開いたらだめって、約束したのに。
おでこに手を当てて、ウンスは考えた。この場を乗り切るには。
「あの」
「はい」
チェ・ヨンの声は冷静で、波立つ心が静かになっていく。
落ち着いて、大丈夫。
一人ずつ、話を聞かないと。
できることはしてあげたいし、返すものは返すべきだ。
これは、長くなりそうだ。


さいごの一人を見送ったとき、もう空は明るくなっていた。
目をぎゅっとつむって、ウンスはつぶやいた。
「終わった」
「医仙」
チェ・ヨンがむかいに座った。
最後にもうひとりいたらしい。
「どこが悪いの? 傷が痛むんですか?」
下を向いた彼は、顔を上げたとき、なんと笑っていた。
「あなたが治してくれたでしょう。おれは平気です」
「なら、どうしてそこに座るの。そこは話を聞いて欲しい人の席です」
「聞いてください」
「わたしに話したいことなんてあるんですか」
「おれも、くたびれました」
いつもとはちがう、なんだか情けない声だ。
それもそうか。
ウンスにつきあい、一晩中立ち通しだったのだから。
「ありがとう」
信じがたい言葉を耳にした、という表情をする。
「護衛なんて、あなたがすることなかったのよ。部下にやらせてもいいのに。そうでしょ、テジャン」
男の顔が赤くなる、朝日があたったせいなのか。
悪夢も見るけど、昼間は忘れている。昨日は眠る暇も無くて、少しほっとしている。昼寝の時まで悪夢は追ってこない。
「ここで少し寝てもいいですか?」
あくびが出た。とても、眠い。
十分だけでも、机に突っ伏して眠りたい。

ただそばにいるというのも、大変なことだ。
「おつかれさまでした」
ウンスの言葉に、目を丸くするのをみると、なんだかおかしくなってきた。
冷徹なサイコパスのはずが、だんだん、人間らしくみえてくる。