memories of rain:メモリーズ•オブ•レイン

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信義(シンイ)の二次創作ブログです。
ウンス×ヨン
最終回のその後など。

こちらは、韓国時代劇 信義 シンイ の二次創作ブログです。

二次創作という言葉をご存じない方、嫌悪感を抱かれる方は、ご注意ください。同人作品であり、原作とはいっさい関係はありません。



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シンイ二次創作本のBOOTHでの委託販売を終了いたしました。
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既刊をおもとめの方は、自家通販をご利用いただければ幸いです。
今までBOOTHをご利用いただき、本当にありがとうございました。

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シンイ二次創作本 【天泣】2014,2発行
個人の趣向+花男+シンイ【just the two of us】2014,7発行
シンイ二次創作本【祝波】2014,10発行/完売・pdf版のみ
シンイ二次創作本【雪花相聞】 2014,12月発行
シンイ二次創作本【朧夜相聞】 2015,2発行
シンイ二次創作本【恋慕百花】 2015,4発行
シンイ二次創作本【君を恋いつつ、すごす日々】 2015,6発行
シンイ二次創作本【光来至宝】 22015,8発行
シンイ二次創作本【放蕩天女】 2015,10発行
韓ドラ二次創作本【きみへのみち】 2015,12発行
【*asterisk(アステリスク)】 2015,12発行
シンイ二次創作本【清明の比(ころ)】 2016,4発行
シンイ二次創作本【再会】 2016,9発行
シンイ二次創作本【星の雨】 2016,10発行
韓ドラ二次創作本【花香籠・はなかごめ】 2016,12発行
シンイ二次創作本【恋愛素問】 2017,2発行
韓ドラ二次創作本【となりの next door】2017,4発行
シンイ二次創作本【白糸の縁】2017,7発行
シンイ二次創作本【恋教鳥】2017,9発行
シンイ二次創作本【凍星に紅】2018,1発行


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サイトにたどり着いたら、「天泣」「just the」など本の題名で検索していただけると、商品のページに切り替わると思います。
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テーマ:

 行かないでくれと、言えるはずもない。
 天からの声が届いたのは、二人のユ・ウンスを引き戻そうとする呼び水だったのだ。
 よいことだ、と思い込もうとする。
 天はユ・ウンスをつかわした。
 もうこの世でするべきこともあるまいと、迎えに来たのかも知れぬ。
「さようか……」
 王様は沈痛な面持ちで、うなずかれた。
「王妃がさびしがるな」
 我が子のように慈しんでおられたのだ。
 その胸の内を、おれも推し量ることができる。
 父のまねごとをして、慕われる喜びにひたり、いなくなる日が来るなど考えたくもなかった。これは、身勝手な欲に相違ない。
 いなくなるなど、いやだ。
 引き留めたい。
 明日など来なければよい。
 あの人の部屋まで足を向けた。戸を開けることなどできぬのに。
 そのまま歩き回って夜を明かした。
 あの人も眠れなかったのかもしれぬ。
 赤い目をしていた。
 王宮の人々に別れのあいさつをし、天門を前にすると、おれに手を差し出した。
「じゃあね、テジャニム」
 おれは、唇をひきむすんだ。
 何が言えるだろう。
 行くなと言う筋合いはない。
 元気で、とも言いたくない。
 手をさしだすと、いくつもの神業をみせた女人の手が重なった。
 引き寄せたくなる。
「行きましょ、ウンス」
 小さな子の手を引いて、歩いて行く。
 迷いはない。
 あの人は、一度も振り返らなかった。
 たった一度も。



 光のトンネルをくぐると、そこはわたしのよく知る場所だった。
 車のひっきりなしに通る道は埃っぽく、商店から流れる歌謡曲はうるさいくらいだ。
 冷たい風が頬を打つ。
 街路樹は葉を落とし始めていて、モザイクを描いて敷き詰められた歩道に散り積もっている。
 道行く人が、ちらちらこっちを見るので、わたしがどれだけ妙な格好をしているのか思い出した。Tシャツとジーンズの観光客とおぼしき若者が、わたしの着ているものについて訊ねたのだ。
「それって、どこで借りられるんですか?」
 愛想笑いでごまかすのがやっとだった。
 ウンスの服を着替えさせておいて正解だ。
 どうしたってチマは目だつ。
「ウンス」
 呼ぶ声がした。
 道のむこうで、誰かが手を振っている。
 いとこだ。
「一人で行けるわね」
 わたしが言うと、ウンスはうなずいた。
「元気でね」
 はねるように駆けだした子の後ろ姿を、わたしはずっと見ていた。
 よいことがたくさんありますように。
 もうひとりのわたしが、笑って暮らせますように。

 さあ、帰らなきゃ。
 独り言に、わたしは苦笑した。
 どこに帰るつもり?
 高麗よりは、この世界のほうがずっとわたしに馴染んでいる。
 命のやりとりはないし、妖魔扱いもされない。安全だ。
 ただ、身分証もない、お金もない、今夜の寝床もない。
 いくつかある宝石を売れば、しばらく暮らせるだろう。
 でも、ひとりぽっちに変わりはない。
 天門をもう一度くぐって、もとのソウルに帰らなくては。
 何もかも忘れて、心機一転、暮らしていこう。できるはずだ。
 でも……。
 あの人の顔が浮かんで、ため息が出た。
 いまさら、遅い。
 もう遅いのに。

 天門の前まで戻り、わたしはずいぶん小さくなった光をにらんだ。
 わたしには、自分の心がわからない。
 ソウルに戻りたい。両親に会いたい。
 でも、と足を引っ張る声がする。
 二度と会えなくてもいいの。
 会いたい。
 足を踏み出せば、頭がぼうっとする。
 呼ぶ声がする。
 何度も何度も。
 引っ張られる。わたしも耳を澄まし、必死にたぐり寄せるよう歩き出した。

 踏み出した足が、草に沈んだ。
 ソウルじゃない。
 胸がはずんだ。それで、わかった。
 わたしは家に帰るよりも、高麗武士を選んだ親不孝者だということ。
 ここが高麗か確かめなくては。
 山をおり、川に出た。
 ひろびろとした岩場の合間を、川が窮屈そうに流れている。
 見覚えがある。近くにウダルチの修練場があり、よくここで汗を流しているのだ。
 もう少し行くと、薬草が採れる広野がある。
 そして、ひときわ高い松の木のところにたどり着いた。
 王宮がすっかり見晴らせた。
 はやる胸をおさえ、わたしは斜面をおりた。
 そして大きな池にかかる石造りの橋を走り抜けたところで、門兵にみつかった。
 わたしの顔を知らないらしく、くせ者扱いで引っ立てられたのだった。
 大慌てで、わたしは言った。
「わたしは、医仙です」
「何を申す。医仙様はお帰りになったのだ」
「戻ってきたのよ」
 兵士たちは、顔を見合わせた。
 あきれた表情だった。都では、ほかにも医仙をかたるものが何人もいるらしい。
 高価な薬を売りつけたり、適当な診療に高額を請求したり。
 まったく、とんでもない話だ。
 ありがたいことに、牢屋に入れられる前にチェ尚宮と会うことができた。
「これは……医仙」
 チェ尚宮はひどく驚いた風で、何か忘れたのか、それとも欲しいものがあるのか訊ねた。
 チェ・ヨンに会いに来た、と正直に言うと、目の色が変わった。
 頬は赤らみ、ぐっとわたしの腕をつかむと、自室へと引っ張っていく。
「ここでお待ちを。すぐに戻ります」
 走って行く。尚宮が走る、ということは一大事の時くらいだ。
 わたしが戻ってきたのは、よいことか、わるいことか。
 卓のうえに置かれた書状に目をやる。開いておいてあったのだから、盗み見たわけじゃない。婚、の文字。結婚の婚だ。
 チェ・ヨンの名もある。教えてもらったから、見間違えはない。
 詳しい内容はわからないが、これはあの人の結婚にまつわる書状に違いない。
 尚宮の慌てようをみると、戻ってきては具合が悪い、ということではないだろうか?
 喜んでいる風ではなかった。どう考えても。
 呼んでいないのに、鬼がやってきたとでもいうような、驚いた表情だった。
 はあ、とため息が漏れる。
 わたしがいなくなってから、どれだけ経ったのかはわからない。
 聞くのが怖かった、というのが本音だ。
 わたしがいなくとも世界は回っていく。
 チェ・ヨンにとって、わたしというお荷物が消えたのは僥倖だろう。
 肩の荷が下りたろうし、結婚もできる。
 子孫を残して家名を絶やさないことこそが、この時代では重要なのだから。
 尚宮が戻ってきた。
 手には何かを持っている。
「いささか急ですが、お召し替えを」
 きれいな衣だった。とても肌触りがいい。絹だろうか。
 それにしても、ずいぶん派手だ。
 こういうのは、初めて見た。中国のドラマとかでたまに見るけど……。
 着替えが終わってすぐ、王妃様のもとに行くことになった。
「医仙。よく戻られました」
 王妃様に涙ながらに手を取られ、わたしは恐縮してしまった。
 別れの挨拶をしたのは、今朝だ。
「帰りなん、いざと……もうそのような挨拶はしたくありません。医仙がいないというだけで、どれだけさびしかったか。これからは呼べばあなたに会えるのですね、医仙。いささか急ではありますが、もはや一刻の猶予もなりません。落ち着くまでは、わたくしが後見いたします」
 再会はうれしいけれど、どうも話がおかしな方向にそれている。
 後見とは、どういうことだろう?
「高麗にて暮らすなら、婚姻せねば」
 王妃様の笑顔を、呆然とわたしはみつめた。
 よい相手をみつけてくださるということなんだろう。
「ちょっと、待ってください」
 わたしは、もう一度あの人の顔が見たかった。
 それ以上のことは望まない。
 何も考えられない。
 顔を見る、それだけを願って来たなんて、われながら考えなしだ。
「結婚は、できません」
 わたしを見つめていた王妃様は、にっこりと微笑んだ。
「今宵月が空にのぼるまでに、かならずやあなたは夫と出会うでしょう」

 王妃様におかれては、強引すぎる。
 わたしは王妃様の居室を下がったあと、しかめ面のチェ尚宮に詰め寄った。
「どういうおつもりかしら。わたしのことを心配してくださるにしても、やり方が王妃様らしくありません。そう思いませんか?」
「いやはや」
 しかめつらは、笑うのをこらえていたせいらしい。
 チェ尚宮は怒るわたしのまえで、とうとう吹き出した。
「そのような格好で、足を踏みならすものではありません」
「おばさまが着せたんですよ」
「大変よくお似合いです」
「あの。これってもしかして、花嫁衣装だったりして……」
「いかにも」
 わたしはため息をついた。
「ぴったりでしょう」
「ぴったりもなにも」
 どこから用意したのかはしらないが、これで、はっきりした。
 チェ尚宮はわたしをチェ・ヨンに会わせたくないのだ。
 花嫁衣装を着たわたしを見れば、王妃様はよっぽど結婚したいのだろうと思うに違いない。
 わたしに相手を見繕い、なんとかこの国で暮らす算段をつけさせてやらねばならないと。
 尚宮の部屋にあった釣書は、チェ・ヨンの結婚にまつわるもの。彼の結婚の邪魔になるかも知れないわたしを排除しようと、尚宮はこんなものを着せたのに決まっている。
「おばさま。思いもしませんでした。わたしったら、何も考えずにのこのこと」
 脅威になんて、なるはずないのに。
 チェ・ヨンをどうこうしてやろうなんて考えていない。
 すこしも。本当に。
「何が何だか……」
 つぶやけば、尚宮はうなずいた。
 わたしの手を取り、なだめるようにぽんぽんと撫でた。
「悪いようにはしません。あなたが戻ってきてくださった今、すぐにでもことを決しなければ。邪魔がはいらぬうちに」
 邪魔者はたしかに迷惑だ。
 わたしは戻ってきたことを後悔し始めていた。
 尚宮の居室にひとり残されたわたしは、こっそりと抜け出した。
 赤い衣は目だつので、女官の衣を羽織った。
 王宮の廊下はひんやりとしている。衣が足にからまるので、すそをたくしあげた。
 踏み出せば、わかる。いきたいところはひとつだ。
 わたしは走り出した。



 
 見送ったあとは、心に穴が開いたようだった。
 何も心にとまらない。
 残されたおもちゃや衣を見るたび、むなしくてたまらなくなった。
 小さな子の笑い声が聞こえたような気がして、あたりを見回す。
 当然、誰もいない。
 典医寺をのぞいても、あの人がいるわけがないとわかっている。
 しかし、知らぬ間に足が向く。
 侍医は茶でもてなしてくれるが、強いてあの人の話はしない。
 それがありがたい。
 ひと言でもあの人への恋しさを口にすれば、とめられなくなる。
「ヨンア。悪いことは言わぬ」
 結婚して子どもを作れと叔母が言うが、まったくもってそんな気持ちにはなれない。
「後家でも娶るか。子は養子にしてもよい」
 さびしいのは叔母も同じらしい。
 ウンスと同じ年頃の娘がいる相手を見繕ってくる。
 どんな娘を連れてこようと、違うと思い知るだけだろうに。
 月の出た晩は、一人で酒を飲む。
 まっしろい月が、あの人の顔に見えるからだ。
 細い雲がかかると、笑んだ風になる。
「イムジャ。おれは、間違えましたね」
 あのまま行かせるのではなかった。
 おれもついていけばよかった。
 無事に帰れただろうか、不便を強いられてはいないかと、心配でならない。
「わたしも、間違えたわ」
 また、幻がものをいう。
 月の光のした、あの人は出会ったときのような白い衣をきて立っていた。
 あのときと違うのは、微笑んでいること。
 親しげに、温かく、おれを許し包むように。
「なにを間違えましたか」
 おれはたずねた。
「あなたがお酒ばかり飲んでいるって聞いたわ。飲んでは寝て。寝ては飲んで」
「それほど過ごしはしません。明日に差し支えますから」
「ぼうっとして身が入らないんでしょ。寝てばかりいるって」
 おれは笑った。幻にしてはするどい。
「寝るしかない。寝れば、あなたに会えますから」
「会いたかった?」
「ええ、とても」
 とても。
 口にすると、いよいよそうだと思い知る。
 立つと、足下がふらついた。
 砂利を踏む音がする。良いにおいがした。おれの胸をぐっと押しささえた手をつかみ、おれはつぶやいた。
「イムジャ。帰れましたか。元気でおいでですか」
「元気よ。チェ・ヨン」
「アガシはどうしていますか」
「ちゃんともといた所へ返したわ。不思議な話だけど、あの子が消えたこと、だれも気付かなかった。迷子になってから、一時間も過ぎていなかったのよ。……ねえ、あなたこそ、大丈夫」
「大丈夫ではありません。このまま死ぬところです」
 笑い声が聞こえた。
「気を落とさないで。残念だったけれど。嫁に出したとでも思って」
 めそめそするのも、夢ならば許されよう。
「なるほど、娘を嫁に出すというのは、こんな風ですか」
「泣き言なんか似合わないわ」
 顔を上げれば、ひんやりした手が頬を拭った。
 手を取り、まじまじと顔をみつめた。
 幻ではない。
 ユ・ウンスは、目の前にいる。
「なぜ、ここに?」
 女官の衣の下は、鮮やかな花嫁衣装だ。
「あの子を送り届けたあと、天門をくぐったの。だって、わたしの世界じゃないもの。そしたら、ここに戻ってきちゃった」
「いつ、お戻りになったのです」
「今朝。山で迷っちゃって……くたくたよ」
 抱きしめると、されるがままの人は背中をぽんぽん叩いた。
「あなたもやすんで。お酒は十分でしょ。ウダルチたるもの、翌日に酒気を残すなと、どの口で言うのかしらね」
「このざまですよ。呆れましたか」
「心配していたわよ。みんなね」  
「みんな、ですか」
 後回しにされるのは、いささか腹立たしい。
「チェ・ヨン。わたし、言いたいことがあるのよ。間違ったって言うのはね、そのこと。心残りになっちゃって……頭から離れなくて」
 おれのひげ面を両手ではさみ、しっかりと目を合わせ、こう言った。
「わたし、ここにいるわ」
 その一言がすべてを溶かし、目を覚まさせる気付けになる。
「いつまで」
「ずっと。かまわない?」
 帰ってきてくれた。
 おれは、この人をみつめずにはいられなかった。
「はい」
 満月と同じくらいまばゆくみえる。
 かすんで見えるほど。
  

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