私は猫が好きだ。
今は飼っていないが前は家で飼っていた。
その辺にいる人懐っこい野良猫や全然知らない家の飼い猫とも遊んだりする。
そう、私は猫が大好きなのだ。
さっきまでは・・・。
・・・数時間前・・・
私はタップの教室があるため愛車Wishに乗り込んだ。
エンジンをかけるといつものようにナビがしゃべりだす。
現在搭載しているナビは電源が入ったその日が何の記念日なのかを勝手に教えてくれるのだ。
「6月24日、UFO記念日です!」
へぇ~!そんな日があるんだ。
訳の分からん記念日を作る奴がいるもんだ、といつものようにボヤキながら車を発信させる。
梅雨の最中だが今日は雨も降ってないし、爽やかな陽気だ。
そんな中、最近はまっているタップの本日の練習に思いを馳せながら運転を続ける。
そんな感じでいつもの走りなれた道を進むこと約3分。
それは起こった。
対向車がくるなぁとボンヤリ思っていた。
実際には少し離れてもう一台来ていた。
一台とすれ違う直前、車の背後から唐突に現れた小さな影・・・。
ネコだぁ!!!!
二台目の対向車が来ているため、右にハンドルは切れない。
切るなら左だ!ってガードレールじゃん(゚Д゚)
ブレーキ、ブレーキ、
ブレーキ、ブレーキ!!(この時はアクセルペダルに右足を置いていた)
・・・( ゚ Д ゚ )
踏み外したぁ!!!!
ねこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
制動する機会を逸して左にハンドルを切っている車は当然のごとくガードレールに吸い込まれていく。
ウワー、とりあえずもう一回ハンドルを右に戻しとけぇ! って間に合わねーじゃん!
ゴゴッ、グガガッ、ゴシャッ!!!
ピューッと逃げていく猫。
おお、お前は無事だったか・・・・。
・・・。
・・・。
・・・ _| ̄|〇 ヤッチマッタ ・・・。
ちなみにあまりに咄嗟のことなので上記の心理描写はきっとこんな風だったんだろうという推測だ。
実際は覚えちゃいないしきっと1秒にも満たない時間だったのだろう。
10秒ほど何も出来ずに呆然とする。
先ほどの対向車は素知らぬふりでいってしまった。
ふと前方を見ると横のマンションから心配そうにこちらを見ている住人がひとり。
運転席から大丈夫であることを伝えるとすぐに引っ込んだ。
とりあえず、この場から立ち去りたくなったので被害状況を見るのは少し動いてからにしようとハンドルを右に切ろうと試みる。
おや?何かやけにハンドル重たいな。
さては前輪が縁石にピッタリくっつきすぎて切れない状態になっているんだね。さては。
しょうがないからホイールには傷がつくかも知れないけど少しまっすぐ進みますか。
って、あれ?俺今ブレーキペダル踏んでないね。
ギアもドライブに入ってるね。
おやおや?
アクセル踏んでも進まないよ。
おやおやおや?
・・・。
いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
考えたくないことを想像してしまい取り乱す私。
しばらくしてタップにどうやって行こうかな♪などと明らかに現実逃避をしながら車外に出る。
恐る恐る前方に回りこみ車とガードレールの間をそっと覗き込む。
予想通り、ガードレールや縁石と仲良くなったらしい我が愛車Wishは縁石との隙間が1mmもないほど完全な位置に停車していた。
ただし、その左前輪は完全に横を向いていた。
しかもホイールからタイヤが完全に外れています。
当然そんなことになっているぐらいなので左バンパーはボッコボコ。
左ライトも完全に失明してますな。
あっはっはっは。あっはっはっは。
こりゃ面白い。タイヤが真横向いてるよ。あっはっはっはッハッハ・・・ッハ・・・_| ̄|〇
ひとしきり取り乱した後、冷静になった私が最初に考えたこと。
車両保険入っててヨカッタァ!!!
昨年今の車に買いかえるのを契機に久々に車両保険を復活させていたのである。
それまでは対人、対物しか入っていなかった。
一目見ただけで足回りがオシャカになっているこの状況はどう考えても膨大な修理費がかかる。
意外と現実的な自分に驚きつつも、ようやく事故の対処に取り掛かる。
幸いにも1人でのっていた上、私自身にも怪我は全くなかったのため、手続きそのものは時間がかったがすんなり終わった。
レッカー移動で購入したディーラーに持ち込み、修理見積もりのお願いをして帰宅する。
当然歩いてである。
トボトボ歩きながら横切った猫のことを考えた。
いやぁ、轢かなくってよかったなぁ。
車は治せば乗れるけど、猫轢いちゃったら絶対精神的に残るしなぁ。
覚えてないけど、結果としてはあれで良かったんだよぁ。
という感じで、実はこの時点では猫にうらみを抱こうとは考えていなかった。
しかし、ようやく家にたどり着こうというその時。
それはそこにあった。
私の自宅の前の主のいない寂しげなカーポートのど真ん中。
こんもりと盛られた茶色の物体・・・。
ウ○コだ。
ねこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
この時、初めて私の中に猫への憎悪の炎が燃え上がった。
そう、百歩ゆずってこれは犬のウン○だと思い込むことも出来たのだろう。
しかし、なぜか確信を持ってそれが猫のウ○コであると断定した。
私は猫が嫌いだ。