私が2軒目のお店で一緒になった子で、他のお店でも一緒になってしまった嬢がいます。


狭い世界ですから、前のお店で一緒に働いていた子がまた同じお店で働くなんてことはよくあるんです。


できればもう二度と同じお店では働きたくない…そう思っていた嬢だけに、同じお店に入ってきたときはかなりショックでした。





優「あ~っ!ユキちゃん、久しぶり~♪会いたかった~、元気だった?」



ユキ「え~っ、優ちゃん!? どうしたの?」



優「えへへ、ユキちゃんがここに居るって聞いて来ちゃった(笑)」




この優ちゃんは最初に一緒に働いていたお店ではトラブルを起こして数ヶ月で辞めていき、その後は数軒のお店を出たり入ったりしていました。

私は前のお店でこの優ちゃんに懐かれて、かなり困った立場になってしまったことがあるんです。




数年前、私が働いていたお店に新人として入店した優ちゃんは、人懐こくて誰にでも笑顔を見せる可愛い後輩でした。


そんな彼女と一緒に飲みに行った次の日から、私のそばを離れなくなってしまったんです。


個室待機をしていれば部屋に遊びに来るし、控室にいれば隣に座っている嬢をどけてまで私の隣に座る(汗)


まさに彼女は私の金魚のフン状態になっていました。



そんな状態がしばらく続いて、なんとなく変だなぁと思い始めた頃、私がいちばん仲良くしていたカナちゃんが忠告してくれたんです。




カナ「優ちゃんにすごく懐かれてるけど、周り見たほうが良いよ。」



ユキ「なんで?周りって?」



カナ「優ちゃん、私のところに来て『ユキちゃんがカナさんの悪口言ってましたよ~』って言ってたよ。」



ユキ「はぁ~!?ちょっとなにそれ!?」



カナ「それを他の子にもやってるみたい。わかってる子は良いんだけどね…けっこう悪口の内容も具体的で、信じちゃう子もいるんじゃない?」




そういえば………カナちゃんと話していた後に優ちゃんに言われたことがあったんです。




優「ユキちゃん、カナさんと仲良いね。なんかヤキモチ焼いちゃう。」




そのときは『この子なんか変な子だなぁ』としか思わなかったんですが、この言葉の意味をもっと深く考えるべきでした。




ある日、お店の講習員の樹里さんに飲みに誘われて喜んでついていくと、お説教だったんです。




樹里「最近よく耳にするんだけど、ユキちゃん他の子の悪口をお客さんに言ってるんだってね。」



ユキ「ええっ!?私そんなことしてません。お客さんと他の子の話なんてしないですもん。」



樹里「でもいろいろ聞いてるよ、それで嫌な思いをしてる子もいるからね。」



ユキ「でも本当に言ってないんです…。なんでこんなことに…。」




その場は樹里さんといろいろ話したものの、自分の身の潔白を証明することができずモヤモヤしながら帰りました。



その数日後、カナちゃんとその話をしていて言われたんです。




カナ「それって、もしかして優ちゃんじゃない?あの子絶対何かやってるよ。」



ユキ「えっ………。」




カナちゃんに言われたことを思い出しました。


私がカナちゃんの悪口を言っていると優ちゃんに聞いたと言われたことです。



この出来事をきっかけに、他の子にも聞いて私が悪口を言っているという話の出所を調べてみました。


すべて優ちゃんだったんです。




もちろん、『お客さんから聞いたんだけど、ユキちゃんが○○さんのこと悪く言ってたらしい。』と言って周ったのも優ちゃん。




こんな出来事があって、私も自然と優ちゃんと話さなくなり、他の嬢からも疎まれ辞めていったんです。



そんな優ちゃんがまた同じお店にやってきたことで、ものすごい恐怖を感じたんです。


また同じようなことになったら大変です。



ちょうどこの頃、お店を移りたいと思って悩んでいたので、優ちゃんが来たことでキッパリ移ることができました。


辞めようかと考え始めてからが長い私にとっては珍しいことなんですが、優ちゃんが来てから一週間後のことでした。



彼女がなぜ、人を貶めるようなことをするのか…自分なりに考えたんです。



あるとき優ちゃんが私に言った言葉があったんです。


『大勢で話すのって苦手…少人数じゃないと仲良くできないんだぁ。』



自分が大勢と話したくないために、気が合うと思った私を孤立させたかったのかもしれないですよね…。





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当時、私が働いていたお店の店長は慢性鼻炎で、一年中鼻をグズグズさせていました。

この店長はオーナーがお店に来ないのをいいことに仕事もせず嬢の控室に入り浸り、一日中TVを観ているような人でした。


新人の面接も講習もこの店長がしていたんですが、困った嬢を入店させてしまったんです。




ある日の朝、控室に行くと店長に新人さんを紹介されました。




店長「ユキちゃん、今日から入ったヒカリちゃんね。」



ヒカリ「よろしくお願いします。」



ユキ「よろしくお願いします。」



店長「ヒカリちゃんは20歳だから、若いよね~」





店長は若い子が入ってホクホク顔でしたが、そのとき私には少し気になることが…。



しばらくして仲良しのカナちゃんが出勤してきました。





カナ「オハヨ~。あれ、新人さん?よろしくね~。」



ユキ「おはよー!今日は早かったね。」





カナちゃんも気になることがあるようで、私の顔を意味ありげに見ています。


私は少しうなずくと、何事もなかったようにカナちゃんと話していました。




しばらくするとカナちゃんがテーブルの下から私の足を蹴りました。


カナちゃんの視線の先を見ると、ヒカリちゃんが自分の頭を触り、その手を鼻に持っていき臭いを嗅いでいます。


何度も何度も同じ動作を繰り返しているんです。




カナ「今日は個室で食事するよ、ユキちゃんも一緒に来ない?」



ユキ「うん…そうする。」




個室に行くとカナちゃんが我慢できないといった顔で話し始めます。





カナ「あそこで食事はできないよ!臭すぎる!!」



ユキ「ヒカリちゃん…だよね?」



カナ「絶対そうだよ、控室入った瞬間にヤバイ臭いしてたもん!」




ヒカリちゃんは汚ギャルだったんです(汗)


昔TVにも出てましたよね、お風呂に入らないギャル達。




店長は鼻炎なので気づかなかったんだと思いますが、普通に臭いを感じる私たちにとっては同じ部屋で食事を取るのは拷問に近いほどの臭い………。


彼女の頭は、よく見ると脂でベットリとしていました。



ヒカリちゃんが接客したお客さんから苦情が入ったらしく、店長が何回も注意していましたが、本当にお風呂嫌いなのか直ることはなかったんです。



当然お店をクビになりました。



ソープ嬢はお客さんとの距離も近い仕事ですし、不潔なのは問題ですよね。




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ある日接客が終わるとフロントに呼び出されました。


私がソープ嬢になって1年ほど経ったころのことです。




フロントには社長とマネージャーがいて、雑誌を持って立っています。




社長「わざわざ降りて来てもらって悪かったね、控室じゃ話しにくいから。」



ユキ「いえ、今日は2階の部屋で近くですから…どうかしたんですか?」



社長「うん、ユキちゃんさぁネット指名多いでしょ?うちの店でも2番目に多いんだよ。」



ユキ「そうですか?そんなに多いとは思いませんでしたけど。」



社長「それでね、ネットで顔出しするか雑誌に出てみない?」



ユキ「………はぁ!?無理です、そんなの!まだまだ人生捨てたくありません!」



社長「そうだろうな…実はネットが一番鳴ってるのはリコちゃんなんだけど、彼女にも断られてね。」





リコちゃんは私と同時期に入った嬢で、今でも一緒に飲みに行ったりする仲です。



リコちゃんも旦那さんがいる嬢なのでネットで顔出しどころか、私と一緒でモザイクのかかった写真でもまずかったんです。



このお店はネットに必ず写真を出さなければいけないお店で、全ての嬢がHPに写真を出していました。


もちろんほとんどが顔出しNG嬢でしたが…。




この日、帰りに一緒になったリコちゃんと少しだけ飲みに行くことになりました。




リコ「ユキちゃんも社長にネットの顔出しするか雑誌って言われたでしょ?」



ユキ「うん、断ったけどね。絶対無理だよね、考えただけで怖いもん。」



リコ「絶対やめたほうがいいよ、雑誌なんか出るのは地方出身者がほとんどみたいだよ。」




風俗誌を買う人はご存知でしょうが、関東の風俗誌には地方のお店は載っていないようです。


逆に地方の雑誌には関東のお店は載っていないわけですね。



私はあまりよく見たことがないので、このときにリコちゃんに聞いて初めて知りました。




二人とも社長にきっぱり断った後なのでなんの心配もなくお酒を飲んで、この日は翌日に備え早めに帰りました。




数日後、新人の夕菜ちゃんが控室で雑誌に載る話しをしていました。


社長に頼まれて断りきれなかったようですが、顔出しで載ることは断り、顔を隠して出ることにしたようです。



この夕菜ちゃんはアイドルになってもおかしくないような可愛い子で、新人ですが少しづつ指名を増やしているところでした。




雑誌の発売日は1ヵ月後、夕菜ちゃんはなんだかんだ言いながらも雑誌を見るのを楽しみにしているようでした。




雑誌の発売前に掲載店には出版社から雑誌が送られてきます。


その雑誌はお客さんの待合室に置かれるんですが、このときは夕菜ちゃんが載っていることもあり社長が控室にもって来ました。




社長「顔を隠しているし、小さな写真だと思うよ。」




パラパラと雑誌を捲ると、数ページ目に1ページまるまる夕菜ちゃんが大きく載っていたんです。


それも何かの手違いなのか、顔は出したままで。



数枚の写真は手で目元を隠している写真なんですが、なぜか一番大きい写真だけ顔がバッチリ出ているんです。



その写真を見ると夕菜ちゃんは小さな悲鳴を上げて、目を見開き社長を見つめました。



控室の中は一瞬静まり返ってから大騒ぎです。




社長が慌てて出版社に電話をしたんですが、やっぱり手違いのようでした。


一人の嬢の顔が間違って出てしまったくらいでは雑誌の発売を止めることなんてできません。




雑誌が発売されると夕菜ちゃんは恐怖で出勤することもできなくなり、そのまま辞めてしまいました。



あの雑誌に載ったことで夕菜ちゃんの人生に何も変化がなかったのならいいんですが…。





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友人のカナちゃんには浪費家の妹がいます。




カナ「あのバカさぁ、自己破産してもわかんないみたいで、電柱に書いてある電話番号までメモして歩いてるよ。」

ユキ「なにそれ?電柱の電話番号?」



カナ「トイチの闇金だよ、他じゃ貸してくれないからヤバイとこで借りてんの。」



ユキ「えぇ~、それマズイんじゃない?」



カナ「うん、実家にまで電話かかってくるみたいだし、それで気づくと親が返してる。」





カナちゃんのご両親は、妹さんの借金返済のために退職金を使い果たしてしまったそうです。



この話を聞いてから、何かとカナちゃんから妹さんの話を聞くようになりました。


何度も妹の借金を返していて、そのうちの何回かはお渡したお金の半分は使い込まれてしまったそうです。



カナちゃんの妹さんは、お金を持つとブランド物を買いたくなるようです。


ブランド物欲しさに、自分のお金と人のお金の区別ができないんでしょうね。



そんなわけで何度も妹さんと縁を切ろうと思ったり、実際に縁を切ったそうですが、お金を払ってしまうご両親の姿を見て放っておけなくなるみたいです。



もう妹さんのためというより、ご両親のために借金を返している状態だったわけですね。




何度もご両親にお金を渡さないように話してはいるようですが、カナちゃんの妹さんには子供がいて、孫のためにご両親もお金を渡し続けていました。



そんなカナちゃんもたびたびの借金取りからの連絡に堪忍袋の緒が切れて、妹さんに絶縁宣言をしたそうです。




カナ「そしたらさぁ、あのバカなんて言ったと思う?呆れちゃったよ。」



ユキ「もう想像もできない…妹さんすごいもんね…」



カナ「ソープで働いてること親にバラされたくなかったら1千万よこせって(笑)」



ユキ「………(汗)」





この問題は解決しませんでした。


お金を出さなくなった姉に腹を立て、カナちゃんに言った通り父親に全て話してしまったんです。



カナちゃんは妹の借金返済をしていたことも、強請られてたことも説明しました。



カナちゃんは親にソープ勤めを知られ、妹さんは姉を強請っていたことを知られ、何も良いことはなかったんです…。



この後、しばらくはご両親とも顔をあわせにくい日々が続いたようですが、カナちゃんにソープ勤めまでさせていたことを知ったご両親は、妹さんにお金を渡すのを止めたそうです。





結果的には良かったんでしょうか…?




今はカナちゃんもご両親も妹さんがどうしているか全くわからないようです。





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美幸「もしもし、なんなの今回は!?もういい加減にしてくれない!?借金借金って、あんたが勝手に作ってるだけで私には関係ないでしょ!!」




ある日、仕事を終えて控室に入っていくと美幸ちゃんの怒鳴る声が聞こえてきました。



普段だったらこのまま控室には入らずに、個室に戻るところです。

でもこのときはすぐ次のお客さんが待っていて、どうしても控室にある道具が必要だったので、悪いとは思いつつ入りました。



ゴメンゴメンと手を合わせながら入って行くと、美幸ちゃんは電話を続けながら首を振って「いいよ」と笑ってくれます。



私はすぐに次のお客さんだったので、この場はこれで終わりました。


美幸ちゃんの彼氏が借金でもしたのかなぁ?なんて思っていたんです。


でも彼氏じゃなかったんですね…。




ある日、みんなで控室で話しているとき借金の話になりました。




彼氏の借金、自分の借金、そして家族の借金。



家族の借金の話をしているのは美幸ちゃんを含めて3人です。


事業に失敗したとか病気でとかではなく、浪費のための借金でした。




美幸「ウチのババア、何に使ったかわからないらしいんだよね~。」



カナ「そうそう!ウチの妹もそうなんだよ!」



翔子「ほっといたほうが良いのはわかってるんだけど、借金が膨らみきってから泣き付かれるのも怖いし…」



カナ「私は妹にソープで働けって言ったよ、イヤがってたけど。」



ユキ「それはカナちゃんが助けるからだろうね、どうしようもなくなれば自分でやるしかないんだけど…」



カナ「そうだよね~、この前も100万渡したんだよ。」



美幸「私は400万…今回は本当に捨てようかと思ったよ。」




美幸ちゃんが控室で電話しながら怒鳴っていたのはこれが原因だったんです。



ソープで働く嬢の中には家族に浪費癖のある人も多いのかもしれません。




もちろん風俗に入った理由は人それぞれでしょうけど、家族の浪費で辞められない嬢もいるわけです。



それにしても不思議なのは、美幸ちゃんのお母さんは美幸ちゃんが普通のOLだと思っていることです。


普通のOLが一人暮らしをしていて貯金できる額は高が知れています。


そんな普通のOLが400万円もポンと母親に渡すのはおかしいと思わないんでしょうか?



おかしいと思わないところが、金銭感覚の狂った人の証拠なのかもしれませんが…。



この美幸ちゃんは母親の作る借金を返し続けて貯金ができず、いまもソープで働いています。




次回は、ここに少しだけ登場したカナちゃんのお話です。



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人との付き合い方が下手な人ってけっこういますよね。

気を使って遠まわしに言うってことができない人、相手を思いやることができない人、自分のことしか考えられない人、不器用で相手に自分の本心を見せられない人。


私の長いソープ嬢生活の中で、いちばん記憶に残っている人付き合いの下手な人を思い出しました。



この人は長尾さんといって、還暦間近の独身のお客さんでした。


去年まで通っていただいたお客さんで、私の指名のお客さんの中でも長いお付き合いになった人です。



最初は前回書いた遠藤さんと同じで、クチの悪い人だと思っていました。



私の体重が増え始めた頃、よく「お前このままいくと関取になるぞ」なんて言われていました。



ある日、私が長尾さんの前で怪我をしたことがあったんです。




ユキ「それでね、昨日は~痛いっ!!」



長尾「なんだ、何を一人で喜んでるんだ?(笑)」



ユキ「喜んでないよ、爪が剥がれちゃった…。」




話しながらお湯の温度を確認しているときに、浴槽の栓を繋いでいる金属の線に爪を引っ掛けてしまいました。


運悪く線の一部が切れ掛かっていて、その飛び出した金属が指と爪の間に入って爪が半分剥がれたんです。




長尾「ハハハッ、普段の行いが悪いからそうなるんだな(笑)」




指先からポタポタと血を流す私を見ながら長尾さんが笑って言った言葉がこれでした。


人が怪我をして痛がっているのを見て笑っていられる人って、それまで私の周りにはいなかったのでビックリしましたし、ショックでもありました。



それまでも長尾さんの言動はひどいものでしたが、クチが悪いだけなんだと思って気にしないようにしてきたんです。



それがこの言葉で『悪いのはクチだけではないかも…』と思うようになってしまい、月に2~3回の長尾さんの来店がとても嫌な時間になってしまいました。




これ以外にも、私がどうしても気になっていて止めて欲しかったことがいくつかありました。



個室に入って靴下を脱ぐと、冬場の冷たくなった足を私の背中や胸に押し当ててくる。


私はこれがすごく嫌だったんです。



平気な人もいるかもしれませんが、外から来て洗ってもいない足を私の肌で温めるわけですし、洗っていたとしても人に足を押し付ける行為って普通はしないですよね?





私の頭を叩く。


これは前にも雑記で書きましたけど、心を許している人以外には絶対にされたくない行為です。




長尾さんはとても育ちが良かったようで、自分以外の人は「育ちが悪い」と言う。


もちろん私も毎回のように言われていました。


具体的な理由があるわけでもなく(理由があるならまだマシ)です。




お金を投げるように渡す。


これも毎回のことでした。




こうやって書いていると長尾さんはものすごく嫌な人ですよね。


でも決して悪い人ではなかったんです、多分(汗)




スナックの女性に『子供が怪我をして困っているからお金を貸して欲しい』と頼まれて、同情してポンと100万円あげてしまうような人でした。



私自身が長尾さんを嫌いになってしまってから、我慢せずにチクチクと嫌味を言っていたんです。


もちろんもうお店に来なくなっても構わないと思っていましたし、できればもう長尾さんの言動で傷つきたくないと思っていました。




ユキ「普通は人に足の裏なんかくっつけないでしょ、他でやったら嫌われちゃうよ~。」



長尾「ふんっ、そんなの気にするほうがおかしいんだ。」



ユキ「頭は叩かないでね、肩は我慢するけど、さすがに頭は嫌だよ~。」



長尾「余計にバカになるからか?(笑)」



ユキ「長尾さんはいっつもあのボーイさんのこと育ちが悪いって言うけど、育った環境を見たの?見てなきゃ言えないでしょ?」



長尾「ああいうヤツは育ちが悪いに決まってるんだ。」



ユキ「長尾さんはいっつもお金を投げるの?コンビニでも?嫌な顔されるでしょ?」



長尾「客だからいいんだよ。」




こんな感じで嫌なことをされるたびに言い続けていたんです、私も黙っていられない性格なんでしょうね(汗)



徐々に長尾さんの言動が変わっていきました。


私が指摘した部分だけですけど、明らかに気をつけているのが伝わるんです。



それで感じたのは、長尾さんは今まで人に指摘されたことがなかったのかもしれないということです。



ずっと独身でいた長尾さんですし、本人が言っているようにボンボン育ちです。


可愛がられて甘やかされて育てられたのかもしれませんね。




人に叱られたり注意されることって絶対に必要なんですよね、じゃないと長尾さんになってしまいます。


きっと長尾さんはこの性格のせいで人付き合いも上手くできずに、ずっと独身でいたんでしょうね。



もう還暦間近の長尾さんですから、完全に治すことは無理だったでしょうけど、少しでも人に気を使うことを覚えたら、老後の生活も変わるかもしれませんね。





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今回のイラストを最後に、セイさんがやめてしまうことになりました。




とても残念なんですが、本業やそれ以外にもいろいろとお忙しい方なので…仕方ないですね(涙)






どうしても私のペースに合わせてイラストを描くことになってしまうので、セイさんは大変だったと思います。






以下はセイさんから、読者さんへのメッセージです。








「今回でユキさんのブログのイラスト担当を降りることになりました。

長い間見ていただいて、本当にありがとうございました。

ユキさんのブログはまだまだ続きますので、私も一読者として

応援していきたいと思います。」









実際にお会いしたことはなく、メールのやり取りだけでしたが、セイさんの真面目な人柄には毎回ホッとさせられました。




一度お会いしてみたかったです。






今までこのブログの下準備を含めると約一年間、本当にありがとうございましたm(_ _ )m

小心者の私はもともと接客業には向いていないのかもしれません。

まだ新人のころ、とても困っていたことがあるんです。


フリーのお客さんをお出迎えして顔を合わせるとき、お客さんの態度によって自分のサービスが変わってしまっていたんです。




あからさまに『タイプじゃないなぁ』とガッカリした顔をする人もいれば、ニッコリ笑って「綺麗な子で良かった!」と言ってくれる人もいます。



ここら辺は好みの問題なので仕方ないんですよね。




私は前者のお客さんの場合、遠慮してしまうんです。


『このお客さん、好みじゃない私がこれをやったらイヤかもしれない』
『タイプじゃないとキスもしたくないだろうなぁ』

『なんとかして嫌われないようにサービス頑張らなくちゃ』




色々なことが頭の中でグルグル回ってしまい、積極的なサービスができなくなってしまっていたんです。


マットやベッドでただ抜くことばかり考えてしまって、ムードもへったくれもありませんでした。




結果、『色々頑張ってくれたけど、それだけ』なんて評価をいただいてしまうわけです。



そんな悩みを44話に登場した加賀さんに相談したことがありました。




ユキ「どうしてもお客さんの顔色ばかり見てしまって、つまらなそうな顔をされると一歩引いちゃう…。」



加賀「そういう話は聞いたことあるなぁ、気にしなきゃいいんだよ。」



ユキ「でも気になっちゃうんだもん…、タイプじゃなかったりとか。」



加賀「人の好みは色々だからね、誰もが好みの女の子なんていないに決まってるんだよ。」



ユキ「そうかもしれないけど、ハッキリ言われたり顔に出されると気持ちが萎えるじゃない。」



加賀「それでもニコニコしていればいいんだよ。男なんて単純だから、相手が笑っていれば好みじゃなくても可愛く見えてくるものだから。」




この言葉を聞く前は、好みじゃないと思われたらどんなに頑張っても無駄だと思っていたんです。


でもそうではなかったんですね、容姿の問題も大きいですが、一緒に楽しい時間を過ごせるかどうかもお客さんにとっては大事だったんです。



好みじゃない女の子が出てきてガッカリしているときに、その子があまり笑わなかったり甘えてこなかったりしたら余計にイヤになるんですね。




私はそういう場合、事務的だったと思います。



加賀さんのアドバイスを実行するようになってからしばらくして、こんなお客さんに付きました。




ユキ「はじめまして~、ユキです!」



遠藤「お前ブスだなぁ~(笑)好みじゃないけど、まあいっか(笑)」




正直言って、くじけそうでした…


女性としては泣いてお家に帰りたくなっても無理はない言葉です(涙)



でもとりあえず頑張ってみることにして、ニコニコ笑い続け普段どおりのサービスをします。


結局この遠藤さんは2時間の間に数え切れないくらい「ブス」という言葉を吐いてお帰りになりました。




帰り際もフロントに向かって




遠藤「あ~、ブスでつまらなかった!」




と笑いながら言って帰ったんです。




ところが2~3週間後、今度は本指名で遠藤さんがお店にやってきました。




ユキ「ご指名ありがとうございます!」



遠藤「おう、元気だったか?お前相変わらずブスのくせに楽しそうにニヤニヤしてるな!」



ユキ「だって遠藤さんが指名で来てくれたから、嬉しいじゃないですか!」



遠藤「ブスって何回も言われて笑ってるのはお前くらいだぞ、他のは怒って余計ブスになるんだ(笑)」




この言葉を聞いて思ったのは、加賀さんの言うとおり笑っていれば可愛く見えてくる、逆に仏頂面をしていれば余計に好みじゃなくなるってことですね。




当たり前のことなんですけど、お客さんの反応を見て消極的になっていたときには考えもしないことでした。



加賀さんのおかげで、自分の苦手なお客さんにも笑顔を向けられるようになりました。





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ヤタローさんのスピンオフはコチラ です

ある年の誕生日、一番の常連のお客さんだった三田さんからプレゼントをいただきました。




三田「今年のプレゼントは2つ用意したからね!明けてみてよ。」

ユキ「うそぉ、嬉しい♪誕生日を覚えていてくれるだけでも嬉しいのに!」




一つ目のプレゼントを開けると、有名ブランドの小さな箱の中身はネックレスでした。


可愛らしい小さなネックレスで普段つけるのにちょうど良い感じです。




ユキ「うわっ、すっごい可愛い!ありがとう、大事にするね!」



三田「気に入ってくれて良かったよ。店員さんに一緒に選んでもらったんだ。もう一つも開けてみてよ。」





もう一つの包みは簡単な包装で、三田さん自身が包装したような感じでした。



正直いって、開ける前に予感はあったんです……これは………この形は………




ユキ「…携帯?」



三田「そう、携帯。」



ユキ「……何で携帯?」



三田「だってユキちゃん携帯番号教えてくれないからさぁ、この携帯なら僕名義だしいいでしょ?」



ユキ「三田さんにはメールアドレスを教えてあるじゃない?メールじゃダメなの?」



三田「お店に来れないときもユキちゃんの声を聞きたいんだよ。」




三田さんは私に携帯を渡してとても満足そうでしたが、私はまったく嬉しくありません。


嬉しいどころかNGにすることまでも考えました(汗)




ユキ「ありがとう…じゃあ、お店に置いておくね(汗)」



三田「それじゃダメなんだよ、肌身離さず持っていて、いつでも電話に出てくれなくちゃ!」



ユキ「えっ、でもお休みの日もあるし…」




ゲンナリした気分でした…休みの日にまでお客さんと電話をしなきゃならないなんて…。


ただでさえ三田さんは普段からメールの多い人だったんです、姫予約だけでなく「今なにしてる?」メールが一日おきにありました。



この手の人の携帯なんか持ってしまったら、大変なことになるのは目に見えています。


なんとかして断らないと、旦那が居るときどころか夜中にまで電話がかかってきそうですよね。




ユキ「でも私、今まで言ってなかったけど、他にも仕事してて、電話には出られないと思うよ?」



三田「仕事って何してるの?休みの日に24時間仕事してるわけじゃないでしょ、大丈夫だよ(笑)」



ユキ「…でも、夜はダメなんだ、忙しいから!」



三田「わかったよ、じゃあ昼間だけにするね。」




結局断りきれずに三田さん専用携帯を持たされてしまった私、これから悪夢のような電話地獄が待っているんです。


何回かはお店にわざと忘れてみましたが、怒涛のメール攻撃があるのでそれも面倒になってしまいました。



旦那が帰って来る時間に合わせて専用電話の電源は切ります。


電話自体も見つかったら大変なので隠さなければなりません。




昼間は三田さんの営業の合間に電話が鳴り、多い時は一日5~6回は電話していました。




「まるで恋愛中の二人みたいだね」


なんて言う三田さんが憎らしくて憎らしくて(涙)



もともとは好きな部類のお客さんだった三田さんですが、この携帯のせいで一番嫌いなお客さんに降格です。




もし会社だったら、一気に降格したのでもう一回なにかあったらクビでもおかしくないですよね?


あったんです、もう一回が。



ある日、昼間からジャンジャンかかってきていた三田さんの電話、この日は実家に行っていて電話には出れなかったんです。



それを知らない三田さんは何十回も電話をかけてきます。




私が電源を切ったので、シビレを切らした三田さんは私の普段の携帯のほうに何回もメールを送ってきました。


あまりにメールの件数が多いので『いま実家だから電話できない』と簡単にメールを返したんですが、それでもメールは止まりません。



『外にでて電話すればいいじゃん』

『今すぐ電話して』

『声が聞きたい』



こんなメールが10分おきに入ってくるんです。


いい加減うるさいし、腹が立ってしまってコンビニに行くと言って実家を出て電話をかけました。




ユキ「もしもし?もうお店に来ないでいいから電話しないで!この携帯も捨てるから!」



三田「なんでそんなに怒ってるの?昨日まであんなに楽しく話してたじゃない?」



ユキ「私はお客さんと仲良くするのは仕事中だけで十分だから!私にもプライベートはあるんです!」




こんな感じで三田さんの電話地獄から開放されました。



テレクラのサクラだって電話したら時給がもらえるのに、三田さんの電話は時給どころかお店に来る回数が減ってましたから(汗)



電話で会話することによって、ある程度満足してしまったのかもしれませんね。




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私がソープに入ってすぐ、ネット指名でついたお客さんの話です。


加賀さんは当時40代後半、いつも全身アルマーニ、長身で何をしても様になる人でした。

まだまだド素人だった私をプロのソープ嬢に育ててくれたと言える人です。



初めて加賀さんについたとき、私は一切仕事をさせてもらえませんでした。


マットはやらず、ベッドでも加賀さんのリード。

お風呂で身体を洗うことすら自分でやって、私の身体まで洗ってくれたんです。



まるで逆ソープでした。



そして加賀さんの帰りぎわ、つい私は言ってはいけないことを言ってしまったんです。



ユキ「なんか私、全然お仕事してません…。」



こうやって楽しむお客さんもいることを知らなかったとはいえ、「仕事」はNGワードです。




加賀「…ダメだよぉ(笑)ちょっと切り返しして。」


ユキ「えっ?ダブルにするんですか?」


加賀「うん、まだ時間あるから。」 




切り返しした加賀さんは、一度着た服を脱ぐでもなくベッドに腰掛けたまま話し始めました。





加賀「ソープってのはさ、客も求めるものは様々だけど、女の子のやり方も様々なんだよ。」



確かにそうです、お仕事派の嬢もいれば、色恋派の嬢もいます。



加賀「でもお客さんに合わせて自分の接客を変える子も少ないけどいるんだよ。そういう子は人気が出る。」


ユキ「難しそうですね…。」


加賀「まずは、『仕事』って言葉を使うのはやめなさい、お客さんは夢を見に来てるんだからね。」


ユキ「あ、はい、すみません…。」




この後も加賀さんの話は続きました。


この日から5年間、暇ができるとお店に来てくれました。

週に2回来ることもあれば、数ヶ月空くこともあっていつ来るかわかりませんでしたが、来ればいつもダブルで相談に乗ってくれました。


この加賀さんとの思い出で一番忘れられない出来事があります。


出会って数ヶ月後の1月終わり、加賀さんは大きなダンボール箱を持ってお店にやってきました。

箱の中身は綺麗に包装されたチョコレートです。



加賀「もうすぐバレンタインだから、これをお客さんに配りなさい。」


ユキ「えっ、これ全部チョコ!?いくつあるの?」


加賀「100個あるから、だいぶ配れるよ。クリスマスの時みたいにどうせ用意してないんだろ(笑)」


ユキ「100個!?そんな沢山、余っちゃうよ(汗)」 


加賀「余ったら他の子にあげればいいよ。」


ユキ「ありがとう(苦笑)」





この年のバレンタインは、私からお客さんへチョコをばら撒きました。


フリーのお客さんにもチョコを渡したのはこの年だけです。



当然チョコは余りまくりでしたが本当にありがたかったです。




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