私がソープに入ってすぐ、ネット指名でついたお客さんの話です。


加賀さんは当時40代後半、いつも全身アルマーニ、長身で何をしても様になる人でした。

まだまだド素人だった私をプロのソープ嬢に育ててくれたと言える人です。



初めて加賀さんについたとき、私は一切仕事をさせてもらえませんでした。


マットはやらず、ベッドでも加賀さんのリード。

お風呂で身体を洗うことすら自分でやって、私の身体まで洗ってくれたんです。



まるで逆ソープでした。



そして加賀さんの帰りぎわ、つい私は言ってはいけないことを言ってしまったんです。



ユキ「なんか私、全然お仕事してません…。」



こうやって楽しむお客さんもいることを知らなかったとはいえ、「仕事」はNGワードです。




加賀「…ダメだよぉ(笑)ちょっと切り返しして。」


ユキ「えっ?ダブルにするんですか?」


加賀「うん、まだ時間あるから。」 




切り返しした加賀さんは、一度着た服を脱ぐでもなくベッドに腰掛けたまま話し始めました。





加賀「ソープってのはさ、客も求めるものは様々だけど、女の子のやり方も様々なんだよ。」



確かにそうです、お仕事派の嬢もいれば、色恋派の嬢もいます。



加賀「でもお客さんに合わせて自分の接客を変える子も少ないけどいるんだよ。そういう子は人気が出る。」


ユキ「難しそうですね…。」


加賀「まずは、『仕事』って言葉を使うのはやめなさい、お客さんは夢を見に来てるんだからね。」


ユキ「あ、はい、すみません…。」




この後も加賀さんの話は続きました。


この日から5年間、暇ができるとお店に来てくれました。

週に2回来ることもあれば、数ヶ月空くこともあっていつ来るかわかりませんでしたが、来ればいつもダブルで相談に乗ってくれました。


この加賀さんとの思い出で一番忘れられない出来事があります。


出会って数ヶ月後の1月終わり、加賀さんは大きなダンボール箱を持ってお店にやってきました。

箱の中身は綺麗に包装されたチョコレートです。



加賀「もうすぐバレンタインだから、これをお客さんに配りなさい。」


ユキ「えっ、これ全部チョコ!?いくつあるの?」


加賀「100個あるから、だいぶ配れるよ。クリスマスの時みたいにどうせ用意してないんだろ(笑)」


ユキ「100個!?そんな沢山、余っちゃうよ(汗)」 


加賀「余ったら他の子にあげればいいよ。」


ユキ「ありがとう(苦笑)」





この年のバレンタインは、私からお客さんへチョコをばら撒きました。


フリーのお客さんにもチョコを渡したのはこの年だけです。



当然チョコは余りまくりでしたが本当にありがたかったです。




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