遺言・相続専門行政書士の掛谷章です。
これからしばらくの間は、相続対策について記事を書きたいと思います。
今日は、「不動産で残す方が預貯金・株式で残すより特典が多い」についてです。
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1.相続の対象になる「3大財産」とその評価方法
資産運用は、(1)預貯金、(2)株式、(3)不動産の3つの資産に分散させて投資するのが望ましいと言われます。また、近年はドルやユーロなど海外の投資商品も登場し、その方法は多様化しています。
相続税は、故人(被相続人)の財産を相続した人に課税されます。そして、課税される相続財産の評価額は、相続時の財産の評価額になります。
「3大財産」と呼ばれる、これら預貯金、株式、不動産が、それぞれどのように評価されるのかを見てみましょう。
(1)預貯金の評価額
預貯金の評価額=預入額+既に発生した利息額-源泉徴収される所得税額
※詳しくはこちらの記事を参照してください。
⇒【相続税その25】相続財産の評価(その11)~預貯金・信託の評価~
https://ameblo.jp/kaketanijimusyo/entry-12284016284.html
(2)株式の評価額
上場株式の場合は、次の①~④のうち最も低い金額で評価します。
①相続した日の終値
②相続した日の当月の毎日の最終価格の月平均額
③相続した日の月の前月の毎日の最終価格の月平均額
④相続した日の月の前々月の毎日の最終価格の月平均額
※詳しくはこちらの記事を参照してください。
⇒【相続税その23】相続財産の評価(その9)~上場株式・登録銘柄などの評価~
https://ameblo.jp/kaketanijimusyo/entry-12282823237.html
⇒【相続税その24】相続財産の評価(その10)~取引相場のない株式の評価~
https://ameblo.jp/kaketanijimusyo/entry-12283440397.html
(3)不動産の評価額
不動産の評価額=路線価方式または倍率方式で算定した評価額
路線価とは、国税庁が発表する土地の価格で、相続税の算定基準となるものです。国土交通省が発表する地価公示価格(標準価格)の80%くらいに設定されています。
倍率方式とは、路線価の設定されていない土地に適用される方式で、固定資産税評価額に一定の倍率(1.1倍とか1.2倍など)を掛けて土地の価格を評価する方法です。固定資産税評価額は、土地なら地価公示価格(標準価格)の70%くらいに、建物なら建築価格の50%~70%くらいに、それぞれ設定されています。
※詳しくはこちらの記事を参照してください。
⇒【相続税その18】相続財産の評価(その4)~宅地や畑の評価の仕方~
https://ameblo.jp/kaketanijimusyo/entry-12279898324.html
⇒【相続税その19】相続財産の評価(その5)~宅地は形状や立地によって路線価の補正が必要~
https://ameblo.jp/kaketanijimusyo/entry-12280451742.html
2.不動産は最大80%の評価減になる
上記1で説明したとおり、相続財産のうち、預貯金と株式は取引価格に近い金額が評価額になりますが、不動産は多少異なります。
さらに、不動産は、その利用形態に応じて、次の(1)(2)のような評価上・税制上の優遇措置があります。
(1)小規模宅地等の80%または50%の評価減
次の①~④のとおり、土地の評価額を減額できます。
①特定居住用宅地等⇒330㎡まで、80%減額
②特定事業用宅地等⇒400㎡まで、80%減額
③特定同族会社事業用宅地等⇒400㎡まで、80%減額
④貸付事業用宅地等⇒200㎡まで、50%減額
※詳しくはこちらの記事を参照してください。
⇒【相続税その20】相続財産の評価(その6)~小規模宅地等は評価を減額できる~
https://ameblo.jp/kaketanijimusyo/entry-12281068780.html
(2)貸宅地や借地権付き建物の60%~70%の評価減
例えば、他人に土地を貸して借主がその土地に家屋を建てている場合、その土地を貸宅地いい、更地に比べて60%~70%の評価減になります。
※詳しくはこちらの記事を参照してください。
⇒【相続税その21】相続財産の評価(その7)~貸している土地などは評価を減額できる~
https://ameblo.jp/kaketanijimusyo/entry-12281666940.html
(3)賃貸家屋の30%の評価減
貸家・マンション・アパートなどの賃貸家屋は、自分で利用している場合より30%の評価減になります。
※詳しくはこちらの記事を参照してください。
⇒【相続税その22】相続財産の評価(その8)~マンションなど賃貸家屋は評価を減額できる~
https://ameblo.jp/kaketanijimusyo/entry-12282253634.html
3.相続財産として不動産を残すメリットとデメリット
上記1と2で述べたとおり、預貯金や株式などの金融資産に比べて、不動産には、取引価格よりも安く評価されたり、また、評価減の特例があるなど相続財産として残す場合にメリットがあります。
ただし、不動産の場合は、次の(1)~(3)のようなデメリットがあることに注意しなければなりません。
(1)相続財産が不動産しかない場合、複数の相続人で遺産分けをするのが難しい。
(2)相続人が相続税を支払う資金がない場合、相続した不動産を換金しようとしても、時間がかかる。
(3)相続人が相続税を支払う資金がない場合で、相続した不動産を換金することができないと、相続人が他の財産を換金しなければならない。
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◆行 政 書 士:掛谷章(かけたに あきら)
⇒京都大学法学部卒業
⇒大阪府庁に14年間の勤務経験あり(行政職・事務吏員として)。
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