遺言・相続専門行政書士の掛谷章です。

 

これからしばらくの間は、相続税について述べたいと思います。

 

今日からは、相続税額を計算するにあたって必要となる、相続財産の評価について述べたいと思います。今日は、宅地や畑の評価の仕方についてです。

 

(注)わかりやすさを優先するため、必ずしも法律の規定どおり厳密な記述になっているとは限りません。

 

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1.5種類の土地の評価方法

 

土地を評価する方法としては次の5つがあります。

 

(1)取引価格(実勢価格)

 

実際の売買価格としての実勢価格、つまり、実際に土地を売買する時の相場価格です。

 

一般的には実勢価格の方が下記の(4)で述べる路線価より高いことが多いですが、土地の値段が下がり続けている地域などでは逆転することもあります。

 

(2)地価公示価格(標準価格)

 

国土交通省が毎年公表する1月1日時点の土地の価格です。

 

もともとは公共事業用地の取得価格算定の規準となるものですが、それが転じて一般の土地の取引価格に対して指標を与えるものとなっています。


そのため、土地の適正な価格を判断する客観的な目安として活用されています。

 

(3)基準値標準価格

 

都道府県が毎年公表する土地(地価調査基準地)の価格です。


公表元は違いますが、目的や価格は上記(2)の地価公示価格とほぼ同じになっています。

 

(4)相続税評価額(路線価

 

国税庁が作成し、毎年7月ごろに発表する相続税を計算する際の価格です。

 

だいたい上記(2)の地価公示価格の80%くらいの価格になっています。

 

(5)固定資産税評価額

 

各市区町村(東京都23区内の場合は都税事務所)が固定資産税を算出する際に決定する価格で、だいたい上記(2)の地価公示価格の70%くらいの価格になっています。

 

 

2.路線価方式と倍率方式

 

土地には宅地のほか、田や畑、山林など、地目別に種類があります。また、市街地や郊外・農村部では、その評価額が異なるのは当然でしょう。

 

相続税計算のための土地の評価は上記1の(4)の相続税評価額(路線価)によって行われますが、具体的には国税庁の「財産評価基本通達」で細かく決められています。

●市街地にある宅地⇒路線価方式で相続税の評価額を計算

●市街地以外にある宅地・宅地以外の土地⇒倍率方式で相続税の評価額を計算

 

この2つの方式について説明してゆきますが、どちらで評価するかは、その土地の所在地や地目によって自動的に決まります。また、土地の地目は登記簿に記載された地目ではなく、課税時点の現況(土地の使用実態)によって判断します。

 

 

3.路線価方式による評価

 

路線価とは、路線(道路)に面している標準的な正方形の宅地の1㎡あたりの評価額のことです。

 

路線価を調べるには、国税庁や各税務署にある「路線価図」を閲覧するか、国税庁のホームページで閲覧します。

 

●国税庁ホームページの平成28年分財産評価基準

http://www.rosenka.nta.go.jp/

 

路線価図の例(国税庁ホームページより)

 

 

(1)表示数値×面積で算出

 

路線価の単位は1000円です。それぞれの道路に数字がついています。例えば、ある道路に「150」とあれば、1㎡あたり150×1000円=15万円を示します。道路にある矢印の間の土地はすべて同じ価格になります。したがって、その宅地の評価額は「15万円×宅地面積」となります。

 

路線価による宅地評価額の算出方法をまとめると

①路線価図上で調べたい住所の土地(宅地)がどこにあるかを探す

②その土地がどこの道路に面しているか確認する

③その道路に設定されている路線価に土地の広さ(㎡)をかける

となります。

 

なお、土地が2つ以上の道路に面していて路線価が2つある場合は、基本的には高い方の路線価を使います

 

(2)路線価の補正

 

しかし、実際の土地は間口の広さと奥行きがほぼ等しい正方形ばかりではありません。長方形や角地、いびつな形の土地も存在します。そこで、宅地の形状や道路との位置関係に応じて個々の宅地の評価を修正することにしています。

 

具体的には一定の補正率を用いて計算しますが、詳細は次回の記事で説明します

 

(3)記号とアルファベット

 

路線価の数字には○印や楕円、四角が囲んであったり、数字だけのものがあります。これは普通の住宅地なのか繁華街なのかなど、地区区分を示します。路線価の補正を行う際、地区区分ごとに補正率が決まっているため、路線価図に表示されているのです。

 

数字の横のABCなどのアルファベットは、その宅地の借地権割合を示すもので、借地権のある宅地を評価する際に利用します。

 

借地権とは、自己所有の建物を建てるために他人の土地を有償で借りる権利のことです。相続する土地が借地の場合は、路線価価格に借地権割合をかけた数字を評価額として計算します。借地権の付いている土地は、付いていない土地より評価額が下がります

 

(4)いつの時点の路線価で計算するか

 

路線価は毎年7月頃に発表されます。

 

相続税申告をする際は、故人(被相続人)が死去した年度の路線価を使います。

 

例えば、平成28年12月1日に死去した場合、既に平成28年分の路線価が発表されているのでそれをそのまま使えます。

 

しかし、平成29年3月1日に死去した場合、平成29年分の路線価を使わなくてはいけません。死去した時点では、まだ平成29年分の路線価は発表されていませんので、7月まで相続税申告は待つ必要があります。

 

 

4.倍率方式による評価

 

倍率方式とは、固定資産税評価額に国税庁が決めた数値(倍率)を掛けて土地を評価するやり方です。宅地以外の地目の土地や、路線価が付けられていない地域の土地の評価に用います。倍率方式で使用する「倍率表」も路線価図と同様に国税庁、各税務署や国税庁のホームページで閲覧できます。

 

●国税庁ホームページの平成28年分財産評価基準

http://www.rosenka.nta.go.jp/

 

倍率表の例

 

 

一般的には、同じ市内の土地でも、市街化区域は路線価方式、市街化調整区域は倍率方式が適用されています


(1)固定資産税評価額

 

前述のように、倍率方式では固定資産税評価額に倍率表の倍率を掛けて求めます。固定資産税評価額は、市区町村役場の固定資産税担当課で調べます税務署ではないので注意が必要です。

 

倍率表に表示された倍率は、多くの場合1.0、1.1、1.2などで、結果的には固定資産税評価額とあまりかけ離れた評価額にならないのが実情です。

 

(2)宅地以外の土地の評価

 

倍率表には宅地以外の田、畑、山林など地目別に倍率表が表示されていますので、該当地目はこれによって評価します。借地権割合も表示されていますから、借地権のある宅地はこれを利用します。

 

(3)いつの時点の固定資産税評価額で計算するか

 

固定資産税評価額は毎年4月頃に発表されます。

 

相続税申告をする際は、故人(被相続人)が死去した年度の評価額を使います。

 

例えば、平成28年10月1日に死去した場合、既に平成28年分の評価額が発表されているのでそれをそのまま使えます。

 

しかし、平成29年2月1日に死去した場合、平成29年分の評価額を使わなくてはいけません。死去した時点では、まだ平成29年分の評価額は発表されていませんので、4月まで相続税申告は待つ必要があります。

 

 

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⇒京都大学法学部卒業

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