自分の予定通りに動かないカカオに
イライラしていたにちがいない矢沢氏が
それでも来てくれた
おまえ
いるとか いらないとか
そういうことじゃないだろう
私には
そういうことなんです
後ろ(後部座席)に行ってもいいですか
だめです
はや 車出せよ
この状況で
ホテル行く気?
出すの?
こっちは汗だくなの
今日どんだけ暑かったか知ってるか?
やっぱりただ話をするだけでは
だめなんだ
知ってますよ
…じゃぁ、運転代わってください
言って、
後ろの席に移動する
矢沢氏も何も言わずに
運転席に移動
私はそのまま
後部座席に突っ伏してた
いつも自分が運転するときは
すぐ着くように思うのに
涙をこらえてシートにむかっている時間は
すごく長く感じられて
なかなか到着しなかったけれど
それでも、車はホテルの駐車場に停まって
矢沢氏はさっさと車を出る
のろのろと荷物を持って車を降りると
矢沢氏は、車庫の出口で待っててくれて
カカオが車を降りたて近づくと
またサッサと先に行ってしまう
ちょっと寂しい気持ちで
また、のたのたと後を追うと
部屋の扉に足をかけて
待っててくれた
ホテルの仕組み上
仕方なしなのかもしれないけど
矢沢氏が待っててくれるってことが嬉しかった
部屋に入ると
カカオを気にするそぶりもなく
いつものように服を脱ぎ出す矢沢氏