介護環境快適化講座 -6ページ目

介護施設づくりの基礎知識 その20「建具の機能」

 
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。


介護施設の建物に設けられる扉といえば「引き戸」が圧倒的に多いですね。


それも、床にレールがなく軽い力で開閉できる吊り戸が多いと思います。


このタイプの引き戸にはいくつかタイプがあります。


・開ける時も閉める時も手動の「手動式」


・開ける時は手動、その後自動で閉まる「半自動式」


・開閉ともに自動の「自動式」


ボタンで開閉するタイプは、公共施設のだれでもトイレなどに採用されていますが、介護施設では多くはないと思います。


一番よく見かけるのが半自動式。


扉を開けたら、その後自動で閉まってくれるので便利、と思われがちですが思わぬ落とし穴があります。


それは、勝手に閉まってしまうこと。


例えば車いすを使用している方が扉を開き、その後部屋の中に入ろうとすると…


まだ部屋の中に車いすが入りきっていないのに、扉が閉まってきてしまい扉が車いすにぶつかる、ということになります。


扉を全部開くと、そこで固定されるタイプもありますが、毎回大きな扉を全部開けなくてはならずこれも意外と不便です。


この問題を解決する方法は2つ。


・手動式する


これが一番シンプルですね。


必要な分だけ開き、部屋の中に入ったら自分で閉める。


閉めるという動作が必要ですが、危険はありません。


複雑な機構が必要ないので、扉をシンプルにすることができ、一般家庭のような雰囲気にしやすいです。


20160822_建具

普通の引き戸にした例。一般家庭の感覚に近い空間になります。


・途中で止まる機能のある半自動式にする


最近では、開く時は手動で開いた位置でストップ、閉める際は軽く取っ手に触れると自動で閉まってくれる扉も発売されています。


「フリーストッパー付」というタイプですね。


閉める動作に不自由を感じる方にとっては、とても便利で使いやすいタイプであると思います。


デメリットとしては、普通の引き戸よりはどうしても機構が複雑になり一般住宅のような雰囲気ではなくなること、またそもそも扉が勝手に閉まるという不自然さがあることなどが挙げられます。


将来、このタイプが普及してくればコストが下がり、使う側も慣れて一般的に使われるようになるかもしれないなと感じます。


介護施設の新築・改修の際には引き戸の機能についてもぜひ設計者や施工者に確認しチェックしてください。


介護が必要な方でも過ごしやすい環境が少しでも増えることを願っています。



実際に計画を進める際や設計上でのご質問などあればメール等でお問合せください。


介護施設の設計は「ケアスタディ株式会社」へ。
>ケアスタディ株式会社


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介護施設づくりの基礎知識 その19「建具の配置」

 
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。


介護施設の設計の際に、扉を引き戸にするのは常識になっていると思います。


それはなぜか?


そう、車椅子での利用に配慮するためですよね。
(杖歩行の方も使い易いと思いますね)


開き戸ですと、扉の取っ手に手をかけたまま前に進んで扉を開けるので車椅子ではとても難しい動作になります。


引き戸にすれば、取っ手に手がとどけば、車いすの位置をほぼ動かすことなく扉を開けることができます。


このとき忘れてはいけないことは「取っ手に手がとどく」ことが条件であるということです。


取っ手に手が届かない時ってどんな場合でしょうか。


車いすを使う方でも上半身がある程度自由に動く方ですと手が届かないことはほとんどないでしょう。


扉に対して正面からアプローチして、体を前に乗り出して(前傾して)扉を操作することができるからです。


でもそれが難しい方も多いはずです。


その場合、車いすを扉に対して横付けして、そして扉を操作することになります。


この「横付け」ができないと扉の開閉が難しくなるのです。


「横付け」ができない場合ってどんな場合でしょうか。


それは扉の取っ手付近に障害物がある場合です。


でも扉の近くに障害物なんて置かないけど…
と思われるかもしれません。


でもあるんですよ。
結構な頻度で障害物が…。


それは何かとというと「壁」です。


言葉で説明しても難しいので、このイラストを見てください。


20160812_袖壁なし
(鹿島建設さんのサイトから引用させていただきました)


ご理解いただけましたでしょうか。


このような設計になっている場合って、結構あります。
でも気がつかずにそのまま施工されてしまうことが多いのです。


これを解決する方法は、扉の横に小さな壁を設けること。


目安は30cmですね。
取っ手の横に30cmの壁があれば大抵手は届きます。


これ、ぜひ注意してくださいね。


介護施設の新築・改修の際にはぜひチャックしていただき、問題があればすぐに変更を設計者や施工者に指示してください。


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介護施設づくりの基礎知識 その18「加湿器」

 
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。


介護施設で冬場に気を使うことといえば、感染症への対策なのではないかと思います。


感染症を施設内に持ち込まないことは一番大切ですが、完全に防ぐのは難しいかもしれません。


とすると、次の対策としては菌やウイルスが繁殖しないようにする対策が必要になると思います。


そのために必要なのは…そう、湿度の管理ですね。


湿度を適度に保つと菌やウイルスの繁殖が抑えられることはよく知られていると思います。


その証拠に、冬場はどこの施設に訪問しても加湿器で必死に湿度アップ対策をされています。


でも、家庭用加湿器をたくさん置くと、頻繁に水の補給が必要。


そして一生懸命頑張ったのに「どうしても湿度が30%以上にならないんですよ〜」という意見をよくお聞きします。


水の補給を楽にし、さらに湿度アップを図りたい。


それを解決する方法は、業務用加湿器の設置しかありません。


業務用加湿器は、水道からの給水が可能ですので、タンクに水を補給する手間は不要です。


また、加湿能力は家庭用加湿器の10倍くらいあります。過去の例では、湿度50%も楽々クリアできました。


20160722_加湿器
パワフルな加湿器


当然設置には費用がかかります。既存施設であれば配管等の工事も必要になりますね。


でも、利用者の健康が守れ、職員の負担が減り、さらに入院が少なくなって従来は入院が多い時期でもしっかり介護報酬が入ります。


おそらく割りに合う投資になるだろうと思います。


介護施設の計画時には、設計者に業務用加湿器の設置を忘れずに依頼してくださいね。


また、改修工事を行う際には加湿器の設置もぜひ検討してみてください。


あなたの介護施設が、空気環境の整った快適な建物になることをお祈りしております。


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