介護施設づくりの基礎知識 その19「建具の配置」 | 介護環境快適化講座

介護施設づくりの基礎知識 その19「建具の配置」

 
介護環境デザイナーの間瀬樹省です。


介護施設の設計の際に、扉を引き戸にするのは常識になっていると思います。


それはなぜか?


そう、車椅子での利用に配慮するためですよね。
(杖歩行の方も使い易いと思いますね)


開き戸ですと、扉の取っ手に手をかけたまま前に進んで扉を開けるので車椅子ではとても難しい動作になります。


引き戸にすれば、取っ手に手がとどけば、車いすの位置をほぼ動かすことなく扉を開けることができます。


このとき忘れてはいけないことは「取っ手に手がとどく」ことが条件であるということです。


取っ手に手が届かない時ってどんな場合でしょうか。


車いすを使う方でも上半身がある程度自由に動く方ですと手が届かないことはほとんどないでしょう。


扉に対して正面からアプローチして、体を前に乗り出して(前傾して)扉を操作することができるからです。


でもそれが難しい方も多いはずです。


その場合、車いすを扉に対して横付けして、そして扉を操作することになります。


この「横付け」ができないと扉の開閉が難しくなるのです。


「横付け」ができない場合ってどんな場合でしょうか。


それは扉の取っ手付近に障害物がある場合です。


でも扉の近くに障害物なんて置かないけど…
と思われるかもしれません。


でもあるんですよ。
結構な頻度で障害物が…。


それは何かとというと「壁」です。


言葉で説明しても難しいので、このイラストを見てください。


20160812_袖壁なし
(鹿島建設さんのサイトから引用させていただきました)


ご理解いただけましたでしょうか。


このような設計になっている場合って、結構あります。
でも気がつかずにそのまま施工されてしまうことが多いのです。


これを解決する方法は、扉の横に小さな壁を設けること。


目安は30cmですね。
取っ手の横に30cmの壁があれば大抵手は届きます。


これ、ぜひ注意してくださいね。


介護施設の新築・改修の際にはぜひチャックしていただき、問題があればすぐに変更を設計者や施工者に指示してください。


実際に計画を進める際や設計上でのご質問などあればメール等でお問合せください。


介護施設の設計は「ケアスタディ株式会社」へ。
>ケアスタディ株式会社


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