([BHPV] p.309 を参照)
(浪川幸彦「K3曲面の周期の逆問題とケーラー性」(1980)も参照)
L をthe K3 lattice (K3格子) とする.
X をK3曲面,
φ : H^2(X, Z) → L
を,ひとつの isometry (格子としての同型) とするとき,
対 (X, φ)
を marked K3 surface という.
marked K3 surface (X, φ) に対し,
nowhere vanishing holomorphic 2-form ω_X のφ_C image で張られるL_C の中の complex line
φ_C ([ω_X])
が決まる.これを,marked K3 surface (X, φ) の period point (周期点) という.
このperiod pointは,K3曲面の周期領域 Ω に属する.
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古典的な定式化との関係:
ある固定された(代数的とは限らない)K3曲面 X の変形族
d = (V, S, s_0, p, j)
のthe base S がcontractible の場合に,
周期写像 τ_d : S → P(X, C)
を,
τ_d(s) = j^* ( (i_s)^*^{-1} (H^{2,0}(V(s))))
と定めた (→この記事 参照).
このK3曲面 X は固定されているので,このP(X, C) は P(L_C) を同一視できる.
すると,各fiber (K3曲面) V(s) (s ∈S) のmarking としては,
j^* o (i_s)^*^{-1}
を考えていることになる.
ここで,
j : X → V は holomorphic embedding with j(X) = V(s_0),
i_s は,V(s)からVへの包含写像であった.
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重要な追記:
O(L)をLの自己isometry (automorphism) 全体の群とするとき,
X のmarkingφ は,O(L)の元をφに合成することにより,変わることになる.
したがって,O(L) は,周期領域 Ω に作用する.このとき,一般には,period point は移動する.
しかし,X上に,複素解析的同型写像(自己同型) r : X → X があるとする(例えば,PGLの元など.つまり,Xが「対称性」を持っている)ならば,
r^* : H^2(X, Z) → H^2(X, Z)
を考え,それをC上に拡張したものも同じ記号で書くとすると,
ω_X と r^*(ω_X) はともにX上の正則2形式だから複素数倍を除いて一意的なので,P(H^2(X, C))の中の同じ複素直線を定めることになる.
Lの自己同型φ o r^* oφ^{-1} でmarkingを替えると,
marked K3曲面 (X, φ)は,別のmarked K3曲面 (X, φo r^*)に替わる.
ところが,それぞれの周期点は,φ(ω_X),φo r^*(ω_X) なので,同じになってしまう!!
これらは,もっと精密な周期 (the Burns-Rapoport period) を考えることにより識別される.