開演直前! ミュージカル「この世界の片隅に」 | こうのの日々

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漫画家こうの史代です。
夫とキエリボウシインコのTさんと、福知山市で暮らしています。

こんにちは! こうの史代です。

さて!
連休直前の先月下旬、わたしはこちらにやって来ました。
モッコウバラの生け垣の奥にそびえ建つ

明治座森下スタジオです!

そう。

この日はまず、音楽担当のアンジェラ・アキさんとの対談です。
アンジェラさんは、この10年でミュージカル音楽を一から学び、これが復帰第1作なのだそうです。
この人こそまさに「求道者」だ! と思いましたが、そんな厳しさを全く感じさせない、明るく楽しい方でした。
アンジェラさんのお話もお声もなんだか天から光がキラキラ降りてきているようで、そばにいるわたしにもそれがちょっと降りかかっているような気分になりましたよ。
この対談は、朝日新聞に掲載される予定です。
5月10日の「あさイチ」に出演されるそうで、この日の様子もちょっと放映されるようです。

その後、すず役(ダブルキャスト)の昆夏美こんなつみさんと大原櫻子おおはらさくらこさんを交えて、4人での座談会です。
最初おふたりはなんだか緊張されていたようで、ちょっと恐縮しましたが…。
昆さんは機転のきく方で、難しい質問にも糸口をうまく見つけて話して下さいました。
大原さんは思慮深い方で、訥々と言葉を選んで話して下さいました。
しかし、ごめんなさい!
残念ながらその内容をほとんど覚えていないのです!
というのもこれまたキラキラ過ぎて…!
お揃いの稽古用の地味なアッパッパにモンペだというのに、どちらを向いてもなぜだか眩しくて…う、宇宙人かな!? という感じでしたよ!
これはたんに「美人」とかそういう見た目の問題ではなく、やはり、自分の道に打ち込んでいる最中だからなのだろうな、と思いました。
この様子は、公式サイトでご覧いただけると思います。

その後は、昆夏美さんによる通し稽古を見学しました。
左隣はアンジェラさん、右隣はなんと映画版でサン役を演じてくださった新谷真弓さんでした。この舞台では方言指導をしてくださっています。
新谷さんとはロフトプラスワンでの映画の座談会以来、数年振りですが、その時も妙に安らぎを与えてくれる人でした。馴染みの顔にほっとしました。

衣装はあったりなかったり、音楽はまだピアノだけでしたが、間近で熱演を眺めさせて頂きました。
…。
冒頭の歌だけでもう感涙…。

昆さんのすずは素朴で朗らかで、でも芯は強そうです。
歌ったり踊ったりしてはいるんですが。
そして他と比べたりするのはどうかと思うのですが。
ここだけの話ね。
このすずが、元々わたしの頭の中にあったすずに今までで最も近かった!
いやいやまあ、最も近いのがいちばんイイとは限らないからね!
これは、ちゃんと完成した舞台もぜひ観なくては…!
しかし座談会の途中は、何となく大原さんの方がすずに近いように感じていたので、そちらもぜひとも観なくては!!

インタビューしてくださったライターさんによると、ミュージカルファンは、ダブルキャストの場合どちらも観ないと気が済まないのだそうです。
しかもこの舞台は周作もリンもダブルキャストで、その組み合わせも変わるというのだから、なるほどこれは…恐ろしい沼ですわい…!


スタジオを出ると、もう夕方でした。
森下といえば、近くにこれがあったな、と思い出して、寄ってみました。
江東区森下文化センターです。
ありがたい事に、21時まで開館しています。
で、山根青鬼さんの巨大原画にまた見惚れて。
前回見そびれた「田河水泡のらくろ館」を見学しました。
のらくろが小さく描きこまれた風景画の絵葉書を買いました。

舞台には、見えないところにも多くの人が関わっていました。
漫画は、独りで描いているようで、縦の時間軸にはやっぱり多くの人が関わっていて、今回の通し稽古は、わたしにも、今はもう会えなかったり、あるいは会うことのないままだった仲間達が居たんだっけ、という事を思って、そんな人達と一緒に観ているような気持ちになったのでした。
大好きな山根青鬼さんや憧れの滝田ゆうさんの師匠であるこの田河水泡さんも、遠くに連なるそのひとりなんだ、と思いました。

あなたもきっと、これまでの人生で関わった人々と一緒に観ている気分になれることと思います。

あ、そうそう。
ミュージカル用にこんな絵を描き下ろしました。
クリアファイルやマグカップ、キャラメル等、色々作ってもらっています。
劇場にいらっしゃる時、よろしかったらご覧になってくださいね。

ではまたね!
※ミュージカルについてはこちらもどうぞ。
※森下文化センターについてはこちら。