巨大寛永通宝 | こうのの日々

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漫画家こうの史代です。
夫とキエリボウシインコのTさんと、福知山市で暮らしています。

こんにちは! こうの史代です。

〈前回までのあらすじ〉
年末年始は愛媛県と香川県に行きました。

思うのですが。
烏天狗は飛べるし姿もかっこいいんだから、天狗のお手伝いさんばっかりしてないでソロ活動も増やせばいいのにな。

高橋由一は、文学界の夏目漱石、漫画界の手塚治虫くらい崇拝されるべき。金刀比羅宮の御祭神に加えて、絵描きはすべからくここに参拝すべし。

おい待てこれはあらすじではない。感想ではないか。

 

気を取り直して。

高橋由一館を出て、金刀比羅宮の石段を降ります。

降りるにつれ、石段を登ってこれからお参りする人が増えてきました。

元日はものすごい人出なんだろうな…と思いました。

大みそかに来られてよかったです。

しかし腹ぺこです。

香川県に来たのだから、うどんが食べたいな、と思いましたが、石段を降りながら、人をよけながら、うどん屋さんどころか入れそうなお店を探すのは意外に難しいものです。

ようやくお団子を焼いているお店を見つけて、甘辛いみそを塗った大きな串団子を買いました。

石段のわきに椅子が置いてあったので腰かけて、参拝者を眺めながら食べました。

五臓六腑に染み渡る美味しさでした…。

元気を取り戻して、駅から列車に乗りました。

また多度津駅で乗り換えて、西へと戻ります。

しかし。

今度は40分ほどで降りますよ。


はい。

観音寺かんおんじに着きました。

ここから20分ほど歩きます。

海が近づくにつれ冷たい風が強まります。

そしてまた小高い丘に登ります。



実はこの旅は、これが最大の目的でした。

一度はこの目で見てみたいものだと、たぶん30年間くらいずっと思い続けてきたのです。



どうよ!

砂の巨大な寛永通宝です!

 あなたもこんなブログをご覧になっているくらいだから、わたしと同じように、地上はどうなっているのかが知りたいことでしょうな。


強い海風のせいか、低くくねった松です。
その松林の中に、この通り。

でーんと寝そべっておりますわ!

あ、銭形平次さん以外は立ち入り禁止ですからね。


ちなみにこの寛永通宝、見ると一生おカネに困らないしシアワセになれるらしいです。

ほれ、あなたもしっかりご覧なさいよ!


アイヌには「見た宝」という言葉があるそうです。

珍しいものを目撃して、それを心にしまっておくことは宝のひとつだというのです。

まあ、心にしまわずこうして写真撮ったりあなたに見せたりしている時点で厳密には「見た宝」でないのかも知れないけれど、こういう楽しい風景はやっぱり心の「宝」だと思うのです。


日も傾き、寒くなってきたので駅に戻りました。
うどん屋さんを探しましたが、年末のせいか開いているお店が一軒もありませんでした。
セブンイレブンで肉まんを買って、駅で食べました。

そしてまた列車で壬生川駅に戻って、タクシーで港に向かい、朝降りた「おれんじえひめ号」に乗りました。


船内のレストランで、ようやくきつねうどんにありつけましたがここもう愛媛県だしこれ「おれんじえひめ号」なんだよな!

しかも、レストランで
「きつね…うどんですか?」
と聞かれて、年越しそばも食べそびれたことに気づきました。

そして、愛媛県ともお別れです。
ひときわ明るいのは新居浜のあたりでしょうか。
大きなテレビも部屋にありましたが、県境のせいか地上波はきれいに映らず、BSの吉田類さんをぼんやり見ました。

くたくただったので年があらたまる頃にはすっかり眠りこけてしまいました。

「ゆく年くる年」を1秒も見なかったのは赤ちゃん時代以来かも知れません。


6時に大阪南港に到着。

展望デッキから見た、大阪の夜明けです。
ニュートラムの車窓から見た、2023年の初日の出です。

船に乗ったせいか、翌朝の初夢も船の夢でした。
なぜかわたしは故人と乗り物に乗る夢をよく見ます。
旅行させてあげたかったな、という後悔の念かも知れません。

ではまたね。

去年の初夢はこちら。