こんにちは! こうの史代です。
早いもので、もうすぐ7月20日か…。
7月20日といえば、そう!
「ぴっぴら帳ノート」新装版上下巻(こうの史代著 コアミックス刊)の発売日じゃあないですか!!
「ぴっぴら帳」は、セキセイインコのぴっぴらさんと食堂で働くキミ子の生活が、ただ淡々と続く4コマ漫画です。
わたしにとって初めての4コマ連載、初めての単行本、そして7年間という人生最長の連載でした。
わたしはショートストーリー作家で行く気満々だったので、4コマにはあまり思い入れがなく、そのおかげでうまいぐあいに肩の力が抜けて、長く続けられたのだと思います。
上巻はほぼ1色刷り(1話のみ4色刷り)、下巻はほぼ赤黒2色刷り(1話のみ1色刷り)です。
今は、2色刷りのある漫画雑誌はめっきり減りました。
カラーの仕事はあまり得意でないのですが、2色はあまり迷わなくていいので楽しかったのを覚えています。
なにぶん20年前の作品なので、特に鳥の飼い方について、今の価値観とは合わない記述も多いかと思います。
今はあの頃よりずっと、飼い鳥を大切にできる世の中になったし、漫画的な誇張表現に厳しい世の中になりました。
というわけで。
この漫画は当然ながらフィクションだからね!
よい子の皆さんはビールが入ったコップにインコが突っ込むような状況を作ってはいけませんよ!!
そういえば。
先月東京に行った時、乗り換えで中野駅で降りました。
せっかくなので、ちょっと駅の外に出てみました。
東京で暮らした26年間、中野はずっとわたしのホームグラウンドでした(とはいっても中央線沿線は家賃が高かったので、つねに2㎞は離れていましたが)。
駅の南に10年住んで、その後は北に16年住みました。
ガード下から南側を見た時、
「あ…すずしろが待っとるけえ早う帰らんと」と、ふと思いました。
すずしろは、ぴっぴらさんのモデルになったセキセイインコです。
以前ここでそう思っていたことを思い出した、ということなんだろうけど、起こったことを思い出すよりも、思ったことを思い出すのは、心の中の境目がなくて、急に思念が降って来たかのような不思議な感覚になるものですね。
あの頃も今も、わたしの生活の真ん中にはインコが居ます。
インコはインコでも、体重も破壊力もセキセイインコの20倍近くになりましたが…。
Tさんがかじっているのは、ベランダで育てているトウモロコシの茎です。
今日は長くお昼寝していたので、じっくり描くことが出来ました。
ではまたね。