監督:瀬々敬久
キャスト:佐藤健/阿部寛/清原果耶
配給:松竹
公開:2021年10月
時間:134分
今夜紹介するのは,中山七里のベストセラー小説を『64-ロクヨン-』『糸』の瀬々敬久監督が映画化したヒューマン・ミステリー。監督が『糸』でタッグを組んだ林民夫と共同脚本で,深く,重い社会問題を見やすく仕上げた作品だ。
東日本大震災でアパートも働き先の水産加工工場も失い,避難所となった小学校に身を寄せる利根泰久(佐藤健)は,そこで親を失った“カンちゃん”という少女(石井心咲)と老女・遠島けい(倍賞美津子)と知り合い,次第に打ち解けていく。宮城県警捜査第一課の刑事・笘篠誠一郎(阿部寛)も,行方不明になった妻・紀子(奥貫薫)と11歳になる息子の行方を探して避難所にいた。やがて妻は遺体で発見されるが,息子は行方不明のまま。息子と同じような黄色のパーカーを着ている“カンちゃん”と出会う笘篠。
それから10年後の仙台で,全身を縛られたまま放置され餓死させられるという不可解な殺人事件が2件続けて発生する。その残忍な殺し方から怨恨の線が有力視されたが,被害者はいずれも人格者として知られ,誰かから恨みを買うようには思えなかった。若手刑事の蓮田(林遣都)と共に事件を追う笘篠は,被害者がかつて同じ福祉保健事務所に勤務していた事実を突き止める。やがて,放火事件で服役し,出所したばかりの利根が捜査線上に浮上してくるのだったが…。
連続殺人事件の捜査の行方を通して,事件の背後に浮かび上がる社会福祉行政の矛盾をミステリアスに描き出した秀作。できれば原作を読まずに見ることをお薦めする。やっぱ林民夫,上手いなと脱帽。主題歌の桑田佳祐『月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)』も心を揺さぶる。
共演は他に,清原果耶,永山瑛太,緒形直人,吉岡秀隆 など主役級が揃う。そんな中で,清原果耶の第45回日本アカデミー賞・最優秀助演女優賞の受賞が話題となった。
クタ評:★★★★★
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