64-ロクヨン- 前編/後編 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:瀬々敬久
キャスト:佐藤浩市/綾野剛/榮倉奈々
配給:東宝
公開:2016年5月(前編)/2016年6月(後編)
時間:121分(前編)/119分(後編)




天皇の退位により,平成が30年で終わり,2019年1月1日から新たな元号となる方向で調整中だという。元号が変わるのを人生で2度経験できるのは,この時代のこの国に生まれてきた幸運だが,「3つの時代を生き抜いてきた」って言葉にしてみると,自分がとても年老いたように感じてしまう。

今夜紹介するのは昭和64年(=平成元年)とその14年後を繋ぐ物語。人気作家・横山秀夫の原作を,『感染列島』『ヘヴンズ ストーリー』(2010年・ムヴィオラ)の瀬々敬久監督が,前後編4時間の大作に仕上げた。

わずか7日間でその幕を閉じた昭和64年。その間に管内で発生した少女誘拐殺人事件。いまも未解決のその事件を県警内部では“ロクヨン”と呼んでいた。刑事部で長く活躍しロクヨンの捜査にも関わったベテラン刑事の三上義信(佐藤浩市)。私生活では高校生の娘が家出失踪中という大きな問題に直面している彼だったが,この春から警務部の広報室に異動となり,戸惑いつつも諏訪(綾野剛)や美雲(榮倉奈々)らと共に広報室の改革に意欲を見せていた。

折しもロクヨンの時効まで1年と迫る頃,県警では,警察庁長官の視察が計画される。そこで,長官と被害者の父親・雨宮芳男(永瀬正敏)との面会を調整するよう命じられた三上だったが,なかなか雨宮の了承を得られず困惑する。さらに,ある交通事故での匿名発表が秋川(瑛太)ら記者クラブの猛烈な反発を招き,長官の視察が実現できるかも不透明な状況に陥ってしまう。自らもなかなか捜査情報を得られず,県警と記者クラブの板挟みで窮地に立たされた上,刑事部と警務部,あるいは本庁と県警それぞれの思惑が複雑に絡み合った対立の渦にも巻き込まれていく三上は,それでも懸命に事態の収拾に奔走するのだった。

そんな平成14年12月。管内で新たな誘拐事件が発生する。しかも犯人は“ロクヨン”と同じように身代金2000万円をスーツケースに入れ,父親の目崎正人(緒形直人)が一人で運転する車で運ぶよう要求してくる。事件の性質上,広報室の三上は記者クラブと報道協定を結ぶ必要に迫られるが,肝心の捜査情報はほとんど提供されず,記者たちは一斉に反発し,各社が独自に動き出しかねない危険な状況に。一向に情報が出てこないことに自らも業を煮やした三上は,ロクヨン捜査にも関わった刑事部時代の上司・松岡(三浦友和)が指揮を執る捜査車両に単身乗り込んでいくのだったが…。

原作とは異なるエンディングへと導く物語はもちろん,この作品を生き生きとさせるのは,日本映画界を代表する豪華キャストの競演。紹介文中で挙げた他にも,吉岡秀隆,筒井道隆,椎名桔平,滝藤賢一,仲村トオル,奥田瑛二,柄本佑,小澤征悦など「よく揃えた」と感心するほど個性的で演技派の面々が,登場人物を原作以上に膨らませ,魅せる。特に核となる佐藤浩市,永瀬正敏の気迫の演技は,もうそれだけでもこの作品を見る価値のあるものにする。まさに“役者のチカラ”が見事に集結した作品と言っていいのではないだろうか。

予想したほど重くないし,前後編を一気に見ても飽きさせないスピードと臨場感が溢れる1本。派手な作品が好みなので星は4つにしてあるが,お薦め。ちなみに佐藤浩市はこの作品で日本アカデミー賞・最優秀主演男優賞を獲得している。


映画クタ評:★★★★


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『64-ロクヨン-』
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