糸 | p・rhyth・m~映画を語る~

p・rhyth・m~映画を語る~

メインブログ【くた★むび】



監督:瀬々敬久
キャスト:菅田将暉/小松菜奈/山本美月
配給:東宝
公開:2020年8月
時間:130分




中島みゆきの『ファイト!』を初めて聴いたのは,まだ思春期な頃。人生の酸いも甘いも知らないのに,歌詞の紡ぐドラマに涙が止まらなくなった。それから数十年。なぜか物事の節目で度々耳にする『ファイト!』。齢重ねるごとに,その歌詞の深みと,声とメロディが沁みるようになり,涙腺を持っていかれる1曲だ。

デビューから40年以上に渡り,日本人の琴線に共鳴する数多の名曲を生み出してきた中島みゆきが,知人の結婚式を祝して作り1998年に発表された『糸』をモチーフに描かれた作品を今夜は紹介。監督は『感染列島』『64-ロクヨン-』の瀬々敬久,脚本は『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』『空飛ぶタイヤ』の林民夫,音楽は東京事変の亀田誠治という強力布陣。

平成元年に生まれ,北海道で育った高橋漣(少年期:南出凌嘉)と園田葵(少女期:植原星空)は,13歳の時に北海道・美瑛の花火大会で出逢い,初めての恋をする。だがある日突然,葵は姿を消す。探し出し,札幌で会った葵は,母親の恋人に殴られた跡を隠すため眼帯をしていた。漣は葵の手を引き駆け落ちし,函館近くの無人のロッジでひと晩を過ごすが,翌朝にはあっけなく警察に発見され,2人は引き離されてしまう。

それから8年後,美瑛のチーズ工房で働く漣(菅田将暉)は,幼なじみの竹原直樹(成田凌)と弓(馬場ふみか)の結婚式に出席するために上京し,そこで葵(小松菜奈)と再会する。しかし,交際中のファンドマネージャー・水島(斎藤工)の高級車に乗り,去って行く葵。やがて職場の先輩の桐野香(榮倉奈々)との結婚を考えるようになる漣。すでに別々の人生を歩み始めていた2人の“糸”は,もう交わることはないと思われたのだったが…。

北海道,東京,沖縄,シンガポールを舞台に,平成元年生まれの男女が出逢い別れ,平成の終わりに再び巡り逢うまでの18年間が“生活者の視点から見た平成史の変遷”とともに描かれた作品。先の読める“ベタ”な展開であるにもかかわらず,2人の人生の岐路で2度ずつ登場する『ファイト!』と『糸』が,見る者の人生に共鳴し涙させる。そして,エンドロールと菅田将暉✕石崎ひゅーいの『糸』で昇華させる。こんなん見せられたら,思わず★5つ付けちゃう。

共演は他に,山本美月,高杉真宙,倍賞美津子,二階堂ふみ,松重豊 など。

香の台詞が,全編を包み,余韻となる。
「運命の糸って 私はあると思う
でもその糸は たまにほつれる
そして切れることもある
でも またそれは何かに繋がる
生きてれば必ず何かに繋がる
そういうふうにできてるんじゃないのかな
世の中って…」



映画クタ評:★★★★★



右矢印「クタ評」5つ星★作品まとめ

右矢印瀬々敬久作品まとめ

右矢印林民夫作品まとめ

右矢印松重豊作品まとめ

右矢印榮倉奈々作品まとめ

右矢印菅田将暉作品まとめ

右矢印斎藤工作品まとめ

右矢印成田凌作品まとめ

右矢印小松菜奈作品まとめ

右矢印山口紗弥加作品まとめ

右矢印二階堂ふみ作品まとめ

右矢印高杉真宙作品まとめ

右矢印永島敏行作品まとめ

右矢印山本美月作品まとめ