ムーンフォール | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Moonfall
監督:ローランド・エメリッヒ
キャスト:ハル・ベリー/パトリック・ウィルソン/ジョン・ブラッドリー
配給:ライオンズゲート/Amazon Prime Video
公開:2022年7月
時間:130分




月の誕生には様々な説があるが,現在最も有力だと考えられているのは「巨大衝突説」。今から約46億年前,地球誕生の最終段階にあった原始地球に火星程度の大きさの原始惑星が斜めから衝突。この勢いで原始惑星が溶け,地球の周りに円盤が形成し,この円盤が材料となって月が誕生したとするものだ。

ところで,月の自転周期と公転周期が同じ27.32日であるため,いつも月は同じ面を地球に向けているというのは知っている人も多いだろう。この見えない裏側は近代まで様々な想像と技術開発の基となってきたし,満ち欠けも満月も,特に日本人の風情には響くものがあった。百人一首には月を詠んだ歌が1割以上あるし,誰でも知る『竹取物語』から『セーラームーン』まで,月を素材とした作品を挙げればキリがない。

前置きが長くなったが,今夜紹介するのはそんな月をテーマにした『ムーンフォール』。『ミッドウェイ』以来となるR・エメリッヒ監督作品として期待されていたが,製作費1億5,000万ドル(約203億円)に対し,北米興収1,900万ドル(約26億円),世界興収4,400万ドル(約59億円)の大赤字。日本では劇場公開が取りやめになり,Amazon Primeでの配信公開となってしまった。

2011年。ジョー・ファウラー(ハル・ベリー),ブライアン・ハーパー(パトリック・ウィルソン),アラン・マーカス(フランク・フィオラ)の3人の宇宙飛行士はスペースシャトルで衛星の修理中に黒い無数の物体の群れに襲われる。かろうじてシャトルを操縦し地球に戻ったハーパーだったが,NASAはハーパーの話を信じず,人為的なミスによる事故として彼を解雇。ハーパーは妻とも離婚し,経済的に困窮した生活を送るようになる。

それから10年。月が突如軌道を変え地球に接近し始める。この異変に気づいた陰謀論者で月が巨大な建造物だと信じるK・C・ハウスマン(ジョン・ブラッドリー)だが,NASAは取り合ってくれない。子供向けの科学セミナーで接触したハーパーにそのことを告げるハウスマン。そこに,NASAの副長官になっていたファウラーから召喚される2人。NASAでも月軌道の異常に気づき,極秘に対策を進めていたのだ。やがて,地球と人類の存亡を賭け,月へと向かう彼らだったが…。

インデペンデンス・デイ』『2012』などでエメリッヒ監督の広げる大風呂敷と,その中で綴られる家族愛に魅せられてきた1人としては,久しぶりの“エメリッヒらしい”作品が嬉しい。“月が地球に落ちてくる”という斬新な発想も,グランドホテル形式で描かれる家族の物語も,ややファンタジー寄りだがクライマックスの“月の秘密”も,これまでのエメリッヒ作品に引けを取らないと思う。不振の原因を探るとしたら,ディザスター映画の飽和で,見る側の興味が薄れたのかも。

ただ,個人的には面白く楽しませてもらった。


映画クタ評:★★★★


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