グッドバイ/嘘からはじまる人生喜劇 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:成島出
キャスト:大泉洋/小池栄子/水川あさみ
配給:キノフィルムズ
公開:2020年2月
時間:106分




津軽の大地主の家に生まれ,第2次世界大戦前から戦後にかけて,15年間に長短編60作以上の作品を世に残した作家・太宰治。『走れメロス』『斜陽』『人間失格』など数々の代表作があり,日本でその名を知らない人はいないほどの文豪だ。現在でも映画やドラマ,アニメと様々な形で映像化されていて,その世界観は時代を超えて評価され続けている。

華やかな経歴と同時に,自殺未遂や薬物依存,女性問題など,スキャンダルまみれの私生活を送っていたことでも有名で,太宰治の創作活動には,そんな私生活がかなり色濃く反映されていた。私小説的な作品だからこそ,刺激を求める若者を中心に人気を集めたとも言える。

今夜は,38歳で入水自殺した太宰治の未完の遺作を基にして第23回読売演劇大賞最優秀作品賞に輝いたケラリーノ・サンドロヴィッチのヒット舞台を映画化したコメディ『グッドバイ/嘘からはじまる人生喜劇』を紹介。舞台に引き続き,ヒロインは小池栄子が演じた。監督は『八日目の蟬』『ソロモンの偽証』の成島出。

舞台は戦後の混乱から復興へ向かう昭和の日本。優柔不断なダメ男たが,なぜか女にめっぽうモテる文芸誌編集長の田島周二(大泉洋)。闇稼業でけっこう儲けていた彼は,花屋の青木保子(緒川たまき),挿絵画家の水原ケイ子(橋本愛),女医の大櫛加代(水川あさみ)など何人もの愛人を抱え,プレイボーイ生活を謳歌していた。ところがある時,娘からの手紙を読んで,青森に疎開中の妻・静江(木村多江)と娘のために生き方を改めようと,愛人たちと別れる決意をする。

しかし簡単に別れを切り出せるわけもなく,すっかり困り果てていた田島は,親友で作家の漆山連行(松重豊)に相談。絶世の美女を妻として伴い,愛人たちに別れを告げる作戦を授けられる。闇屋で見知った顔である永井キヌ子(小池栄子)が,実は誰もが振り返るほどの美人であることを知った田島は,キヌ子に事情を説明して妻のフリをしてほしいと懇願。金にがめついキヌ子はそれを引き受け,2人は偽夫婦を演じることになるのだったが…。

硬軟自在の演技派で,話術にも定評のある大泉洋と小池栄子,そして成島監督の緻密な演出が融合され,小気味よいテンポの上手くて美味い喜劇に仕上がっている。太宰治といえば『人間失格/太宰治と3人の女たち』然り,オリジナルからはっちゃけ気味な解釈の作品が続いているが,「喜劇だからこれでいいよね?」と納得させられる秀作だ。

共演は他に,濱田岳,皆川猿時,戸田恵子 など。演者の妙味が光る1本。


映画クタ評:★★★★


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