ソロモンの偽証　前篇・事件／後篇・裁判

監督：成島出
ｷｬｽﾄ：藤野涼子／板垣瑞生／佐々木蔵之介
配給：松竹
公開：2015年3月(前篇)／2015年4月(後篇)
時間：121分(前篇)／146分(後篇)

VODで前・後篇一気見して，平日の午後をお二人様で過ごす。傍らに大切な存在を感じながら，一緒に作品に入り込んじゃう贅沢な秋のひととき…。

人気作家・宮部みゆきのベストセラー巨編を，前・後篇の２部作で映画化したミステリー・サスペンス大作。ソロモン王といえば，神託を受けて人を裁くことを許された紀元前の古代イスラエル王。それを「偽証」で受けたタイトルについて，宮部みゆきは「最も知恵あるものが嘘をついている。最も権力を持つものが嘘をついている。この場合は学校組織とか，社会がと言ってもいいかもしれません。あるいは，最も正しいことをしようとするものが嘘をついている，ということでしょう」と答えている。原作は未読だが，この興味深いタイトルの意味を考えながら見ると，味わいを増すのかもしれない。

クリスマスの朝，雪の降り積もった城東第三中学校の校庭で，２年Ａ組の生徒・柏木卓也（望月歩）の死体が発見される。警察も学校も飛び降り自殺と判断するが，後日，学校関係者のもとに，柏木の死は自殺ではなく，大出俊次（清水尋也）をリーダーとするグループによる殺人だと訴える匿名の告発状が届く。やがてそれはマスコミにも伝わり，ワイドショーを連日賑わすことに。それでも学校側は穏便に事を収めようと後手を踏むばかりで，事態は悪化の一途を辿っていく。そんな中，事件の第一発見者で２年Ａ組のクラス委員を務める藤野涼子（藤野涼子）は，大人たちを排除し，中学生だけで真相究明の学校内裁判を開くことを提案する。やがてそれは様々な困難を乗り越え，ついに実現することに。こうして検事役には藤野涼子，一方の弁護人を他校の生徒・神原和彦（板垣瑞生）が務め，大出俊次を被告人とする学校内裁判が開廷する。白熱した審理が進む中，争点は次第に事件当夜の被告人のアリバイに絞られていくが…。

主演は，１万人からオーディションで選ばれ，作品中の役名でデビューすることになった新人，藤野涼子。校長・津崎の役を小日向文世，担任・森内を演じる黒木華をはじめ，永作博美，塚地武雅，松重豊，津川雅彦らが脇を固める。また涼子の父親で刑事の役に佐々木蔵之介。

佐々木蔵之介といえば『20世紀少年』３部作のフクベエや『超高速！参勤交代』主役の内藤政醇の以前に，ほんの数シーンだが『踊る大捜査線 THE MOVIE 2／レインボーブリッジを封鎖せよ!』でも警視庁の刑事役をしていることを知って確認してみた。目立つ台詞は１シーンだけど…確かにいた。

で『ソロモンの偽証』だが，〈前篇・事件〉はよくできていて，先の読めないドキトキ感も，後篇へと繋がる伏線も，バランスよく散りばめられている。較べてその回収となる〈後篇・裁判〉は，裁判という場面のせいか，ちょっと間延びした感があって，何度も繰り返すシーンも，効果的ってよりも飽きを覚えてしまう。多分，原作はもっと各キャラの内面を掘り下げてるんじゃないだろうか？って，前・後篇合わせて４時間半の尺があるんなら，そこまで描いてほしかったなって思ってしまった。多分，頑張ったら２時間半の１本にできる感じだし，そしたら５つ星★出してたかも…。