キングダム

英題：KINGDOM
監督：佐藤信介
ｷｬｽﾄ：山﨑賢人／吉沢亮／長澤まさみ
配給：東宝／ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
公開：2019年4月
時間：134分

歴史に疎い人でも“始皇帝”の名は知っているのではないだろうか。紀元前221年に史上初の中国統一を成し遂げた秦の王で，歴史上最初の皇帝として，49歳で死去するまで君臨した人物だ。日本ではまだ“国”の形成もされていない時期に，ヨーロッパの共和政ローマとともに“国”や“政治”を確立させたこの２国は，その後の世界の歴史に多大な影響を与えていくこととなる。

その始皇帝のまだ若い頃，古代中国の春秋戦国時代末期を舞台に，後の始皇帝となる秦王・嬴政(えいせい)と，秦の武人である主人公・信の活躍を中心に描かれる中国時代劇『キングダム』を今夜は紹介。原作は原泰久の大ヒット漫画。コミックス第50巻達成を記念して実写化された。監督は，このコーナーでは何度も登場している『図書館戦争』シリーズや『BLEACH／死神代行篇』の佐藤信介。

紀元前245年，500年の争乱が続く春秋戦国時代の中国最西の大国・秦。戦災孤児の少年・信（山﨑賢人）と親友の漂（吉沢亮）は，天下の大将軍になることを夢見て剣術の鍛練に励んでいた。そんなある日，王都の大臣・昌文君（髙嶋政宏）によって漂だけが王宮に召し上げられ，２人は別々の道を歩み始めるのだった。しかしある夜，致命傷を負った漂が信の前に現れ，信に地図を託して息絶える。泣き叫びながらも，漂が手にしていた剣と地図を握りしめ，走り出す信。

走り通して地図の示す小屋に辿り着くと，そこには漂と瓜二つの男が静かに佇んでいた。だがその男は，クーデターを起こした弟・成蟜（本郷奏多）により玉座を追われた秦の若き王・嬴政（吉沢亮：二役）だった。漂が嬴政の身代わりで命を落としたとを知り，一度は激高した信だったが，嬴政の中華統一に懸ける信念と漂から託された遺志を受け，嬴政と行動を共にすることを決意する。こうして，途中で知り合った山の民・河了貂（橋本環奈）を仲間に加え，王宮奪還への過酷な戦いに身を投じていく信だったのだが…。

中国の古代史なのに，原作も製作も，もちろんキャストも日本人というのが受け入れ易いし，何よりイケメン揃いときてる。それも共演者たちが皆，顔立ちだけでなく，主人公の山﨑賢人が霞んでしまうほどに個性的で良い役を作り込んでくれているのだ。原作の世界観を踏襲し，アクションを重厚にするVFXも見事。先日発表された日本アカデミー賞では，見事４冠に輝いた。

ちなみに，信は後に秦の大将軍・李信となる。後半から登場する長澤まさみ演じる楊端和(ようたんわ)も，秦の大将軍として始皇帝を支えていく。