図書館戦争 | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:LIBRARY WARS
監督:佐藤信介
キャスト:岡田准一/榮倉奈々/田中圭
配給:東宝
公開:2013年4月
時間:128分




日本人は昔から「検閲」によって表現の自由が抑圧されてきた。江戸時代にはキリスト教や幕政批判が検閲の対象となり,大正時代には共産主義思想や社会主義思想,自由主義思想が抑圧され,昭和になると「治安維持法」により,天皇制や国体や軍部を批判すると,出版停止や没収だけでなく,逮捕されることも多かった。取締りの対象は本や新聞だけに留まらず,落書きから井戸端会議の話題にいたるまで,すべての言論が取締りの対象となった。これらの検閲の歴史に終止符を打ったのが、1947年5月3日に施行された「日本国憲法」となる。日本国憲法では第21条第2項前段で,検閲の禁止を明言している。

現在,当然だと思える表現の自由の獲得には,こうした歴史があることを知り,歴史の過ちを繰り返さない決意が必要だと思う。2夜に渡り,そんなことを少し考えてみることのできる作品を紹介。

表現の自由を巡って政府と図書館が互いに武装して対立する架空の近未来を舞台に,愛する本を守るべく図書館防衛組織に入隊した熱血ヒロインの過酷な訓練と戦闘の日々,そして淡い初恋の行方を,リアルかつ迫力のミリタリー描写と甘酸っぱいラブコメ要素を織り交ぜ描いた有川浩の大人気ベストセラー『図書館戦争』の実写化シリーズ。主演は,原作ファンの間でかねてから実写化の際の理想のキャスティングとして圧倒的支持を集めてきた榮倉奈々と岡田准一。監督は『GANTZ』シリーズ(2011年・東宝),『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』の佐藤信介。

2019年(正化31年)に制定された“メディア良化法”による検閲とそれを実行するための武装組織“メディア良化隊”に対抗すべく,図書館が創設した防衛組織“図書隊”。高校時代に大切な本を目の前で守ってくれた図書隊員を“王子様”と慕い,図書隊に入隊した笠原郁(榮倉奈々)。ところがそんな彼女を待っていたのは,鬼教官・堂上(岡田准一)による地獄の特訓の日々だった。それでも男子顔負けの身体能力だけが取り柄の笠原は,堂上の過酷な訓練にも音を上げず,ついには女性初の図書特殊部隊(ライブラリータスクフォース)に大抜擢される。そして堂上や包容力あふれる先輩・小牧(田中圭)の指導の下,同期の柴崎(栗山千明)や手塚(福士蒼汰)と切磋琢磨しながら少しずつ図書隊員として成長していく笠原。いまだ憧れの“王子様”は見つけられず,その一方で王子様とは真逆のはずの堂上のことがなぜか気になり始めてしまい…。

原作を知らなくても十分に楽しめるし,大切に享受すべき「表現の自由」だからこそ,幅広い年代に判りやすく伝え,考えてほしいという製作サイドの意図が窺える構成とキャスティング。隣国辺りの統制や検閲と較べながら見るのも味わいかも。


映画クタ評:★★★★


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