すべてを賭ける夢はあるか。


■製作
日本(2019)
監督&脚本:佐藤信介
原作&脚本:原泰久「キングダム」
脚本:黒岩勉


■主な出演
山崎賢人、吉沢亮、橋本環奈、長澤まさみ、本郷奏多、高嶋政宏、石橋蓮司、大沢たかお


■あらすじ
紀元前245年、春秋戦国時代の中華西方の秦の国。戦災孤児で今や奴隷として働く2人の少年、信と漂はいつか天下の大将軍になる夢をみて日々剣術の鍛錬に励んでいた。そんなある日、漂が王都の大臣・昌文君に召し上げられる。2人はそれぞれ別の道を歩むことになったが…。


■感想
どれくらいぶりだろう?というくらい久々の劇場鑑賞です。絶対に外せない「アベンジャーズ/エンドゲーム」を観た日、こちらも鑑賞しました。


原作は未読。私は長い長い中国史の中でも特に古代に興味があるのですが、本作の舞台となる時代(始皇帝即位の前後)のことは何も分からんので分からんなりに予習はしませんでした。


実は本作、予告編の段階ですでに惹かれていたのですが、ひとつだけ不安要素がありました。それは、いくらコミックの世界とはいえ日本人が中国人を演じること。


でも始まってすぐに世界観に引き込まれて、そんなことは全然気にならなかったです。漫画がベストセラーになるのも頷けますな。


何より主演の山崎賢人、吉沢亮が良かったです。彼らの俳優としての成長に驚いたし、期待していたアクションも裏切らないド派手さで見応えがありました。


ただ、やはり普段から中国時代劇を観ているだけに所作なりアクションなりが「中国」ではないなというのは度々思いました。


スタッフに中国人は居なかったのでしょうか?いくらフィクションだからって少しぐらいは本場の人の意見を取り入れても良かったのではと思ったのが正直なところです。


公式サイトに「漫画原作ながら史実に基づいた中国春秋戦国時代の世界観を(省略)描いている」とあるんだけど、それはどうだろう。


たとえば、古代中国は椅子の文化だと思うので、吉沢亮扮する嬴政(えいせい)が胡座をかいて床に座る姿には違和感を覚えました。


椅子の有無じゃなくて、そもそも胡座ってのが古代中国じゃない気がするんだよな〜。今観ている中国ドラマは唐の時代なんですけど胡座じゃなくて椅子か正座だし


春秋戦国時代の正式な座り方は正座だったって説もあるし、


以前観ていた「ミーユエ/王朝を照らす月」はそれこそ始皇帝の高祖母にあたる人がモデルで秦の国が舞台だけど、大王はやっぱり胡座はかいていなかった気がするので。


一方、本郷奏多扮する成(せいきょう)は大王になろうとしてクーデターを起こすくらいですからちゃんと王の椅子に座っていましたが、立派な椅子に座っておいて前かがみの姿勢ってのがまた違和感。


私が知る限りなので狭い範囲になってしまうんですが、中国ドラマで観る皇帝(もしくは大王)たちは、たいてい踏ん反り返って座っているか、背筋を伸ばして座っていました。


それが本作では、椅子の面積が広すぎて居心地悪いのか前かがみ。どうも、踏ん反り返れず縮こまってしまう日本人気質が出てしまっている気がしちゃいました。


また高嶋政宏扮する昌文君(しょうぶんくん)など臣下の立場にある人が主君と向き合う際に片膝で跪き、顔を見上げながら話をするというのも日本的に思えました。


こういった光景は日本の時代劇ではよく見かけるけど中国ドラマではあまり見かけたことがないような。


百歩譲ってあったとしても、「王様、ごきげんよう」みたいな最初の挨拶の際に両足で跪き、すぐに「立ちなさい。」と促されて立ち上がるくらいじゃないですかね。基本的に臣下は立ってる気がするんですよね。


武士は目上の者にはやたら腰が低いけど、中国の場合は主君に対し絶対服従を誓っていても腰が低いって感じではないので、チョコチョコとどうしても「日本」が垣間見えてしまう辺りが、ここまで大作だからこそ残念に思えた部分です。


でも、ハリウッドで製作される日本が舞台の作品(ラスト・サムライや47RONINなど)も十中八九がナンチャッテですもんね!仕方ないのかな。


ともあれ、すごく面白かったので続編があるなら是非ともまた劇場鑑賞したいです。


ドンッドンッドンッ


紀元前245年、春秋戦国時代。奴隷として買われた戦災孤児のはいつか秦国の大将軍になることを夢見て、日々こっそりと剣術の鍛錬を重ねていた。




そんなある日、漂(吉沢亮)ひとりが、王都の大臣である昌文君(高嶋政宏)に召し上げられ王宮で働くことに。




それぞれ別の道を歩むことになった2人だが、絆は固く結ばれていた。


その頃、王宮では、大王・嬴政(吉沢亮)の弟・成嬌(本郷奏多)によるクーデターが勃発。実はは、嬴政の替え玉として召し上げられたのだった。




嬴政として命を狙われ致命傷を負ったは、命からがら、かつて自分が居た場所へと戻る。それは自分の使命をに託すため…。に会うなりは握りしめていた地図を渡し、命尽きる。


2人は一心同体だ。俺を天下に連れて行ってくれ!の最期の言葉には立ち上がり、地図が示す丘の上の小屋へと向かう。


小屋の中に居たのはにそっくりな顔つきの嬴政だった…。




ドンッドンッドンッ


大沢たかおが、ああいう役(キャラ)をやるとは思っていなったので、意外性があって面白いと思いました。いちばん最初の登場シーンで「二の腕太っ!」と思ったんだけど、本作のために鍛えたのかな?




あと、序盤で登場する六平直政がやたらハマってましたね。こういう中国人って居そう…と思ったもん。


また、良いと評判の長澤まさみもアクション切れっ切れでカッコ良かったです!!




■お気に入りのキャラ
楊端和、嬴政


■個人的評価
★★★★(4.8)





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