鉄緑会やサピの過剰教育で悲しいパターンにならないために(パターン演習の功罪) | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

<お知らせ>軍師講演会→演奏会を、6月22日土曜日11時より、いつもの代々木ロッジにて開催いたします。今回は、「東大にだっていけるようになる、4タイプ別声掛け法」を講演の題にしようかと思います。
 
 ご希望の方は下記より、お申し込みください。人数のところは必ず入れるようにお願い致します。

 

 

 

 

 先日は配信、ありがとうございました。サピックスを主に題材としてとりあげましたが、詰め込みという意味での同じ傾向は鉄緑会にもあるし、現代受験は大なり小なり、同じ傾向があると思います。今日は先日の配信の補足をいたします。
 
 これも、
・誰でもIT化の恩恵を受けられたうえで、
・自由主義、自由競争なのだからしょうがない、当然
 である、と言えます。
 
 単に受験だけを見た現象としてとらえるのではなく、社会学的・経済学的な流れの中でとらえていただければと思います。資本主義かつ自由主義による、「当然の流れ」があるのです。
 
 自由かつ勝ったもんがちなのですから、理解したかどうか・深い思考を獲得したかどうか、という問題をすっとばして「点数だけをとる」ことに特化すれば、網羅的に全問題を洗い出してパターン化し、それを繰り返し演習するに決まっています。
 
 それを節操もなくやっているのが有名塾である側面があるのです。
 
 そんなやり方で面白味があるかと言われれば皆無だと思いますが、ある程度は必要悪の部分もあります。皆さんには塾カリキュラムのこういった背景を軽くでもとらえておいてほしいと思います。
 
 
 現在、大学受験では、数1・Aでは各約300問、数2・B・Cでは150から200問の問題パターンがあります。はっきりいってこれくらいのパターン化は国立大を目指す人材にとっては「基礎」ではあるので、一通りやっておくべきではあります。
 
 ただ、何度繰り返す必要があるか、は、各人の理解度によります。なぜこの公式がこうなっているのか、どこから導き出せたか、の思考手順が分かっている子、再現できる子は、繰り返し回数は圧倒的に少なく済みます。
 
 僕自身は
・宿題で1回
・定期テスト調べで1から2回
・高3の受験勉強でもう1回
 という計4から5回で身に着けています。
 
 もちろん、1周するうちでも何度か同じ要素の問題は出てきますから、東大に行くにも十分な繰り返し回数になります。僕は数学が苦手な方でしたから、才能のある方は3から4巡でもなんとかなる方もいるでしょう。
 
 また、いろいろ高校生活や部活を楽しんで、皆と遊んだりゲームもしたり、といったことをやりつつ東大などにまで行くには、この繰り返し回数がギリギリです。
 
 ほとんどの、落ちこぼれたり浪人する子のパターンでは、最初の宿題と定期テストの1回ずつの演習がほぼ抜け落ちており、きちっとした子が5巡くらいの演習量で行くところを、高3のみの2から3巡で勝負するのですから、これは理論的にも相手になりようがありません。(明らかに高い才能の子は大丈夫な場合も普通にあります)
 
 このようなことを数学だけでなく、英語や理社でもする、というのが中高一貫校で東大を目指す子の基本となります。
 
 
 ここを昔の灘のやり方を採用した鉄緑会では、爆速でカリキュラムをこなし、プラス2巡するのを中高6年で課しています。
 
 つまり、通常の中高一貫校の子が4から5巡でいくところを、鉄緑会や灘の子は7から8巡しているわけです。膨大な宿題のことを考えれば、10巡くらいはしているでしょう。これは強いです。やはり、理3を現役で目指す場合は、これくらいはやる必要があるのかもしれません。
 
 ただ、ここでかんがえなければならないことは、
・予備校を優先するあまり学校の勉強を軽視した場合、最初の1から2巡は消える
 と言え、ここに落とし穴があります。
 
 中高一貫校のカリキュラムはすでにそれだけで5巡でき、それをこなせば十分に東大でもいけます。そこを、無理してまで予備校であと数巡させる意味があるのか、というのは、特に親御さんは考えなければなりません。
 
 つまり、中高一貫校における予備校とは、
学校と両立してこそ、はじめて意味がある
 ということが言えそうです。
 
 
 コンサルで出会う、有名進学校の、それも灘や開成、麻布、聖光学院といった超トップの方の子で、面白いな、と僕が思える子に共通則があり、
・そんなに詰め込みまくってまで勉強をやりたくない
 というのが共通しています。この点で、どんどん有名予備校を辞めていく子が多いのです。
 
 この感覚は正しいです。そもそも、きっちりやっていれば、そんなに同じことばっかり何度もしなくてもよいのが勉強です。勉強の本質は徹底した思考の中にこそあります。
 鉄緑会の創立者の和田秀樹さんですら、自分で設立しておきながら)過剰な詰め込み型であることの注意喚起を発しています。それが批判になり、なぜか後に代表を辞職する事態になっています。
 
 彼らは、数学などでは非常に理解の度合いが深く、公式も自分で証明ができるし、三角関数などでも図でイメージを作ることを端折りません。加えて読解力も高く、僕のテキトーな話も真意を推測して聞いてくれ、話が弾みます(ま、僕の方が数学ができていないこともよくある、笑)
 
 彼らをはじめ、東大時代の友人などを見ていますと、できる子のパターンが見えてきます。
一発目からしっかり理解をしている
・小さな疑問点もどんどん解消しようとする
 このようなことがいえ、
 
・普通の人間が3巡して理解しなければならないことを、ほぼ1巡で理解して終えられる
 
 ということが僕の目線では言えます。才覚の差というよりは、最初の学習での丁寧さと理解をしっかりしていく、という姿勢だけで凡人との差が生まれています。
 
 これが詰め込み型では見落としがちな、「精読勉強」の方法論です。(次の本のネタはこれかなw)ちょっとスピードを落として、理解する時間をとっていただければな、と思います。
 
 どんな方でもなんとか理解をしよう、とはするものですが、見ていますと、今のサピの真ん中より下くらいの方などは、「覚えりゃいいんだろ」というようなガサツな姿勢をよく感じます。
 特に理科などで大きな差になっています。
 
 それは過剰になると点数さえ良けりゃいいんだ、という得点主義に陥り、いつまでたっても勉強の本質には迫れないし、大きな無駄をすることになり、成績も思うように上がらないことでしょう。
 
 
 例えば、中学受験の算数でも、つるかめ算を
・面積図を書き、数値だけいれている子
・「もし全部亀だったら」と仮定や具体で理解をしている子
 は必要演習数が全く違います。後者の方が1,2度で演習は済むはずです。
 
 ただ、この理解をさせる、というのは、教える側はめんどくさいのです。給与が変わらないなら、インスタントな方法でとっとと点数を取らせるようにした方がいい、というの方もいるかもしれませんね。そっちの方が生徒側も楽ですし。
 
 ということで、先生と生徒の両方がなあなあになって楽な方向に流れるのが、大学教育でも塾でもよくみられる現象です。
 深い理解をさせるのではなく、浅い解法の理解で繰り返していくうちに点数をとらせる、という方法にシフトしていくのだと思います。
 
 どこかの配信で言ったかもしれませんが、所詮人間の作るテストでは、
応用問題にだってどこかパターンはある
 というのは言えます。
 
 つまり、膨大に問題をこなせば、ペーパーテストでは、思考問題だろうがB問題だろうが、東大の数学にだってある程度のパターンは見出せるのです。
 
 それを洗い出して繰り返し演習してしまえば、確かにペーパーテストというのは、どんなに難しくても、中高の6年の自由時間の8割くらいをささげれば東大理3だってパターン演習の果てに行ける可能性があります。(まー、東大の数学は本当に思考力がいるので甘くないとは思いますが)
 
 
 この果てに懸念されるのが、「社会の停滞化」「貧困な優秀者」の増加です。
 
 今、世界で一番受験戦争が激しいのがお隣のK国であろうと思います。C国も人口が多いだけにすごそうです。
 これらの国では、科学分野でまだノーベル賞級の科学者がそんなにいません。経済的な停滞から、少子化などの閉塞感もあいまって、今後もその見通しは変わらず、ずば抜けた人材は出てきにくそうな印象です。
 
 それらの国では、人口比に対するエリートの割合を考えるに、相当な演習のパターン化が進んでいると予想されます。つまり、過度な過剰競争の受験でのパターン化の悪影響があるのではないか、と危惧しています。
 
 パターン化学習の勝者は、
・新しいことに挑戦するより、前例を踏襲したい
・できれば、未知の分野には踏み込みたくない
自分とそのまわりの生活や暮らし最優先
 という性質を持ちます。イノベーションとは程遠いです。
 僕も20代のころはその面がありました。(の割に音楽方面に飛び込んでいるがw)
 
 これが、高学歴人材のある種の貧困化になり、しょぼい高学歴者が社会の上位に出張って、あんまりいい国ではなくなっていくかもしれなくなるかもな、と危惧します。加えて若年層の道徳観の欠如も怖いです。(これも得点主義が高じて起こる)
 
 日本も爆速でお隣の国を追いかけています。
 
 また、他方では欧米大学の表面的な真似の推薦入試などで、本当に大学卒業までまともに勉強しない子を増やしています。AOや推薦入試で、ノーベル賞級の人材がでるのでしょうか。こちらは、基礎学力がなさすぎる気はします。
 
 ちょうど現代は、推薦入試:一般入試が1:1の半々で、いろいろな意味でも端境期な気がします。
 
 勉強する子は詰め込み型になり、しない子は本すら読めなくなる、これで日本の未来は明るいでしょうか。皆さんのお子さんにはどうあってほしいでしょうか?
 
 
 ノーベル賞級の科学者で、中高一貫校出身者は現状山中伸弥さんくらいしかいません(とはいえ国立付属なので一貫とは言えない)。
 これから、知性と発想を併せ持った人間が科学をけん引していくと思いますが、どれだけ中学受験組からノーベル賞級の人材が表れるでしょうか。嫌な予感はしますね。
 
 開成初の総理大臣の方を見ますに、不安と期待が半々です(笑)
 
 いわゆる高学歴、しかも理系の人材に、すでに中高一貫校出身の人間が多くいることでしょう。
 まだ僕らの世代はそこまでガチらなくても、時間をかけ、思考をゆっくり深めても東大入学くらいならなんとかなりました。
 
 でも今の15歳前後の子たちくらいから、中学受験は異常競争化しています。
 願わくば、過度なパターン化効率化に頼るのではなく、初めての問題や問いとの出会いを大切にしてほしいです。
 
 中学受験も、過剰なパターン化教育でしょぼい高学歴者になるくらいなら、そこそこでもよいから、基礎学力をつけてあげる、じっくり考える時間や体験の余裕を与えてあげる、ような発想で中学受験を使うのが良いのではないでしょうか。
 
 
 日本から事態や不測の事態にも柔軟に対応でき、にこやかに新しいことを開拓してくれる人材が出てほしいと思います。
 
 自分の教え子からノーベル賞級の人材を出す、とは元東洋大姫路校長・現参与の大森茂樹先生の宿願でもありました。まだその夢を愚直に実行していることは、こないだも確認済みです(笑) 
 
 今の若者たちには、以上の逆風にも負けずによい人材を目指してほしいです。科学の大発見にも思いやり、が大事かもしれませんよ。
 
 
 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

3冊目、発売しましたー。売れ行き好調なようでありがとうございます。

<軍師の合戦情報> (お子様来場の場合は音楽用耳栓か、イヤーマフ推奨です)

 

5月にカリフォルニア(横田基地)無料ライブ、18時25分からトリ
6月22日土曜日@代々木ロッジ
7月20日土曜日@新宿ワイルドサイドトウキョウ、主催
9月吉祥寺?
10月海外バンドフェスのOA

 

詳しくは下記Twitterへ

https://twitter.com/allegiancereign

https://twitter.com/LIONADRIVE

・僕が仲間たちと創った、第1弾ボカロ動画です。いいね、などマジでお願いいたします。たくさんのアクセス、ありがとうございます。(ボカロ用のチャンネル作りました、フォロー等よろしくお願いいたします)

 

 

 

おススメ読書タイトル100、問題集など https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12589194343.html

 

 

リブログ、リンク、引用等は基本自由です。もちろん、一報いただけると助かりますが、特におしらせいただかなくても大丈夫です。リブログしていただければ、「いいね」くらいはしに行きますw

 

スーパーコンサル2024、今年も受け付けております。究極の受験セカンドオピニオンを体験してみませんか。もちろん、2度目3度目の方も歓迎です。ご希望の方は、下記記事を参照の上、メールをください。(読んでない方が多いです。一度はぜひお読みください)メール相談も受け付けております。

【コンサル概要】

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12446458308.html

【メール相談概要】

 

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メールアドレス

hasetomo2009☆yahoo.co.jp(☆を@に変えてください)

 

定期指導(月1または月2)をご希望の方は下記をご参照ください。(2024年2月現在、新規定期指導は厳しい状況です)

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12549048136.html

 

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https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12528522329.html

 

 

<メールについて>

お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間から2週間の間に必ず返信は行いますので、2週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。ドコモなどのキャリアメールではこちらからの返信が届かない場合があるようです。

 

また、現在、かつてないほどの多忙につき、やや返信が遅れ気味になっております。同時に複数のメールをやり取りしていますので、紛れてわからなくなる場合もあります。返信が滞っている場合は、かまいませんので催促してください。

 

できれば相談内容などは短めでお願いいたします。1件のメールに、1時間近くかけて返信することも多いので、そのあたりをご配慮ください。

 

また、アメブロのメッセージは返信しません。できればヤフーのメールでお願いいたします。

 

はじめての場合やコンサルの場合、前日に必ず確認のリマインドメールを送っております。当日の朝になってもメールが届かない場合は、お手数ですが確認のメールをよろしくお願いいたします。(リマインドは深夜になりがちです。先にそちらからしていただけると助かります)

 

5年生以下(指導は原則小4以上、それ以下は基本コンサルでお願いいたします)や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、熊谷、栃木、茨城、大阪吹田、奈良、兵庫明石市近辺、京都、静岡、熱海、名古屋などもありました。もちろん、オンラインでも可)

 

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<追記>

この度、僕がベース軍師として加入している戦国バトルメタルバンド『武士メタル~Allegiance Reign~』の初MV@小田原城。是非ご覧になってください。

◆MV
https://youtu.be/tI4YvWd8sz0

 

また、初のフルアルバム『EiEiO』が発売となりました。ブログでお世話になってっし、応援してやるか、という方は是非お願いいたします。この売上で、今後の僕らの流れも変わりますm(__)m

また、各種サブスクでも聞けるようになりましたのでよろしくお願いいたします。

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