組分けでなぜとれないのかとサピ最大の欠点について | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 サピックスや四谷大塚など、大手塾に通う方ほど、テストの出来が毎回気になるはずです。とくにサピックスは、最もクラス分けが激しく、よくないことですが、一喜一憂しがちです。

 

 最初に、他塾の方のために解説しておきますと、マンスリーテストとは、「範囲あり」「だいたい月1」のテストを指し、組分けとは、「範囲なし」「数ヶ月に一回」といった感じのテストになっています。

 ま、数か月に一回といっても、新小6は「え、また?」という頻度で襲ってくることもあり、心が休まりません。

 

 これ以外に、上位を目指す子や他塾の子もうけられるようにした「サピックスオープン」、組分けがあった月の「復習テスト」がありますが、これはクラス分けに関係しないので、直前期以外は軽視されているし、それでよいと思っています。

 

 どこの塾も大抵、このような区分のテストになっているはずです。

 

 

 中高生では、定期テストと実力テストがそれぞれ、マンスリーと組分けに該当します。

 

 参考までに、日能研では、範囲ありのテストの他に、ほぼ毎週の育成テスト(旧カリテ)、オープンが公開模試という名前になっています。

 

 四谷系では、毎週あるYTテストと呼んでいた日能研の育成テストのようなものが、たぶん新小4からカリキュラムテストという名前に(ややこしいねんw)なりました。

 「サピックスオープン」に相当するものが、業界でも一定の信頼を得ている「合不合テスト」です。5、6年前から、4月時から範囲なし、となっていて大変なテストです。

 

 

 昔から真面目な子ほど、範囲なしのテストで苦戦する傾向にあります。ま、僕自身も、実力テストはとれないタイプで嫌な思いは人一倍していました。

 

 大崩れしたご家庭などが、大慌てて僕にメールしてくるので、組分けの問題を見て「これは、コンサルのメール増えるな」などは予想できています(笑) 前回のサピックスの組分けでは、「はいはい、算数と理科ね」という心構えはありました。

 

 サピの理科は、小6から急速に問題数が増え、αレベルの子でも解ききれない子が多いです。そのあたりは「慣れ」の問題でもありますので、淡々と知識と問題演習をこなせば、夏ごろにはまともな成績になっていることでしょう(たぶん)

 

 今日は、なぜ実力テスト系のものでとれなくなるのか、を論じてみたいと思います。

 

 

 

 

<なぜ実力テストで偏差値が下がるか>

……まず、単純に問題の難易度が高いのが、範囲なしの組分け系の大きな特徴です。

 また、組み分けテストとマンスリー系のテストの意義の違いを今一度確認しておきましょう。主に算数の話ですが、他教科にも当てはまる部分はあります。

 

 僕が言う、「難易度が高い」とはパターン認識「だけ」では解けないという意味合いです。

 

 まず、復習系のテストは、「解法パターンの定着」具合をみるものです。ですから、そのパターンをその月や週に塾で出てくるもの、全部を解ききれば、当然点数にはなります。

 特に、テストの前半ではいわゆる「点取り」のものが多いですから、ここを押さえるだけでも、偏差値50は確保できます。

 

 それに対し、組み分けテストはパターン認識でできるのは半分ほど。特に小問集合が終わった後半(大問4以降)は、必ずひとひねり以上が入った難問が来ます。

 

 ここにポイントがあり、難問といっても、「しっかり」読んでいける子では、素点はいつもより悪くても(マンスリー110点→組み分け90点など)、平均的も低いので偏差値ではさほど落ちないものです。それが、偏差値も落ちてしまっている場合は、いくつかの理由が考えられます。

 

 

・詰め込みでできるもの以外やりたがらない

 →特に昨今の中学受験では、クラス分けが激しいあまりにインスタントな得点主義に走りやすく、考えるより「とっとと覚える」主義に陥っているご家庭が多いです。また、授業でも考え方をじっくり解説、という先生は最近では少なくなっていて、理解より解法暗記、というパターンに陥っていることが大半です。

 

 これでは、「自分で未知のものを考える」という点が弱いままで受験学年になりやすく、偏差値63あたり(サピや大学受験の駿台ならマイナス7から10くらい)伸び止まりやすくなります。これは夏以降、基礎が完成するころにもこの点で苦戦する子が多いです。

 

 これは概して、パッとできるもの、しかやりたがらない現象につながります。めんどくさそうなものや、見たことがないものはろくに考えずに飛ばしてしまうのです。これが良くありません。

 

 頭が良い、というのは未知のものにどれだけ対応できるか、ということも大きな能力・要素のうちです。これを鍛えてきたか、を東大や国公立大は問うてきますし、各進学校もこれに対応できる子を欲しがります。

 つまり、「見たことがない」ものを出す傾向にあります。

 

 最も、小学生の段階では、本当の意味で訳が分からないものはでにくく、よーく問題文を読んだり図を書いて考えれば、見たことのある問題を少しいじっただけのものであることが多いです。

 つまり、「読もう」とする姿勢がある子なら意外とできることも多いです。

 

 

・文章題の解釈ができない、甘い

 →出題者の立場からですと、独創的な発想がいる問題は作りにくいものです。深い造詣とセンスがいります。だから、そんなホイホイ訳のわからない問題というのは作れないものなのです。

 

 ですから、文章題を長くすることで、「解釈」を問う問題にします。ここで多くの子たちが引っ掛かります。

 

 特にパターン認識を高いレベルですでに完成させている上位層の争いでは、この点は大事になります。差がつくのは、いかに読むか、挑んでいるかであることが多いです。

 

 中堅校まででよいなら、中学受験でも大学受験でも、基本問題を固める戦略でなんとかなります。が、それでは上位をうかがうことはできなくなってしまいます。

 また、まさにそれでは「詰め込み」にすぎず、日本の教育の一番ダメなところだけを履修することになってしまい、社会人としてもコシが弱いことになるでしょう。

 

 勉強は自分で「考える」ことが大事であり、これからの時代はさらにそうなっていくことと思います。受験勉強ごときで詰め込みに走るのは、やはり愚かです。本末転倒に近いです。

 

 詰め込みしかできない・やりたくない、考えたくない、しんどいことはしたくないなら、そんな人間はクラス落ちしたほうが良いです。高給取りである、日本を支える人材や立場・役職にはなるべきではないと僕は思います。

 

 

 ということで、できれば組み分けレベルの「読まないと」できないレベルのものに、解けなくてもよいのでチャレンジすることをおススメします。「とりあえず」飛ばしてしまうようでは、伸びもそこまでです。毎回チャレンジしているうちに、できることもたまーに出てくるようになりますし、その連続でまさに学力は上がっていきます。

 

 解けないものに取り組むことを「時間の無駄」と切り捨てる講師や先生も多いですが、僕はそれでは上位層争いに勝てないことを自分の過去の生徒たちを通じて痛感しています。

 せめてテスト時間中くらいは、5分でよいのでなんとか余らせて最後の問題にもチャレンジしてみましょう。

 

 

・式・図が甘い

 →また、組み分けレベルができない子は、式や図が甘いことが多いです。中にはほとんど書いていない子も多く、サピのアルファレベルの子でもその点で伸びていかない、もしくはアルファ1で安定できない現象があります。

 

 アルファ1の半分くらいの子はしっかり図や式が書ける子たちですし、そういう「書ける」習慣がついた子から上位に上がって安定していく現象があります。覚えておきましょう。

 

 ま、直前期までになんとか書く習慣をつけられれば勝ち目はありますので、ぜひ時間がかかてもよいので、チャレンジしてみてほしく思います。しっかり図や式を書き、そうしたほうが実は楽なんだ、という事実に気づけたとき、組分けテストや実力テスト、ひいては入試本番も、復習テストの点数に近づいていくことでしょう。

 

 

<重視すべきはマンスリー、定期テスト、週の復習テスト(サピの最大の欠点とともに)>

 ……組分けテストの対策を何かとやりたがる方が多いですが、ぶっちゃけていってしまいますと、範囲が広すぎて有効な対策は無理です。腹を決めて、いつも通りの勉強(毎週の宿題など)だけして受けて別にかまいません。

 

 が、それではサピだと大きくクラスを落としてしまうかもしれないので、難しいところです。そこがサピ最大の欠点でもあります。クラス落ちの下限がないので非常に恐ろしく、αからCに下がった、などはよく聞く話ですし、去年も自分の生徒でありました(もう、ほんとに嫌ー)

 

 ここで「対策の打ちようがない」のに「クラスが下がるペナルティが大きすぎる」ことがサピックス生では問題になりやすいです。

 

 僕からみた視点では、「意味のない」焦燥をご家庭に与え、負担感を増すことにつながっています。これが今以上に行き過ぎると、嫌な予感がするのです。

 

 今年は、サピックスは在籍数増のわりに、名門校の実績が下がっていました。僕は過去記事のどこかでサピの隆盛の終わりを予言しているのですが、それが「始まっている」と感じます。(ま、ですがあと5年は持つと思いますので現在在籍している方は安心すれば良いです)

 

 恐怖感のある勉強では、いつも頭が「トップギア(頭の回転が速い状態、過去記事参照)」になってしまって、深い思考や心情を読み取る「ローギア」の能力が落ちていきます。

 あまりに過剰競争では子供の脳は伸びていきません。心理学的な根拠(エビデンス)もあったはずです。

 

 もちろん、実際の現実社会はサバイバルであり、競争が実態の面もありますが、それを普段から意識させる必要はないのです。特に子供には。できる「努力」のほうに注目させるのが良いです。

 

 この点を克服することが、つまり今後もサピックス生の課題点となっていくことでしょう。

 サピでうまくやりたいのであれば、一番良いのは、クラス分けを気にしないことです。(無理だと思いますがw)

 

 サピ教材が業界では最強であることは疑いようがないので、目の前の課題を淡々とこなし、できれば、サピ以外の教材を一つやってみること、などが大事です。それが視点の違いに気づかせ、思考を生みます。

 

 また、これはサピの子だけではないですが、ご近所の天才と我が子を比べてもいいことやプラスは何もないので、その辺は留意しておきましょう。

 

 

 そのうえで、何かしら組分けテストに向けてやりたいのであれば、今までで苦手分野があるなら復習すれば良いです。が、その分野がまずわかりにくいはずです。しかもそこがテストにでるとは限らないので、得点効率は悪いです。

 

 ただ、仮にテストで出題されなくても、「復習した」という事実は残るので、長い目では意味があります。

 

 これまでの経験では3月の組み分けは、地理や電流、火山などをとっくに忘れている子が多いので、そこの復習をすることは意味がありますが、まあ、できてもコアプラスを見直すか、白地図くらいだと思います。コアプラス程度では、組分けテストには歯が立ちませんが意味はあります。

 

 ま、ということで、毎週のペースを維持する方が大事に思います。毎週のペースが狂うくらいなら、組分けテストの対策は取り立ててする必要はなく、お子さんが覚えていることを期待しましょう。

 

 また、文章を粘り強く読む子であれば、いつもより偏差値は高くでるはずですので、毎週の勉強のやり方を変えた方が良いと思います。

 

 

 また、受験学年後半になってくると、さすがに復習系のテストと実力系のテストの点数が近づいてくるのも自明の理、業界の常識ですので、クラスが仮にどかんと落ちたとしても、またそこから仕切り直せば良いのです。死ぬわけでもクビになるわけでもありません。

 

 最悪想定の練習だと思って、どーんといきましょう。

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

 

おススメ読書タイトル100、問題集など https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12589194343.html

 

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<追記>

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