先日、大学受験用のおススメ参考書として紹介した志田晶先生(東進ハイスクール)の「はじめからていねいに」シリーズですが、非常に良い内容で、数学の本質をわかった方のノウハウ本となっていて、反響も非常によかったです。漫画で読みやすいというのも良いですね。
数学の先生というのは、僕も苦い思い出があるのですが、苦手な人間にまったく伝わらない教え方しかできない方が多いです。
それは、数学の先生というのは基本的に数学が「好き」であり、僕の学生時代のような「見るのもイヤ」という人間の気持ちに寄り添ってくれない、というのが原因としてあります。
何かを訊きに行っても、得意げかつ楽しそうにいろいろしゃべってくれるのですが、こちら(苦手民)には特に響くことはありません(笑) わかるようになったことはほぼなく、数学の得意なクラスの友人に訊いた方が分かりました。日本語しゃべれよ、と何回も殺意とともに思いましたね。
僕の中高時代の場合、数学の先生からもらったアドバイスで役に立ったのは「1対1(問題集、おススメ問題集参照)をやれ」ということだけでした。もちろん、僕の素養のなさ、逃げの姿勢がダメだったのですがw
ただ、この志田先生は、そのあたりもカバーできるのではないのかな、と思えます。
僕がこの先生がすごいのではないかな、と思ったのは、数年前、林修先生が昔深夜にやっていた「生きざま大辞典」という番組があって(めちゃくちゃ好きで全部見ていた)、そこでグレゴリーペレルマン(現代最高の天才数学者の一人)のポアンカレ予想の証明の解説を聞いたときからです。
それまでも個人的に本とか読んだことはあったのですが、はじめてポアンカレ予想の概略が分かった思いでした。高校数学程度の理解でもわかるくらいにかみ砕いてしゃべっておられ、難しい用語が出てきても、「和訳してくれる」感じ(数学は本当にこれが大事)がしたのです。
それを「意識もしない」先生が多い中、この先生は良いな、と思えました。(ま、実際の授業は受けていないのでわかりませんが)
この本は、中2以降の中高一貫校の子か、今から受験勉強を本格的にする高2の後半に読むのが最適に思います。
数学の分野別勉強の仕方などが書かれています。思い込みなどがあり勝ちな数学の勉強法の中で、苦手な人間でも参考になるでしょう。僕も高3の時期は8割くらい数学に割いたのですが、どこまで行っても消えない「不透明さ」の原因がこの本で理解できた気がします。
今日は、この本を踏まえ、中学受験の方でもこの本のエッセンスが生きるように、数学・算数の勉強に対する正しいとらえ方を論じてみたいと思います。
・分野別にとらえ方を正す→演習の効率化→数学的思考の獲得
数学・算数はまず、この順番にステップを踏むのがよさそうです。大目的は、「いかに数学的思考力を高めていくか」にあります。が、日本の受験で純粋な数学的思考力が要求される受験は限られています。ただ、要求されない学校を受ける場合でも、せっかく勉強するのですから、やはり目指すだけ目指したほうが良いと思います。
まず、数学・算数は、解き方が「決まっているもの」「比較的柔軟なもの」「まったく決まっていない、自由度が高いもの」に大別するのがよさそうです。
上記の本では、微積などの分野はほぼやり方が一本道で、思考のしようがないことが多いので、「微積型」、確率や場合の数のように比較的いろいろなやり方が思いつくものを「確率型」と大別しています。
中学受験で焼き直すと下記のような感じでしょうか。
場合の数型(思考の道筋が何通りもあり、自由度が高いもの)
↑ 場合の数、速さと比
↑ 角度、図形と比、旅人算
平面図形・立体図形、規則性
差集め算、食塩水など濃度計算
↓ 通過算、仕事算、つるかめ算、過不足算、相当算(和と差の文章題)
↓ ニュートン算、各種計算、分数小数、割合と比(基礎)、N進法、方陣算
定型型(決まった一つのやり方をしっかり身に着け、似た者は同様に処理するのが良いもの)
別枠型(主にセンスでなんとかなるもの、演習しても効果が薄くなりがちなもの)→ 整数、論理
ざっとこんなところです。スマホなどでちゃんと表示されるか心配ですが。もちろん、複合問題などでは定型型の分野でも凝ったものもあるし、いくら場合の数や整数でも、基礎となる解き方をある程度抑えていないとできないものもあります。
ただ、下に行くほど、「習ってないと手も足も出ない」ものが多く、逆に演習をしさえすれば点数になりやすい。
上は、苦手な子が多い分野であり、逆に単純な演習だけでは効率よく点数になっていきません。
別枠の整数分野などは、確かに、基本的に普通に小6になっていれば、誰でも「考える」「とっつく」ことはできますが、演習してもできるようになるかどうかは未知数な分野です。
これは僕の中でも、いろいろと腑に落ちる部分がありました。今の数学は中東・アジア系由来の代数、と古代ギリシャ数学に端を発した幾何学に分けられるはずで、その二つをごっちゃに一つの数学としているので、理科のようなジャンル分け(地学、生物、化学、物理みたいな)が必要に思っていたのです。
ですから、まず、算数が苦手、という前に「演習すればできる」ところはまず固めてしまえばよい、というのが見えてきます。
志田先生の本に照らし合わせますと、「定型型」ほど、解けない場合は「とっとと答えを見て」まずは解き方の流れなどを解答を読みながら演習するのが良いです。
できれば、なぜそうなっているのか、を熟読しながら理解していくのが大事なのですが、小学生ではそこまでは難しい場合もありますので、まずは解き方を頭に入れてしまうのがよいです。
逆に上の「場合の数型」の場合は、親と子、教える人間ごとに違うやり方がありうる分野であり(それでよく揉めてるのも見かけます)、どんどん別解も吸収して解き方のレパートリーを広げていくのです。
塾とは違う解き方を言われると戸惑いますが、それはそれで理解していけばよいのです。その延長に「数学的思考力」が身に付き、無敵になっていきます。
いわゆる「数学が苦手」という状態は、
・定型型の演習不足で点数がとれない
・整数や場合の数型のものに翻弄されて、なんかしっくりこない、できる感じがしない
のどちらかの状態であろうと思います。これは、数学のとらえ方を変えなければならなかったのです。
中学受験だけを教えている先生ですと、このような視点には気づきにくいことと思います。僕は常に、大学受験からの逆算で中学受験も教えていますので、たまたま気づくことができました。
翻って東大の数学をチェックしてみると、ここ10年くらいは、場合の数・確率、整数問題が必ず出題されており、東大が何を要求しているかが見えてきます。本質的な思考力を安易なパターン演習だけによらず、鍛えてきた人間こそ、最高学府に導きたいのです。(ま、戦略次第ではそれもかわせますが、戦略を立てるということも「戦闘」思考力という意味では大事なのでしょうw)
ということで、できれば、入試にあまり出ない分野も一応学んでおくのが良いです。そうして、別解もいろいろ抑えて、数学的思考力自体を少しずつ上げていけばよいのです。今は、文系も数学ができる人間が優遇される傾向にあり、僕の生徒でも文系でよい大学に行っているのは、数学をしてきた生徒です。
加えて、関東の方への注意としては、サピックスが中心となった中学受験算数のやり方は、上記の中で別解が多くありそうな難問もすべて「定型」に当てはめていく傾向に持っていかれ易いことです。難問も数字替えのパターン認識でやってしまうと、本当に思考力を鍛えてきた人間には全く勝てなくなるので、気を付けましょう。
サピックス自体は当てはめによる暗記的なやり方は全く推奨していません。ご家庭がクラスを安定させるために、勝手にそのようにしている→可能性がつぶれる、というパターンになっているのです。ご注意を。
例えば、灘の入試問題では、いまだにパターン演習では、難しいもの(数学的思考力が要るもの)もしっかり出しています。上位層でさらに上を目指す方は、遊び半分で灘の問題をやってみるのも良いと思います。
そして、このように、読んで→考える、ができると他の教科もどんどんできるようになっていきますので、頑張ってみましょう。メンドクサイことを正面切ってやることが、最短のルートになることが大いにあるのです。
いつも読んでくださってありがとうございます。
おススメ読書タイトル100、問題集など https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12589194343.html
リブログ、リンク、引用等は基本自由です。もちろん、一報いただけると助かりますが、特におしらせいただかなくても大丈夫です。リブログしていただければ、「いいね」くらいはしに行きますw
スーパーコンサル2020、今年も受け付けております。究極の受験セカンドオピニオンを体験してみませんか。もちろん、2度目3度目の方も歓迎です。ご希望の方は、下記記事を参照の上、メールをください。(読んでない方が多いです。一度はぜひお読みください)
https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12446458308.html
メールアドレス、hasetomo2009☆yahoo.co.jp(☆を@に変えてください)
また、小6から定期指導(月2または月4)をご希望の方は、早めにその旨お伝えください。できれば、新学年前に一度コンサルなどで課題点や学習計画などを相談したほうがうまくいきやすいです。家庭教師の方は下記をご参照ください。(2020年現在、毎週の指導は厳しい状況です)
https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12514934840.html
足軽割引き(僕のバンドのライブに来てくれた方やバンド関係者の優遇)を行っています。数回ライブに来ていただければ、誰でも関係者になれます(笑) 下記記事をご参照ください。
https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12528522329.html
お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。
また、現在、かつてないほどの多忙につき、やや返信が遅れ気味になっております。同時に複数のメールをやり取りしている場合もありますので、返信が滞っている場合は、かまいませんので催促してください。
5年生以下や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、栃木、茨城、大阪、奈良、兵庫、京都などもありました)
<追記>
この度、僕がベース軍師として加入している戦国バトルメタルバンド『Allegiance Reign』の初MVが公開されました。小田原城全面協力の元、色々な方々の助けもあって、素晴らしいものが撮れましたので、是非ご覧になってください。僕は烏帽子かぶってるヤツです。
◆MV
https://youtu.be/tI4YvWd8sz0
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