将来の選択について気にすべきこと(新課程と理系文系の選択) | お受験ブルーズ

お受験ブルーズ

現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 さて、実は僕の最近の案件は、中学受験が約半分ほどになってしまっていて、中高生が多くなっています。レギュラー指導の半分は、主に中高一貫校の中高生です。

 自分の感覚としては、中学受験が最も得意なのは変わらないのですが、大学受験に関しても見えてきている部分が増えつつあります。

 

 中高生の悩みで一番多いのが、モチベーションに関すること。やる気が起きない、どう勉強すればいいのかわからないこと。で、次に多いのが「将来、何をすればいいのかわからない」というものです。まあ、わからないなら、とりあえず勉強しとけよそれが一番お得、というのが実感なんですが。

 

 その際に、結構悩ましいのが、「理系にいくか、文系にいくか」です。

 

 これは特に才能あふれる有名進学校の子に多いとも言えます。というのも、なまじ能力が高いために、理系でも文系でもイケるので悩むことに加え、進学校では高1時点でもう理系文系の判断に迫られるので、中学の後半くらいから悩んでしまうのです。

 

 日本のような理系文系のはっきりとした区別は欧米にはあまりないそうで、日本の教育の問題点とも言えそうなのですが、とはいえ、どちらかを選ぶと選ばなかった方の可能性が消えるような気もして、なかなかに難しいようです。

 僕は考古学にも高1くらいのころにハマっていて(今でも、古代文明、日本古代史・神道史はガチですw)、生物学(理2)と考古学(文3)で真剣に悩んだ時期もあります。

 

 やはり、理系文系の選択はこのブログで何度か書いていますように、得意科目ではなく「なりたい職業・業種」で決めるべきだとは思います。

 

 また、死ぬほど悩むまたは行きたい具合が五分五分程度なら理系の方が競争率は圧倒的に低く(人口比で理系:文系=3:7)、就職も安定するのでお得だと思います。

 国公立大を中心に、文系学部が縮小し、理系学部の募集人数が増えている傾向もあります。(例、茨城大の文系縮小、横国の経営学部と経済学部の合併など)

 理系はこれまでの経験でも、文系より良い大学に受かりやすいとは思います。

 

  ネックは数学だとは思いますが、理系選択でぶつかる数学の大変さは、社会に出てから余りあるキックバックがあります。やる価値は大きいです。(信じて~) 僕も結局は生物学をやりたいので、理系にし、超がつくほどの苦手の数学を克服した経緯があるのですが、今、それは活きまくっています。

 

   最近優秀層に増えているのは、理系文系という縛りに縛られずに両方の可能性を追い求めたい、というものです。これは、世の中の流れとしては非常にあっていて、その子が勉強をしっかりしている証拠でもあります。

 

 欧米では、僕の好きなSF作家のケン・リュウさんのように、理系文系どちらも一流にこなし(ケン・リュウさんは、大学で法学を勉強し、卒業後SEとして活躍→SF作家)、SF作家としても鋭い切り口で素晴らしい作品を連発している方もいます。日本では、ここまでバランスのよい知性をもつ作家はなかなかお目にかかれません。小松左京さん、高畑勲さんくらいでしょうか。そのうち、おススメ読書としてもあげたいと思います。

 

 

 この話題に関連して僕が気になっているのは、2022年から始まる新課程https://students.studyhacker.net/column/new-math-curriculum-2022)のことです。非常に嫌な予感がするのです(笑)

 今日は、理系文系の区別について、これからの注意点などを書いてみたいと思います。

 

 

・親が文系だからといって、子が理系に向かないとは限らない

 ……結構多い相談が、親御さんが文系である場合、子供に理系的な興味づけなどができず、算数などが苦手になってしまうのではないか、という内容です。また、親が苦手なのだから、たぶん子息も、理文の向き不向きが同じなのではないか、という話もよくききます。

 

 これは、「(親が)学生時数学ができなかった」という劣等感や苦い思い出と関係するようです。が、これは判断が尚早であると思います。

 

 

 例えば僕は数学のセンスがまるでないと思っています。

 それは、高3の1年間ほぼ毎日、10時間の勉強のうち7割から8割を数学に賭けても、東大の二次試験では20点弱しかとれず(模試でも一度も20点を超えなかった)、その半分以下の勉強時間の人間が、僕の数倍の点数を採っているのを実感として知っているからです。

 それでもセンターレベルであれば、なんとか9割にはなれたので、「記憶とパターン解析でここまではなんとかなる」という閾値がある程度わかっています。

 

 今、数学が教えられるのは、この時期に悩み苦しんだ経験が生きているのですが、さて、親御さんで「数学が苦手」と言っている方で、僕と同じくらいもしくはこれ以上に勉強した「けど」、ダメだった、と言える方はどれだけいるでしょうか。がっつりとした勉強もせずに、できないと言っているのではないでしょうか。

 

 今までの指導の経験からしても、ほとんどの子は「そこまで格闘してないのに数学の入口だけで嫌がっている」だけであり、一つ目のハードルを超えるのを避けているだけに見えます。一つ目のハードルを超えれば、あとは意外と楽な世界が待っているものです。

 

 先日の記事の85%の法則(結構できる、という感覚がないとやる気が起きない法則)にはあてはまるわけはなく、そこは大人の感覚で頑張ってみることが必要です。

 だから、僕は、幼児から高校までの教育のどこかで85%の法則にあてはまらない、キッツい時期を1度は超えておくべきと考えます。可愛い子には旅をさせよ、というわけです。

 

 少し苦しむことを覚悟すれば、センターレベル(これからは大学入学共通テスト)で8割くらいの実力にはなれるし、その超えていった経験は、20代以降、非常に生きるのです。

 

 高校数学の論理こそが、やっと出てくる「まともな」論理であり、中学内容までの数学では、「使える論理」にまで到達しないと僕は考えています。(できれば、国立二次試験や早慶のレベルまで触れるのが望ましいです)僕もセンスはないながらも、演習と理解を石にかじりついてやる覚悟でやり、超えていった経験があります。(二次試験で20点弱だから超えられてませんがw)

 

 中学受験でその辺の論理を鍛えることはできるのですが、土台に過ぎないと思います。(が、その土台を鍛える他のカリキュラムは皆無なので、中学受験が最適ではある。それも、関東は得点主義で暗記に走りすぎている印象) まあ、土台があるとないでは、高校数学への対応は全く違いますが。

 

 高校数学は当たり前ですが、高等教育の数学であり、難しいに決まっています。

 真面目な子でも8割方の子が行き詰ります。つまり、親御さんが学生時代にできなかったというのは「当たり前」のことに過ぎず、東大に行くような子たちは、そこをそれでも頑張ってみるという葛藤を経ているのです。

 

 その葛藤をやった人間だけがやっと「苦手だ」「センスがない」と言うことができるのだと思います。もしかしたら、うちのおかん(高卒だが中卒並みの学力w)だって、ガチで覚悟をもって勉強すれば、けっこう行けたかもしれません。

 親がそのような自分だけの視野で得意不得意を決め、その判断を我が子にまで適用してしまうのは弊害のほうが多いと感じます。

 

 遺伝学の見解などで、学力は遺伝の影響が8割だという暴論もたまに見かけるのですが、精一杯やったうえでの学力などほとんど測ることはできません。これまでの多くの生徒を見ても「本気」でやった、と言えた生徒はほんの数人に過ぎません。

 どう、本気になれるか、の方が大事です。本気になった人間は、IQが少々低くても、奇跡を起こします。(先日の記事のR君の例など)

 

 まず、「本気でやってみよう」「挫折してもそこからもうひと頑張りしてみよう」という点こそが、教育の本質に迫ることであり、その視点が欠けているのが遺伝の問題云々であると思います。(まあそれができるかどうかも含めて遺伝だよ、と言われるとどうしようもないのですが、このブログでは「成長マインドセット」をおススメしています。知らない方は検索してください

 

 だから、苦しんでもよいではありませんか。ちょっとでも興味があって、勉強・挑戦してみたければ理系を選択してみれば良いのです。最初のハードルさえ超えれば、競争率は低いし、そこそこ大学でも就職は良いし、得はその分以上にはあります。

 

 

・新課程が嫌な予感、文系量産の懸念

 ……今の高校生がやる現行の「新課程」では、文系でも化学基礎・生物基礎など二つをやらなければならなかったり、数Bで複素数が復活したりと、それまでは圧倒的に理系の方が選択科目が多く、大変だったのが、是正された感がありました。

 

 2022年高校入学(現中2)からの新・新課程では、数Cが復活。理系の勉強全体量は変わらないものの、複素数平面・ベクトルが数C に、各種カリキュラムが微妙に移動になり、文系は国立志望で、これまで通り数12ABだけで良いとすれば、複素数・ベクトルがなくなります。

 その代わり、確率分布が強制になる、というくらいですが、これはすでにやっている学校も多いです。増えるのは、確率の期待値など些末なところだけです。

 

 気になるのは、数学Bからベクトルが消えるということは、文系は実質、物理選択ができなくなります。物理は三角関数とベクトルをやってから力学をやるのが理想なのですが、新課程のカリキュラムでは、高1の時点で習わないので、よほどなモノ好き以外かつ、進学校の子以外は物理を選択することはなくなるでしょう。

 

 でも、高校認可を文科省からもらうには、授業はしなければならないはずで、高1や高2前半での高校物理の履修は地獄になるでしょう。(全く理解できない可能性)

 

 これは、ますます文系を量産する結果につながることが容易に想像できます。理系でも物理選択をする場合は、独学でベクトルを先に勉強しなければならないケースが増えることでしょう。(通常、数Ⅲ・Cは高2後半から高3の春にする)

 

 これが、嫌な予感を誘うのです。

 

 よいですか、国の方針としては、文系学部を縮小する方針なのです。文系縮小→文理融合(数学などもやる)という流れがあり、文理融合学部と理系の二本柱に国公立大はなる方向です。(https://shingakunet.com/journal/column/35421/

 

 企業の方でも、新卒学生で使えない学生が多いことに頭を抱えており、どうせ使えないなら理系をとろう、数学をやってきた人間をとろう、という方針のところが多いです。ということは、いずれ数学を課さない私立の学生は良い企業に採ってもらえなくなるので、私学もこの流れに追従していくことでしょう。特に入学希望者数の確保に困らないMARCH以上は。

 

 僕個人の考えとしては、文学部などの研究は国には必要だと思います。

 ですが、確かに、遊び惚けていて、大学に何しに来ているかがわからない学生が文系学部の方が多いのも事実。

 ですから、「本当にやる気のある少数エリート」が行けば良いと思います。人数を半数くらいまで絞り、生徒の質を担保できるようにして、大学に研究者として残る率を高める方向にすれば良いでしょう。

 

 僕からの観測では、数学をやっている人間とやっていない人間には、けっこうな差があります。

 自分で考える上での引きだしが多くなるのです。論法の仕方も帰納的だったり演繹的だったり、パターン解析したり、それを10代でしっかり勉強した人間とそうでない人間には、結構な差があることをここに記しておきたいと思います。文系を選んでも、その訓練はしておきましょう。

 

 

 理系に行くのがますますきつくなる教育業界なのですが、そこを敢えていってみましょう。これが、これからのエリートへの近道です。理系:文系の比が、2:8や1:9になる時代も来てしまうかもしれません。 

 

 であれば、理系というだけで稀少価値が出て、いろいろと有利になります。また、どうせ文系でも融合学部が多くなり、数学必修のところもやがて増えてくると思います。

 

 また、医学部では女子の過剰入学を合法的に? 弾くために、物理必修が増えるかもしれません。

 まあこれも、女子でも東大をはじめとする高学歴キャリアであれば、しっかり活躍できる社会になってきているので(中途半端な職だとまだ女子が冷遇されているところもあると思いますが)、今後は優秀な女子=医者、という図式も少しは崩れてくることと思います。

 

 

 それよりも、中学受験が終わったら、「どう生きていきたいか」を先に考えてみましょう。中学3年間のうちに「何学部にいくか」くらいは決めておくほうが良いと思います。しっかり自分で探せば、自分がどの学部にあってそうかくらいは「なんとなく」わかるようになります。この「なんとなく」、が大事です。

 

 例えば僕のように、自由に(やりたいことを真剣にやる)生きたければ生きたいほど、学歴があることや、論理的な考えができるほうが、有利となることでしょう。

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

 

おススメ読書タイトル100 https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12589194343.html

 

リブログ、リンク、引用等は基本自由です。もちろん、一報いただけると助かりますが、特におしらせいただかなくても大丈夫です。

 

スーパーコンサル2020、今年も受け付けております。究極の受験セカンドオピニオンを体験してみませんか。もちろん、2度目3度目の方も歓迎です。ご希望の方は、下記記事を参照の上、メールをください。(読んでない方が多いです。一度はぜひお読みください)

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12446458308.html

メールアドレス、hasetomo2009☆yahoo.co.jp(☆を@に変えてください)

 

また、小6から定期指導(月2または月4)をご希望の方は、早めにその旨お伝えください。できれば、新学年前に一度コンサルなどで課題点や学習計画などを相談したほうがうまくいきやすいです。家庭教師の方は下記をご参照ください。(2020年現在、毎週の指導は厳しい状況です)

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12514934840.html

 

足軽割引き(僕のバンドのライブに来てくれた方やバンド関係者の優遇)を行っています。数回ライブに来ていただければ、誰でも関係者になれます(笑) 下記記事をご参照ください。

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12528522329.html

 

 

お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。

また、現在、かつてないほどの多忙につき、やや返信が遅れ気味になっております。同時に複数のメールをやり取りしている場合もありますので、返信が滞っている場合は、かまいませんので催促してください。

 

5年生以下や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、栃木、茨城、大阪、奈良、兵庫、京都などもありました)

 

<追記>

この度、僕がベース軍師として加入している戦国バトルメタルバンド『Allegiance Reign』の初MVが公開されました。小田原城全面協力の元、色々な方々の助けもあって、素晴らしいものが撮れましたので、是非ご覧になってください。僕は烏帽子かぶってるヤツです。

◆MV
https://youtu.be/tI4YvWd8sz0

 

また、4月22日には初のフルアルバム『EiEiO』が発売となります。ブログでお世話になってっし、応援してやるか、という方は是非お願いいたします。この売上で、今後の僕らの流れも変わりますのでm(__)m
今回はレーベルにバックアップしていただき、アマゾンでも買えますので、よろしくお願いいたします。

 

お勉強BLOGЯanK お受験ブルーズ-ランキング1 お受験ブルーズ-ランキング2にほんブログ村 教育ブログ 家庭教師へ
にほんブログ村   ←たまにクリックしてもらえるとうれしいです