無一物中無尽蔵
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紆余曲折。
長い道のりの先に、、、
ここは、“此君室”。
誰でもは来てほしくない場所。
竹林にひっそりと。
ここからまた、
新たな旅が始まる ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
緻密と偶発のコントラスト。
烈々と奔放に筆を走らせているように
真横からは見えた。
ところが、
離れた場所から全景を眺めたとき、そこには、
やわらかくやさしい、淡い世界が広がっていた。
天地自然が常に変化しつづけるように、
人のこころも微細に変化しつづけている。
煎茶のように一碗の中で徐々に変化してゆく、
人生の味わい。
やがてそれは、幽玄へと…
師匠の心のありようが表れているようだった。
画のどこをどう切り取っても、
そこにはいくつもの物語があり、人生の一部。
万物すでに“中庸”。
ありそうでなさそうな、
なさそうでありそうな不思議な景色。写意。
描く側の記憶や体験、想いが重なり合って。
観る側の心の奥底にまで迫ってくる。
遠くから全景を眺めるのもいいが、
山水画は、近くに寄って観てこそ。
そして
画の中に入り込み、好きな場所を訪れ遊ぶのだ。
この日、
私の中で想い募る何かが溢れだした。
深い霧が澄み渡ってゆくように。
ほんの一瞬ではあったが、
それまで見えなかったものが幽かに見えたような
そんな気がした。
これほど心動かされたことはない ・ ・ ・
甲辰 初夏
KANAME
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