【訃報】最後まで頑張った疥癬のタヌキ | JWC NEWS

JWC NEWS

JWC(NPO法人ジャパンワイルドライフセンター)は、
野生動物の保護を目的として
1990年に設立した野生動物保護団体です。

皆さんこんにちは。

室中です。

 

日に日に桜も開花し始め、ようやく春を感じるようになりましたが、また今週は気温が下がり雨模様が広がるそうです。

それでも、あと1週間ほどで20℃を超える晴天が待っているとのことなので、本格的な春の訪れも間近ですね。

 

 

さて、今回は非常に残念なお知らせがあります。

疥癬で弱っているところを1月11日(木)に保護されたタヌキが、先日治療の甲斐なく残念ながら亡くなりました。

 

保護した方からのお話では、発見当初、自宅付近の外猫のエサ場で餌を食べていたそうです。

 

【保護情報はこちらをご覧ください】

 

 

 

センター到着後、約1ヶ月ほどは容体が非常に不安定で、咳をしていたり、餌を食べない日が続いたりしていました。

投薬や皮下点滴を使用しつつ、まずは栄養をつけてもらうために体に負担をかけない処方食を使用しながら容体の急変に十分注意して世話に当たりました。

 

 

 

その甲斐あってか徐々に呼吸も安定して食事量も増加し、肥厚した皮膚も少しずつ剥がれ落ちていきましたが、最初は血が滲んだ痛々しい姿でした。

少しでも痛みを緩和できればと、皮膚を保護する保湿液を塗布して加湿器も点け、なるべく皮膚の乾燥も防ぐ工夫を凝らしていました。

 

 

そこからまた2週間ほど経過すると、皮膚の赤みも落ち着き、全身の肥厚した皮膚がすっかり綺麗に落ちました。

 

 

重度の白内障だったため恐らく高齢であると思われ、体力がどこまでもつか心配でしたが、この頃から夕方になると動きが活発になり、ケージを登る姿も見られました。

視力はほとんどないものの、水や餌の位置は匂いを嗅いで自力で見つけることができるようでした。

 

 

綺麗になった皮膚からは、うっすらと産毛が生え、毛の模様が見えるほど伸びてきていました。

 

 

容体も安定し、徐々に外へ出す練習で日光浴を始めようと思っていました。

気温と天候が安定したタイミングを待ち、「来週ならいけそう! タヌキチ外に出れるよ〜」なんて話しかけていたのですが、次の日の早朝、突然息を引き取ってしまいました。

 

ケージの中にあった餌皿からは大好きな鶏の胸肉が綺麗になくなっており、健康的な立派な糞もしていました。

数日の間でも著しい体調の変化は見当たらず、食欲・排泄共に問題はなく、一週間前ほどに行った血液検査でもそこまで気になる数値はありませんでした。

口も開いておらず、泡も吹いていなかったので、眠るように息を引き取ったのではないかと思われます。

ここまで頑張ってくれて皮膚の状態もかなり改善されていただけに、外に出してあげることができず、本当に悔しいです。

 

亡くなる前日までセンターにいる誰よりも餌をもりもりと食べて、気持ちよさそうにタオルの上でお昼寝していたタヌキチ。

 

 

ここで過ごした約3ヶ月がタヌキチにとって少しでも心穏やかなものとなったのであれば幸いです。

どうか安らかに、お空で仲間たちと楽しく過ごしてくれるよう心から祈っています。

 

 

 

タヌキチお疲れ様。

タヌキチが教えてくれたこと、絶対に次の命に繋ぐからね。

頑張ってくれてありがとう。

 

 

 

《JWCからのお願い》
未だ研究段階ではありますが、タヌキの疥癬は『ペットフードを食べてしまったこと』で重篤化する可能性があるのではないかと当団体では考えております。
『外猫の餌は食べ終えたら片付ける』『タヌキにペットフードを与えない』それだけのことで救える命があるかもしれません。
ぜひ、この機会に気にかけていただけますと幸いです。
【疥癬について詳しくはこちらのブログをお読みください↓】

 

 

 

 

 

※JWCは皆様のご寄付・ご支援により活動を行なっております。
一羽でも、一頭でも多くの命を救えるよう、ご協力いただけますと幸いです。
 
《4月30日までに200人目標!》
月々500円からのサポーター登録はこちらから