疥癬症タヌキ、注意喚起 | JWC NEWS

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JWC(NPO法人ジャパンワイルドライフセンター)は、
野生動物の保護を目的として
1990年に設立した野生動物保護団体です。

皆さんこんばんは星

管理人の佐草です照れ

 

今日はまた一段と寒かったですねぇ~!!こちらの方ではどうやら今日の夜中から雪も降るかもしれないとのことです!!雪の結晶

とは言っても、そこまで積もらないのではないかな…とも思うんですが、そうやって油断しているとドカッと降ったりしますからね!!油断は禁物です真顔

 

さて、今日は最近お問合せの多い件について、お話ししたいと思います!!

 

 

皆さんは、このような姿の動物を見たことはありますか?

 

※見る方によってはショッキングな画像となっておりますので閲覧にはご注意ください

 

 

 

 

 

上でご覧いただいた画像は、全て疥癬症に罹ってしまったホンドタヌキたちです。


当団体へは毎年30~50頭(羽)ほどの傷病野生鳥獣が保護されてきますが、その中でも治療が非常に困難を極め、お問合わせの件数も群を抜いて多いのが、この疥癬症となってしまったタヌキです。

 

疥癬症は、ヒゼンダニというダニによって引き起こされる皮膚病の一種です。

特に、タヌキに寄生するのはヒゼンダニの中でもイヌにつきやすいイヌセンコウヒゼンダニが大半で、感染した場合は激しい痒みを伴って脱毛し、悪化すると皮膚はひどい赤切れ状態となり、重篤な場合は全身の皮膚がかさぶた状に肥厚します。

 

疥癬症が直接の原因で亡くなることはあまりありませんが、疥癬症で弱っているところへ他の感染症にかかったり、毛が抜けることによる体温低下、口の爛れによる摂食機能の低下などで亡くなってしまうケースが多くみられます。

 

そして、この疥癬症ですが、実はペットフード(特にキャットフード)を食べてしまうことで、発症・悪化する可能性があるのではないか、と私達は考えています。

 

実は、ペットのワンちゃんにもキャットフードはよくないのですが、その理由として必要栄養価や美味しさの違いがあります。

ワンちゃんがキャットフードの味を覚えてしまうと、その美味しさから適切なドッグフードを食べなくなり、栄養のバランスを崩し病気の元となってしまう懸念があるのです。

 

 

タヌキはイヌ科の雑食の動物で、自然の中では柿やイチジクといった果物や昆虫、動物の死肉、木の実など、いわゆる粗食で生きています。そんな彼らにはペットフードの添加物さえ体に合いません。

 

イヌ科であるタヌキにとって、香りの強いペットフード、ましてやキャットフードは魅惑的な餌となります。匂いと味につられ、また同じ場所に行けば必ず食べることができる為に、慢性的にペットフードを求めるようになります。

 

イメージとして、タヌキがペットフードを食べ続けることは、人がスナック菓子を主食として食べ続けるようなものでしょうか。

 

 

そうしてペットフードを食べ続けたタヌキは、体に合わない餌を食べたことで内臓にも負担がかかり、免疫力が低下、それにより疥癬症を発症・悪化させ、身動きがとり辛くなることでまた手近なペットフードを求め……という、悪循環が生まれているのではないかと当団体では推察しています。

 

一般的には『群れで行動する為に感染が広がりやすい』、『ゴミ漁りで不適切なものを食べた為に発症する』ともいわれていますが、当団体でここ十年ほど疥癬症のご相談者にヒアリングを行ったところ、ゴミが荒らされていたというお話はありませんでした。

 

その代わりに、「野良猫の餌を食べに来ていた」もしくは「ネコの餌をあげていた」という回答が、9割以上となっています。

 

タヌキの疥癬症は、解明されていることが実は少なく、ここまで重篤化する原因も未だ不明とされています。

ペットフードの因果関係については、あくまで当団体が今まで行ってきたヒアリングと、生態学を元にした仮説のひとつに過ぎませんが、『タヌキにペットフードを与えない』『野良猫の餌は猫が食べたら必ず片付ける』これだけのことで救える命があるかもしれません。

 

疥癬症はダニを媒介して感染する感染症な為、同じ科である犬にはもちろん感染しますが、人間でもダニによるアレルギー症状を引き起こす可能性があります。

タヌキだけでなく、身の周りの大切なご家族を守る為にも、疥癬症に対する正しい知識を広め、対策法を練ることは重要なことだと私達は考えています。

 

 

下の画像は、実際に当団体で保護の受け入れを行った疥癬症のタヌキです。

この子もかなり症状が進んでいましたが、徹底した治療と食事の管理で回復し、元気になってリリースにも成功しました。

 

 

※写真2枚とも、一番上が保護当初の様子、二番目が治療で毛が一度全部抜け落ちた様子、三番目が新しい毛が生えてきた様子となっています

 

 

しかし、それでもやはり疥癬症で保護されてきたタヌキの多くは命を落とし、当団体でもこれまでにたくさんの子を看取ってきました。

 

その度に、本当に悔しい思いをします。

だからこそ、疥癬症になってしまうタヌキが少しでも減ればと、こうして推察であってもお伝えし続けている次第です。

 

皆さんも、もし疥癬症の子を見かけた際には、近くで外猫のご飯を置きっぱなしにしている場所はないかを一度見ていただければ幸いです。

 

ということで、今回は疥癬症のタヌキについてでした!!

疥癬症のタヌキが少なくなってくれることを祈り、今後も啓蒙活動を続けていきたいと思います!!プンプングーメラメラ

(長くなってしまってごめんなさいあせるここまでお付き合いいただきありがとうございます…笑い泣き

 

閲覧いただきありがとうございましたねずみ

 

 

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※最終追記修正 2023年2月3日