【訃報】両後肢を失ったタヌキ“チャリン” | JWC NEWS

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JWC(NPO法人ジャパンワイルドライフセンター)は、
野生動物の保護を目的として
1990年に設立した野生動物保護団体です。

皆さんこんにちは。

JWCの佐草です。

 

本日は残念なお知らせです。

 

 

両脚を失いながらも懸命に生きたタヌキのチャリン、8月20日(日)スタッフの見守る中、静かに息を引き取りました。

チャリンは尾の先と両脚を欠損した状態で保護されてきました。
交通事故か、罠によるものか、すでに乾いた傷口からは、原因を明らかにすることはできませんでしたが、痛ましいものでした。

 

 

【チャリンの詳しい保護経緯はこちらから】

 


露出した骨を切除する手術だけでなく、その後の生活も考慮した特注車椅子など、大きな費用負担もありましたが、皆様からの温かいご支援で果たすことができました。

 

オペの様子

 

チャリンに合わせて車椅子の微調整を重ねていました
 

室内を散歩する時は他のタヌキともよく鼻を突き合わせていました

 

お陰様で、術後の経過も良く、食欲も旺盛で元気にセンター内を駆け回る姿も見せてくれましたが、7月の初め頃から元気がなくなり、食欲不振や咳が見られたことで、血液検査やエコー検査、レントゲンで詳しく状態を調べたところ、心臓の疾患が発覚しました。

フィラリア検査も陰性で、心疾患の明らかな原因は不明ですが、年齢によるものの可能性、そして両脚を失ったことも何かしら影響があった可能性が考えられます。

脚の付け根を上手に利用して、室内を器用に散歩して回ったり、人一倍食いしん坊で、なんでも美味しそうに食べていたチャリンでしたが、この猛暑もあってか日を追うごとに食欲も減り、誤嚥性肺炎も併発。苦しそうに肩で息をすることが増え、酸素室で点滴する日が続きました。

 

 

少し元気になると、点滴チューブを噛みちぎり、酸素室から出たがって身を乗り出すのですが、外に出るとやはりすぐ呼吸が早くなり咳が止まらなくなる、という繰り返しで、夜間も監視カメラで状態を常に確認し、何かあればすぐに対応して、という毎日でした。

 

 

そもそもが難しい心疾患と、さらに誤嚥性肺炎の併発。野生動物にどこまでの治療ができるか、というところもありましたが、少しでもこの子の辛い症状を和らげられればと、投薬も含め、できる限りのことをしてきました。

予断を許さない状況の中、この日は久しぶりに早朝立ち上がって水を飲む姿も見せてくれて、
「今日は少し気分がいいのかな?」と思った矢先でしたが、陽が登る頃にはいつものように横になってしまい、お昼頃に眼振が始まったと思った直後、心肺が停止。
懸命に呼び掛けながら心肺蘇生を試みましたが、そのまま旅立ってしまいました。

これまでチャリンのことを気に掛けてたくさん応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
本来であれば、誰に見つかることもなく、両脚を失ったまま人知れず命を落としていたこの子が、こうして皆様に「頑張れ」と応援していただけたこと、そして、皆様の心の中にチャリンが生きていた証を残すことができたのは、何かしらの意味があったのではないかと思います。

チャリンにとっても、少しでもこのセンターで過ごしたひと時が心穏やかなものであったならと願っています。

 

 

6頭の子ダヌキたちは順調に成長していて、来週辺りのリリースをと考えています。
亡くなってしまう子もいる一方で、こうして自然の中へ帰って行く子もいる。
命はどんな生き物にも平等にあるもので、たったひとつしかないものです。
だからかそ、これからも今できる最善を尽くしていきたいと思っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。



チャリン、ウッドデッキ完成には間に合わなかったけど、クラウドファンディングの目標達成は見届けてくれたね。
チャリンが教えてくれたことたくさんあるよ。
思い出もたくさん。

これからも、チャリンの分まで一頭でも一羽でも多くの子を助けていくね。

出会ってくれてありがとう。

虹の橋の向こうで、思い切り走り回ってね。

 

 

 

 

※JWCは皆様のご寄付・ご支援により活動を行なっております。

一羽でも、一頭でも多くの命を救えるよう、ご協力いただけますと幸いです。

 

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