【400文字作文】三月の忘れユキ
「おかえり」と、私の顔を見ずに祖母は言っ
た。
部屋のドアを開け、古い三面鏡の前に座っ
ている祖母の姿を見てつい、私は悲鳴をあげ
そうになった。
鏡に映っている祖母の表情には、何をして
いるの?と、聞けない雰囲気があった。
それにその三面鏡は、元は祖母のものだ。
タダイマ。と言い、買ってきた本を胸に抱
いたまま、ゆっくりベッドに腰をおろした。
私はすごく驚いたけど、祖母を驚かせたくは
なかった。
祖母はちいさく震える手で、メイクをして
いた。彼女を傷つけたくなかった私は、三面
鏡に映っている鏡の中の頬にそっと、ほお紅
をのせてあげた。
祖母は私の方を振り向き、お化粧。と言っ
た。そして
「三月のわすれユキ」と言いながら、カメ
オのブローチを撫で、小さな涙を零した。。

【400文字作文】 土曜の夜 日曜日の朝。
男の手だけが印象に、残っている…。
土曜の夜、私は街の路地で、売春婦のマネ
ゴトをしている。
路地で声を掛けてくる男達は、条件だけを
言ってくる。自分の職業を言う男なんかいな
い。その路地では、みんな正直なタダのオト
コだ。そう感じることで私は、安心できた。
首を横に振らず、ホテルの部屋まで連いて
いったのは、その男が初めてだった。
部屋のソファに座っている私に男は服を脱
ぎながら、人間は排出することで快楽を得る。
みたいなことを話しだした。
涙、ハナミズ、声、汗、オシッコ、涎、そ
れと…と男が言った時、私は自分が売春婦で
はないことを打ち明けた。
男は、ソファに座っている私の前にゆっく
りと跪き、それと…と、言葉を続けた。
「嘘と真実。」
男は私の頬を、二度打った。
柔らかくて懐かしい、優しい手、だった。

土曜の夜、私は街の路地で、売春婦のマネ
ゴトをしている。
路地で声を掛けてくる男達は、条件だけを
言ってくる。自分の職業を言う男なんかいな
い。その路地では、みんな正直なタダのオト
コだ。そう感じることで私は、安心できた。
首を横に振らず、ホテルの部屋まで連いて
いったのは、その男が初めてだった。
部屋のソファに座っている私に男は服を脱
ぎながら、人間は排出することで快楽を得る。
みたいなことを話しだした。
涙、ハナミズ、声、汗、オシッコ、涎、そ
れと…と男が言った時、私は自分が売春婦で
はないことを打ち明けた。
男は、ソファに座っている私の前にゆっく
りと跪き、それと…と、言葉を続けた。
「嘘と真実。」
男は私の頬を、二度打った。
柔らかくて懐かしい、優しい手、だった。

【400文字作文】Sweet revenge
待合せの時間は、とっくに過ぎていた。
遅くなってしまう。というメールを送って
五分後、いなかったらごめんね。というメー
ルが送られてきた。
彼女に限らず、オンナという生き物が放つ
シンプルな言葉はいつも、俺を緊張させる。
返信することを諦めた俺は、タクシーの運
転手に急ぐように言った。運転手がハイと、
返事をすると、料金メーターが上がった。
待ち合せたカフェの喫煙席に彼女はいた。
いろんな人から吐き出された白いタバコの煙
を避けるようにテーブルへ顔を伏せ、レシー
トの裏に何か書いていた。
遅れたことを謝りながらタバコをくわえよ
うとすると、彼女は食べかけのチョコレート
ムースをスプーンですくい、俺の口の中へちょ
っと乱暴に入れた。
俺は、和菓子のような彼女の唇の端を指で
拭い、何もついていない指を舐め、甘いけど
美味しいな。と言った。

遅くなってしまう。というメールを送って
五分後、いなかったらごめんね。というメー
ルが送られてきた。
彼女に限らず、オンナという生き物が放つ
シンプルな言葉はいつも、俺を緊張させる。
返信することを諦めた俺は、タクシーの運
転手に急ぐように言った。運転手がハイと、
返事をすると、料金メーターが上がった。
待ち合せたカフェの喫煙席に彼女はいた。
いろんな人から吐き出された白いタバコの煙
を避けるようにテーブルへ顔を伏せ、レシー
トの裏に何か書いていた。
遅れたことを謝りながらタバコをくわえよ
うとすると、彼女は食べかけのチョコレート
ムースをスプーンですくい、俺の口の中へちょ
っと乱暴に入れた。
俺は、和菓子のような彼女の唇の端を指で
拭い、何もついていない指を舐め、甘いけど
美味しいな。と言った。
