Gaydar ! -4ページ目

Gaydar !

HIV+です。ゲイです。それ以外の自分って...なあに?(笑)

どれだけ派手に生活して楽しそうに騒いでみせても 
本当の自分ではなく いつわりの自分として生きているなら 
その人の人生にはいつも孤独がついて回るんだよねえ。

いつもド派手に 楽しそうに騒いで生活している(ように思えた)
ある友だちが ネットでポツリ。
そういうこと 一番言わないタイプだと思っていたのに。

でも彼のこと なんだが前よりずっと好きになった気がする。

高橋源一郎の新作小説「恋する原発」にも 
おちゃらけた世界の中で精いっぱいアナーキーな ”じぶん”を
演じながら、そんな自分にどこかで疲れているAV監督(ノンケもの)
の主人公が登場する。

東日本大震災の被災者を元気づけようと、売上を義捐金にあてようと
チャリティーAVの制作に奔走する男たちを描いた バカバカしいお笑いの一席。

「あなたの精液一滴一滴が 貴重な義捐金になるのです!」
「あの男はヴァイブをヴァギナに突っ込もうとしているの。
でも、女の子がそれを望んでるんじゃないわ。あの男はヴァギナを見ると
そこから自分が生まれたことを思い出して憎しみでいっぱいになるの。
オレをこんな世界に追いやがりやがって って」

とか 源一郎センセイならではの言語観がサクレツ (笑)  

けれど ここには 人間のリアルな“性”とフェイクな“生”の関係を 
ずうっときれいごとにすませてきた日本人に刃を突きつける 芯の強さがある。

「恋する原発」の主人公には 何人かモデルがいるんだと思うけど 
もしかしたら この人もその一人かもしれない。

平野勝之というAV監督は、「東京~礼文島41日間 自転車ツーリングドキュメント
 わくわく不倫旅行 200発もやっちゃった!」という企画モノAVを発表して 
大成功をおさめ、15年くらい前 一躍 業界の有名人になった人。
既婚者で子どもがいるのに、自分のお気に入りのAV女優 林由美香さんに熱を上げ、
彼女と1ヶ月 野宿をしながら東京から北海道の礼文島まで自転車でツーリングして 
夜はテントの中でやりまくってハメ撮りして その一部始終をAVにしたという
とんでもない作品。でも僕は こういう情け容赦ない映画が大好きでね。

平野監督は由美香さんを好きになるんだけど、女房と分かれようなんて
気はサラサラなく 猫のように彼女のぬくもりをかわいがりたいだけ。
そうやって手なづけられるオンナもいるんだろうけど
由美香さんはそうじゃなかった。

けっきょく二人は旅行中は盛り上がりつつも 男と女の関係としては
それ以上は進展せず やがて別々の道を歩み始める。
それでもくされ縁でつながりながら 10年くらい経って 
“もう一回 一緒に仕事しない?”みたいな話になって 
監督がその打ち合わせに彼女のマンションを訪れたら
由美香さんは倒れていた。

梅雨の蒸し暑い夜、死後数日が経過した死体は
異臭を放ち始めていた….

というのが 「監督失格」というドキュメンタリー。
プロデューサーは「エヴァンゲリヲン」の庵野秀明さん。

祭りを終わらせることができずに 亡くなっていったひと
そのあとからはじまる人生を くたびれ果てて どうしようもなく
ユーウツになりながら それでも生きていこうと 立ち上がるひと

見終わって 矢野顕子の「しあわせなバカタレ」が
優しく流れ始めて 僕は渋谷のミニシアター UPLINKのイスから
しばらくの間 立ち上がれなかった。

これはもはや映画じゃなくって 自分自身に刃を 
いや 自分自身という刃を突きつけられているような気がしたからね。

東京では シネマート六本木で公開中(12/3より吉祥寺バウスシアター)




世界の人口が70億人を超えましたね。
正直言って…想像もつかん、70億。

1800年には 世界の人口は推定で10億人、1900年には16億人と
100年で6億人くらいしか増えていなかったのに…
1900年~2000年では54億人の増加。
前の世紀のなんと9倍です!

こんなに人が増えたら、殺し合いが増えたり いろんな病気が増えてしまっても
当然~ と思ってしまう。
ひじょ~に単純な計算をすれば、世間で"同性愛者"と呼ばれている僕たちの数だって
確実に9倍は増えているはずですよね。

HIVポジティブの数について考えても…
人口が1億3千万人の国 日本で2万人って 実はムチャクチャ少ない数字。
世界でもいちばん流行の少ないレベルなんですよ。
実は、外国では驚く人も多いくらいで。
だからこそ 男性間での数字が極端に高い(毎年1,500人づつくらい増えている)のが
目立ってしまっているのだけど…

HIVに限った話ではないけど、病気にならないに越したことはない。
医療費がどんどん増え続けるのは深刻な問題。なんとかせにゃいかん、のも確か。
だから予防はすごい大切だと思うし、それに対して疑う余地はないです。

でもね
有病率が人口の0.0001%(またはそれ以下)だなんて
こんな国、世界中にほとんどないんですね。それは事実なんです。

それって 日本人み~んなが徹底して予防や衛生管理に気をつけているから?
ホントに?
日本人って 他の国に比べて セックスの回数が少なすぎるからなんじゃない?
という意見もあるくらいですが、はたして?

たとえば、生活習慣病の話をするときに 病院で
ふだんどんなもの食べてますか、一日何回食事してますか、
糖分や脂肪は多すぎないですか、定期的に 体を動かしてますか とか 
プライバシーに触れるようなことであっても いろんなこと聞かれるじゃない?

じゃあ HIVやSTIの話をするときに
セックスをする回数はどれくらいですか?
という視点から話をしてくれるお医者さんって どれくらいいるだろうか?
多いのはオーラルセックスですか、インサートですか?
前戯はしますか? 相手と どんな風にコミュニケーションをとっていますか?
という話は 本当は病院で行われなければいけないんじゃないかな。
(実は 性病科ですら そういう話はあまりされていない というのが僕の実感)
セックスが人間の生活の中から スパッと切り離されてしまっているんです。

患者も医者も 照れたりこそこそせずに ストレートな話が出来る環境があって
あなたは回数が多めなので その分リスクも高くなる だからこそ 先々のことを考えて
こういう風に健康を維持しましょう、という段取りをもってきて 
そこから予防の話が出てこなければ みんな真剣に受け止めてくれないはず。

そういう セックスに関する話を おちゃらけじゃなく 時にはまじめに語る
という機会が 今の日本にはなさすぎる。
これは ノンケとがゲイとか 男性とか女性とか関係なく みんな一緒だと思う。 

予防って大切なことなんだけど
なんで必要なのか だから必要なんだということを みんなが納得しないまま
現実を無視して理想だけ語っても 先には進まないのに....

ハッテン場の公然わいせつ問題で ゲイに対する風当たりは強くなると思うけど
おなじ批判をするなら、おちょくったりからかうんじゃダメ。
あなたたちの問題点はここにあるんだよ…と、説得力のある言葉で 冷静で客観的な
話をしてくれる人がいてくれたら だいぶ違うんじゃない?
いまの日本には 残念ながらあまりいないけれど。
相手が本気で話をしてくれるから、聞く側も本気で話を聞いてみよう って思える。
人間のコミュニケーションって そういうものではないですか?

これから 12月1日にのAIDSデーに向けて「なぜ日本だけが増えているのか…」
議論がまたぞろ蒸し返されると思うし 「ゲイやバイセクシャル男性の増加率が...」
と聞かされてうんざりしちゃう方もいるかもしれないけれど
ぜひ今の世界の 日本の現状をきちんと理解したうえで 実りのある話をしてほしい
と思います。

京都大学の研究チームが"安全なips細胞"を作る技術を発表しました。

すげえやね~。でも ここまでくると さすがに神の領域じゃね?
と思っちゃう。ヒトがやるべきことじゃないよって 手放しで喜ぶ
気になれないんですよね。でも これを待ち望んでいる人たちが 
世界中にはたくさんいるわけですから。
人間のからだのもとになる細胞(ips細胞)を作り 臓器や神経など
の人体構造を再生する それがips細胞による再生医療。
子どものころにはSFでしかなかった発想が現実になろうとしている。
時代って自分の進化とは関係なく進んでいくもんなんですねえ。

で、このips細胞 HIV治療への応用はどうなの?という点が気に
なりますよね。

米国のカリフォルニア大学では 
「iPS細胞由来造血幹細胞からの HIV-1耐性の機能的マクロファージ
の作製」
なんていう かなり興味深いテーマを 現在 研究に加えています。
何ヶ月か前に ドイツの白血病の患者さんが 幹細胞の移植により
HIVウイルスの発生を封じ込めたというニュースがあったけど
あれも治療薬ではなく 再生医療のはなしでした。

今の流れから言うと (薬以外の方法によって)HIVを体内から
なくしたり それに近いレベルでの治療法は 10年先とか
(もしかしてそれ以下の)けっこう近い未来に発見される可能性が
高い、という予測がなされています。
もちろん すぐに実用化されるわけにはいかなくて、安全性の確認に
10年、技術の改良と資金ぐりにやっぱり10年...........
つまりは 現実に降りてくるまでには あと25年くらいはかかるかな?
(ガンになるのでは、という不安は 遺伝子の運び屋をレトロウイルス
からプラスミドに変え、たんぱく質だけを組み込むことで解決する
かも知れないですが、自分の細胞をつかったからといって 拒絶反応
がゼロになるかどうかは まだはっきり分からないそうですから) 

実際のところ HIV治療の現場でも 抗ウイルス薬におまかせ、
といういままでの発想は もはや限界に近づいてきています。
薬の開発って 基礎研究から臨床にいたるまでの段階で
金がかかりすぎるんですね。
そのわりには 最近の抗ウイルス薬はもうかってはいない。
途上国への薬の提供がジェネリックが使われていることもあって、
利益を上げるためにすごく苦労している。かんたんに特許権
(知的財産所有権)を手放すわけにはいかなくて、それでも
途上国との貿易問題やらなにやらで製薬会社自体が抗ウイルス薬
への興味やヤル気を失っている。
政府にしても HIVだけが大問題じゃないしそうそう金をつぎ込んで
はいられない。患者は患者で、耐性を気にしながら一生の間 薬を
飲み続けなければいけない。長期服毒の可能性だってこれからは
大問題になる。長い目でみたらメリットが多い治療方法と言いがたい。 
薬による治療はとりあえずの対策で ベストの選択ではない、
というのが多くの専門家たちの意見の主流となりつつあります。
UNAIDSのシディベさんがさかんに言ってる "Treatment 2.0" 
っていう新時代のエイズ対策は この点を大きな柱にしています。

もちろん 医療の現場で実際に使えるものにするには科学の発展
以外に さまざまな問題点を解決しなくてはなりません。
最大の弱点はお金。これは薬の開発と同じです。
コストを抑える工夫が絶対に必要で すくなくとも患者が負担できる
ような現実的な金額でなければ 一般に普及するはずがない。
日本でいうなら 自立支援医療に乗るレベルにならないと 
大半の人たちにとっては何の役にも立たない。 

ふたつめは 技術が高度になり、倫理の線引きがどんどん難しく
なってきていること。 ここをクリアしないと 大変なことに
なります。
たとえば、現在検討されている臓器の再生技術って 豚のおなかの
中で人間の臓器を作って 人間の体内に戻すという計画なんですね。
こういう現実を 世界中の人々は受け入れることができるのか?
という心配がある。
さらに このips細胞作製の技術を使うと(理論上では)
男でも卵子が、女でも精子が作れてしまいます。
代理母出産の問題どころか ゲイでも子どもがもてる可能性が出て
きて 結婚して夫婦でいることの理由に"子作り"が当てはまらなく
なる。宗教的に考えたばあい、人々はそれを許すだろうか?

一定の利用基準を作って みんながそれを守る仕組みを作るって
簡単そうでいちばん難しい。いったん世の中に出てしまったら 
都合のよい方向に技術を利用するのは 原子力を例に挙げるまでも
なく 実に簡単なことです。

3つめは...... もし仮に 遺伝子治療によって正常な細胞だけしか
作られないという技術ができて その安全性が確かめられ お金の
問題も解決して、倫理的にも問題なしという判断がされ
すべてに対してOKのGOサインが出されたとして.....
この技術がHIVの治療に採用されるかどうか それはまた別の問題
だということ。

個人的には この3番目の理由が いちばんやっかいな気がします。

「宇宙には知的生命体は無数に存在しているはず。
 だとしたら どうして地球にはやってこないのか?」 
「それは地球を訪れる必要性がないからでしょう。
地球に来る途中で もっと文明が発達した ステキな惑星が
あるなら そちらへ行ってしまって 地球には関心を示さない
だろうから」

カール・セーガンという宇宙科学者は、著作「COSMOS」
の中で こんなことを述べています。
HIVについても同じことが言えるんじゃないでしょうか?
関心をもつ人たちが少ないとか、もっと他に優先すべきものがある
のでは と判断する人が多ければ 採用されることはないでしょう。

3月の大震災では多くの方々が被災し、日本人の意識が大きく
変わりました。
公的なお金を使うなら まず被災者に提供しましょうという
考え方が主流になり いまや これに反対を唱える人はいません。
今の日本は 別の地震や津波 その他の災害にいつ襲われても
おかしくない状況で(あまりいい話ではないですが)医療サービス
を受ける人たちの数は この数年の間に さらに増えていくはずです。
将来的なリスクを避けるため あらかじめ必要な資金をプールして
おこうという動きが加速してきていて 近い将来 自立支援医療と
いう制度は 今以上に 大きな足かせとなっていくはずです。

福祉の切捨てはあってはならないけど、みんなが大変な状況にある
のだから 一部の人たちだけが甘えているわけにはいかない。
そう考えると 新しい医療技術の対象にHIVを含ませるには 
なんらかの決め手というか"社会に広くアピールするだけの何か" 
がなければ難しい のではないか、と思えてならないのです。
難病は数え切れないくらいある。
人権を訴えるだけじゃあ もはやダメだよね。

自分の病気や死をどう受け入れていくのか という問題は 
HIVに限らず これから先 もっともっとみんなで考えないと
いけないですね。

僕はできるだけ長生きしたいことを望む人間のひとりですが 
新技術よりは とりあえず 自分の時間を後悔しないような使い方。
そっちのほうが 今は大事。そう思います。