オーラのくすみがまだ消えない道原忍は、意外なシチュエーションに遭遇した。
銀行強盗の現場だ。
まさに今、子供を人質にした銀行強盗が逃走用の車両を警察に要求しているという、
教科書通りのシチュエーションだった。
道原忍は、その時特異な自分の感情が産まれるはずだと予想したが、大きく外れた。
驚くほど冷静な感情をもってそれを眺めていた。
機動隊が銀行を取り囲み、説得を続ける中、
道原忍は、自分の感情・精神状態の異変にすぐに気が付いた。
「今、冷静である自分が異常だ」
道原忍は、自我を失った。